天仰その2
午前三時からうなされながら見た夢は、どうも断片的で滅茶苦茶だったけれど、とりあえず象徴的なシーンだけ抜粋して、想像で補完してみた。
天から生物の残骸が降ってきて、時間がだいぶん経った。
友人が、地球外知的生命体を捕まえる研究をしており、手伝って欲しいとか言い出した。
その手順はこう
① 500人以上の人間が一か所に集める
② そこで糞つまらん白黒映画を放映することで、地球外生命体を呼ぶ『場』が形成される
③ 降臨したが最後、エーテル掃除機で地球外生命体を吸い込む(霊的な意味で)
で、頭数が足りないから、知人友人を一人ずつ説得して協力してもらっているという。
なんて人脈広いんだこいつ。
で、実験開始。
で、実験失敗。
友人め、魂と肉体が粉々になって地球上に散らばってしまった。
残された500人の友達の友達連中は、唖然とした。
呆然として、そんで、もう一回、集まることにした。
500人友達会議の結果、今度は同じ方法を用いて友人の魂を捕獲しようということになった。
なんでも、その500人の中には、友人の研究室の教授とかもいて、理論上はそうだとか言ってたから間違いない。
で、設計士とか、金物屋とかで集まって、大爆発したエーテル掃除機を作り直す作業が始まった。
友達は掃除機の設計図をなんか外国語で書いたりしてたから翻訳が面倒くさかった。
あと、今度は1000人くらい集めなくちゃいけないので、皆、総がかりで勧誘の電話した。
妙な材料はコネのある人が調達した。
変人の友人が500人も揃えば、できないことはないな。
僕を除いて。
なんか僕だけ無資格無技術なのに、この500人会議に出席して、幹部要員12人の末席にある。
なんで?
多分、僕が唯一、地球外生命体に接触したことがあるからだろう。
いや、死体だったし、つーああれ栃木の妖怪ってことで決着したんじゃないの?
そんなこんなで、あの子の救出計画実行の夜。
星空の下で糞つまらん白黒映画を見る会に1200人が集まり、後は上映中に天に漂うだろうあの子の魂みたいなもんをエーテル掃除機で吸い込むだけ。
しかし、あの子好かれてるなあ。
たった一人を救うために、499人の変人が必死になってるんだから。
僕? まー、することないから。
いるのが仕事? みたいな?
いつも通り、必要が来たら働くスタンスですよ。
はい、緊急事態発生ー。
なんと、映画が上映されたのに、まだエーテル掃除機が完成していないという非常事態。
なんと、掃除機作製班と上映会実行委員会の間で連絡がうまく取りあえていなかったよう。
まじかよ。
で、最後の掃除機の調整が、僕の仕事になった。
いやいや、何にもしなくていーから、って言われたから、専門的な勉強してないから。
話を聞くと、なんでも、映画の上映が終了するまでに、市役所地下一階に保存された『例の落ちてきた奴』の髄液を2ml持ってくる必要があるらしい。
あー、そうか。
僕はこの時のためにここにいたんだな。
そんなわけで、500人の中でも比較的仲のよかった、仕事が与えられなくてサボっていた底辺グループが、サンプルを取りに走る。
慌てに慌てる。
ボロジープのサスペンションの悪さにいらいらする。
赤信号がまどろっこしい。
地球外生命体が邪魔をする。つーか、お前本当にいたのかよ。
でも、今はこっちが大事だ。
着いた。
守衛さんに頼んで鍵を開けてもらう。
久しぶりに見る(2日ぶりか)奴の死体。
悪いけど、2mlほどもらうぞ。
よし、準備できた。
糞つまらんくせにひたすら長いサイレント映画も、後30分くらいで上映終了か。
急げ。
あの子を。
僕は立ち上がる。
「○○ー、母さん先に仕事行くから」
母に、起こされた。
・・・
・・・えー。
夢の設定が続いたの初めてだった。