天仰
天から生物の残骸が落ちてきた。
遠目にはクラゲみたいだったけれど、近づくとモザイクかかりそうな代物だった。
5mはあろうかという、大脳。
そして、それから生えた2本の脊髄。
あまりに圧巻過ぎて、グロイの通り越してた。
骨も肉も落ちてこなかった。消化器系、呼吸器系、循環系も。
市役所職員の僕の仕事は、この落ちてきた神経系の内臓を頼りに、どんな姿形をした生物だったのかを特定すること。
生き物の種類によって(ペットなのか危険指定されてないか)、処理する部署が違うんだってさ。
まず地球生命体なのかもわからないこの死骸の始末を、どの課が担当するかを決めるために、UMAの正体探しが始まった。いいのか、こんなことに税金使って?!
しかし、背骨が二本ある生き物の想像図なんて、どうしろってんだ。
図書館にこもる日々。
吸ったこともない煙草に手を出してふて腐る。
「残骸が腐食始めたから、早く特定しろ」とか文句言われるし。
そんなやくたいもない毎日を過ごしていた僕は動物図鑑を棚に返す途中、『栃木の妖怪』という本に手を出して、ついにそいつの正体を突き止めた。
名前を読む前に、目を覚ます。
こんちくしょう、またこのパターンかよ。
……。しかし、あの本実在するんだろうか。
誰か、『栃木の妖怪』って本持ってない?