5/7
揺らぐ刃
アジトの扉が重く揺れ、鉄の壁を伝う低い唸り声と共に敵の気配が近づいていた。
「奴らは必ず、遼を奪いに来る……」
猟犬の言葉が響く。俺にとって遼は、まだ見知らぬ少年に過ぎない。だが、ここまで巻き込まれた以上、放ってはおけなかった。
薄暗い部屋の隅で遼は微かに呼吸を繰り返している。その命は儚く、消えそうだった。
「遼の命を助ける何かが必要だ。」
拳を固める。己の不死の謎は未だ解けず、救いの手段も見つかっていない。それでも今は、やれることをやるしかない。
外から足音が近づき、扉の向こうに影が揺れる。
「来たな……。」
猟犬と俺は視線を交わし、刃を抜いた。
戦いが始まろうとしている。遼を守ることは、俺にとっての“ついで”かもしれないが、それでも命を賭ける価値はある。