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嘘が正義の世界で、“真実”を叫ぶ明証師  作者: 真野はるえい
第3章:嘘と真実の狭間で
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Case06「声の在処」

 夜の《トゥルリエ》は、コーヒーの香りと蛍光灯の淡い光だけが頼りだった。

 非通知の通話が途切れた瞬間から、俺の胸はざわつき続けている。


「雑踏と……ブレーキ音、だったな」

 告城さんが腕を組み、目を細める。

「都市部ならそこら中にある音だ。だが同時に“助けて”を発したとなれば、居場所を絞れる可能性はある」


 名倉マスターがカウンター奥から一枚の地図を持ち出す。第七街区の詳細地図だった。

「今夜、祭りの設営で通行止めになってる道路がある。その付近は普段より雑踏が多い。ブレーキ音も妙に響きやすいはずだ」


 赤ペンでいくつかのエリアが丸で囲まれていく。

 俺は思わず拳を握りしめた。

「じゃあ、そこに……!」


「早まるな」告城さんが俺を睨む。「黒瀬が作ってる“物語”に飲まれたら終わりだ。俺たちが探すのは《真実》だ。彼女を追う奴がいるなら、証拠ごと引きずり出す」


 言葉に、血が熱くなる。

 だが次の瞬間、店のドアが不意に開いた。


 雨に濡れたような姿で立っていたのは、ひとりの少年だった。

 中学生くらい。どこかで見たような顔……ニュース映像の“近隣住人インタビュー”に映っていた子だ。


「……僕、彼女さんのこと、知ってます」

 震える声。だがその瞳は、真っ直ぐ俺を捉えていた。


「テレビの言ってること、あれ……真実じゃないんです」

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