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嘘が正義の世界で、“真実”を叫ぶ明証師  作者: 真野はるえい
第3章:嘘と真実の狭間で
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Case08「虚像の街角」

 翌日もニュースは同じ映像を流し続けていた。

 彼女は“加害者”。悠斗の証言は切り捨てられ、ネットでは「虚言」とまで言われている。


「……僕、余計なことをしたんですか」

 悠斗はスマホを握りしめ、画面を伏せた。誹謗中傷の通知が止まらない。


「いや。お前の言葉がなければ何も動けなかった」

 そう言ったものの、胸のざわつきは消えなかった。


「現場を確かめるぞ」

 告城さんが短く告げた。



 第七街区のアーケードは、祭りの後で静まり返っていた。

「ここで彼女を見ました」

 悠斗が指差す。


 その瞬間、背後に影。街灯の死角で傘を差した男がこちらを見ていた。

「……つけられてたな」告城さんの声。影は走り出した。


「待て!」

 俺と悠斗も駆け出す。



 細い路地に飛び込んだ途端、黒いスーツの男たちに囲まれた。

「目撃者を確保しろ」

 無線の声が耳に刺さる。悠斗の腕を掴む手――。


「やめろ!」

 必死に体当たりしたが、逆に弾き飛ばされる。息が詰まる。


 だが、男が一人崩れ落ちた。

 告城さんが鋭い動きで蹴り飛ばしていた。

「走れ!」


 俺たちは路地を抜け出す。背後で閃光が弾け、影が煙のように消えていった。



 残された無線機から、雑音混じりの声が流れていた。

『対象、第七街区に確認。削除を急げ』


 悠斗が震える声で言う。

「やっぱり……彼女は追われてたんだ」


 胸の奥で、あの“助けて”が再び鳴り響いた。

 真実を切り捨てるやつらがいるなら――暴くしかない。

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