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第1話:社畜の終焉と、神(しにがみ)のミス

初めまして、エピファネスです。最近ダイエットをせざるを得なくなったので、おじさんが食いたい飯を作る話で発散させます。よろしくお願いします!

 深夜二時。

 三十八歳のシステムエンジニア、御子柴みこしば りょうは、誰もいないオフィスで二十八連勤目のキーボードを叩いていた。


「……あ、これ、死ぬな」


 視界が真っ白に染まり、心臓が握り潰されたような衝撃。


 次の瞬間、俺は「真っ白な空間」で、一人の男と向かい合っていた。


 黒いローブ。巨大な鎌。そして、タブレット端末を必死に操作しながら冷や汗を流している。


「えーと、御子柴……亮……さん……ですよね? 三十八歳、独身……趣味は自炊……。あー、えーっと……間違えました!」


 死神が、土下座の勢いで頭を下げた。


「間違えた、だと?」


「はい! 本来なら、隣のビルで孤独死するはずだった九十八歳の『御子柴 いわお』さんの魂を刈る予定だったんですが……あー、ノルマに追われてて、つい名前の『御子柴』だけ見て鎌を振っちゃいました。テヘッ」


 テヘッ、じゃねえ。

 俺の二十八連勤の努力は、死神のケアレスミスで終了したらしい。


「生き返らせろ。まだ終わってないバグ修正があるんだ」


「無理です! 魂のデタッチ(切り離し)は不可逆なんです! でも、このまま上司にバレると僕のボーナスが吹き飛ぶので……特例措置おわびを出します! 天界でも魔界でもない、管理外の『緩衝地帯』への転生、これでどうでしょう!?」


 死神が提示してきた条件は、なかなかに破格だった。


• 特典1:【神チューブ(Kami-Tube)】

あらゆる動画を閲覧できる、不可視の魔導端末。


• 特典2:【パッシブスキル:精密魔力操作・根気】

SE時代に培ったデバッグ能力が、魔力回路を最適化する能力として開花。


• 特典3:【不可侵の土地】

三界の狭間にある、誰にも邪魔されない平原一帯。


「……誰にも、邪魔されないのか?」


「はい! 神も悪魔も、僕の許可なしには立ち入れない聖域です。そこでなら、一生有給休暇ですよ!」


「一生有給」。


 その言葉が、社畜の脳を焼いた。


「わかった。その条件、飲んでやる」


 こうして、御子柴 亮は、異世界の片隅で「自分一人のための隠居生活」をスタートさせることになった。



 ——だが。



 彼が最初に検索した動画が『プロ直伝!肉汁爆発・自家製ソーセージの作り方』だったことが、後に神々の食文化を絶滅リセットさせる引き金になるとは、この時の死神も、そして御子柴本人も知る由がなかったのである。

「もし面白いと思ったら、下の【☆☆☆☆☆】やブックマークで応援いただけると、おじさんが喜びます!」

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