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死の対価、命の代償  作者: イカのお寿司
第一章 喰うもの、喰われるもの
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闇に差す灯火

四つ目の女を倒し、猟犬と共に地下の腐敗した空洞を後にした。遼はまだ、かろうじて生きている。だがその命は脆く、管に繋がれた彼の体は見るからに危険な状態だった。


「これ以上ここにいては危険すぎる。早く連れ帰るんだ。」


猟犬の声は硬く、しかしどこか焦りも含んでいた。俺は頷き、遼を抱き上げて暗闇の中を這うように這い戻った。街の闇は濃く、いつ襲われてもおかしくない。


アジトに戻ると、そこは薄暗い地下室だった。錆びた鉄の扉が閉ざされ、冷たい空気が流れている。猟犬はすぐさま手当ての準備を始めた。


「どうやって彼を救う?まだ何もわからない。どんな薬も、どんな魔術も効果は薄い。」


俺は遼の小さな胸に耳を当てた。微かに響く鼓動が、まだ希望を示しているように思えた。


「何か手掛かりは?」


猟犬は唇を噛んだまま沈黙する。やがて低く呟いた。


「彼を救う方法は、この街の外にあるかもしれない。けれど外へ出ることは、許されない。闇の掟がそれを阻む。」


俺は考え込む。何度死んでも蘇る自分の体。その代償は計り知れないが、今はそれを使うしかない。もし俺の命の力が遼の命を繋いでいるのなら、もっと何かできるはずだ。


「俺の不死の秘密を解き明かさないと、彼は助からないのかもしれない。」


猟犬が冷たい瞳で言う。


「時間がない。敵もまだ動いている。奴らは必ず、遼を奪いに来る。」


不気味な静寂を破るように、アジトの扉が揺れた。


「来たか……」


俺は刃を握り締め、猟犬と共に身構えた。命を賭けて守るべき少年が、今もこの闇の街で喘いでいる。


「まだ秘密は明かさない。」


俺は自分に誓った。遼の命が繋がっている限り、何度でも死に、蘇り続ける覚悟を。

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