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戦闘力ゼロから始める曲がり曲がったVRMMO 。生産をしつつテイマーと弓の両立は欲張りすぎ……?  作者: kanaria
3章.VRMMOを遊びつくせ

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37.釣りと変な釣果

 久々の強制ログアウトから時間が経ち、再度ログインをする。

 ログアウト中はスキル変更について調べることができた。ご飯を食べながらの検索になってしまったけれど、運営の課金ショップを確認したので間違いないだろう。


「まあ、良いアイテムはなかったんだけどね」


 どれだけ調べても出てきたのは全てのスキルをリセットするチケットだけだった。

 ここまでスキルが育った状態でそれを使う勇気は流石にない。前にひとつだけスキルをリセットできたチケットと名前も違うので、買ったところで大変なことになりそうだ。


 くっ、変なところで不便なゲームめ! 

 どうせスキルレベルが1からになるのなら、スキルを1個ずつ変えるチケットもくれ。


 私は内心、歯ぎしりをする。


 ただ、歯ぎしりをしたところで何かが変わるわけではない。運営に要望も出したので、これ以上できることもないだろう。


 私は薬草丸の管理している鉢植えを眺めながら、ふと魚釣りをしようと思い立った。


「【調合】も良いけど、そろそろ岩凪のご飯がないや。お肉はこの前狩りに行ったけど、魚がピンチだ」


 【空間収納】を確認すると残りの魚は小魚が6匹になっている。このままだと数日ももたない。

 私は慌てて【釣り】に行くことにした。


 拠点の外に出ると太陽が眩しい。

 今のところゲーム内で雨が降っている所は見たことがないけれど、今日は砂漠のような輝き方だ。


「こんなに眩しかったっけ?」


 首を捻るも、そこまで日差しに注目したことがない。気にしていなかっただけで、このくらいだったのかもしれない。

 私はそれ以上考えることなく、第2の街中を歩き始めた。


 釣竿を含め、持ち物全てが【空間収納】に入っている。ただ、釣り餌の予備がない。私は少し悩んだ後、NPCの開いている雑貨店に行くことにした。


「練り餌があると良いなぁ。生餌はちょっと苦手だし」


「ぷぅ?」


 ギリギリ触れるけれど、好き好んでうねうねした虫を触りたくない。

 そんな話をラテにすると、ラテも理解したように頷く。やはりテイムモンスはプレイヤーの言葉を理解しているようだ。


 私はほのぼのとした気持ちでラテを撫でた。


 疑似餌でもいいけど、お店に売ってるかな?

 何が売ってるか楽しみ。


 釣具のお店に行くのは初めてなのでワクワクする。本来、【釣り】は第2の街からだったらしい。

 恐らく第1の街で釣れたのはテイマー向けの救済措置だ。オン爺はその為にいたNPCだったのだろう。


 テイムモンス好きのおじいちゃんを思い出してほっこりする。このゲームで出会ったNPCは個性豊かだけれど、良い人ばかりだった。


 イリスにもお世話になったよなぁ。

 ラテのトリミングやブラッシングができるようになったのはイリスのおかげだ。


 今度、第1の街まで会いに行ってみよう。久しぶりだから驚くだろうか。

 ラテの毛もイリスの為に貯めてある。渡しに行っても良いだろう。


 そのまま釣具店に入ると、中は思ったよりも広かった。

 ルアー、釣り竿、餌、なんだか良く分からないグッズまで色々ある。お守りは釣果が上がる【付与魔法】がついているんだとか。


「へぇ、面白い」


 お財布の紐を締めておかなければ散財してしまいそうだ。

 私は近くにあった魚の形のルアーを手に取った。


「本当にこれで釣れるのかな?」


 見るからに偽物だ。これに間違えて食いつくのなら魚はよほどおバカなのだろう。

 やたらとピカピカなルアーにドン引きしつつ練り餌も探す。釣竿はオン爺から貰ったものがまだ使えるので今回は見送った。耐久度が減る度にナツミに直してもらっていたのだ。


 特にこだわりが強いわけでもないのでフィーリングで餌やルアーを選び、カウンターへ持っていく。練り餌はなんだかオン爺のものと似ている気がする。

 それに、NPCのお店で買い物をするのは初めてだ。


 ラテたちを連れているのが申し訳なくなるくらい狭い通路を抜け、辿り着いたカウンターにはオン爺がいた。


「あれ? オン爺?」


「むむ、シオン?」


 オン爺も私のことを覚えていたのか目を丸くしている。

 通りで見覚えのある練り餌だったわけだ。


「ほうほう、ラテも相変わらず可愛いのう。他にも増えておるし」


 ふわふわしていないテイムモンスはそこまで興味がないのか、オン爺の視線がすぐにラテへ戻る。

 ラテもオン爺を見て右手を軽く上げた。


 どんどん人間くさくなるな……。

 こんな仕草を教えたっけ?


 よっ!と言わんばかりのラテの行動に少し戸惑う。言葉を理解していることは知っていたけれど、思った以上に人間ぽい。


「ぷぷぅ!」


 カウンターの上に上り、後ろ足で立ち上がるラテをオン爺が撫でる。撫でる前にしっかりと許可を取る辺り、本物のオン爺だろう。


「オン爺はどうしてここに?」


 私の記憶が間違っていなければ、オン爺は第1の街にいたはずだ。一人でこの街に来るには道が険しすぎる。


 実はモンスターを倒せる猛者だったとか?

 テイムモンスが好きだからテイマーなのかも。


 一瞬、歩行補助用の杖と相棒のテイムモンスで敵を倒しまくるオン爺が浮かんだ。もしそうならオン爺は私よりも強いかもしれない。

 けれどオン爺がここに居るのはそんな予想を裏切る原因だった。


「わしは元々ここで暮らしておったんじゃ。モンスターにこの街を占領されて第1の街に逃げておっただけでの」


「そうだったんだ……」


 思ったよりも深い話になんと返して良いか分からない。こういう時にさらっと返答ができるほど人生経験を積んでいなかった。


 このゲームのNPCは本当にNPCっぽくない。浮かべる表情も過去も、まるで人間のようだ。

 それが良いことなのか悪いことなのか分からなかったけれど、私は微笑みを作った。


「戻ってこられて良かったね」


 自分の故郷が奪われるのは辛い。色々な場所を転々としても戻りたい場所はあるだろう。

 そんな場所に戻れたのなら、それは幸せなことだ。


「そうじゃのう」


 オン爺は嬉しそうに笑い、店を見渡す。

 しんみりとしてしまった空気の中、私は餌とルアーを買って店を出た。


「ラテは何を貰ったの?」


「ぷぅ?」


 私を見上げるラテの首にネックレスのようなものがかけられている。オン爺からのプレゼントだ。【観察】してみるとお守りらしい。効果までは分からなかったけれど、貝殻の綺麗なネックレスでラテに似合っている。


 この【観察】もなかなか使いにくいんだよなぁ。

 スキルレベルが20を超えてから軽い説明が増えたけど、明らかに私が思ったことを文章にしているだけだし。


 実際、ラテのネックレスを【観察】した結果がこれだ。


 名前:貝殻のお守り

 説明:キラキラしていて綺麗


 何の説明にもなってないわ!!


 きらきらしていて綺麗なのは見ただけで分かる。

 モンスターを【観察】した時も同じように強そうなどの私の感想が載っていた。


 いつになったら【観察】が使えるようになるんだか……。

 上級スキルにならないと私の想像している【観察】にならないのかな。


 遠い道のりに目線も遠くなる。このゲームのスキルを使いこなすには中々努力が必要そうだ。


 そんなことを考えているうちに街はずれの川に着いた。

 川辺には薬草なども豊富に生えている。魔力草や鎮静草もありそうだ。それでもダンジョンで【採取】をした方がたくさん採れるので、いかにダンジョンが規格外かがわかる。


「まぁ、今日は薬草を採りに来たわけじゃないから良いんだけどね」


 薬草系はダンジョンで【採取】しているし、下級ポーションや下級マナポーション、痺れ取り薬はかなりの頻度でみんみんに渡している。それでも使い切ってしまうくらい『もうぼっちとは言わせない』ではポーションが足りていないらしい。

 早く【調合】持ちを増やした方が良いだろう。


 ラテや岩凪、薬草丸を川辺におろし、釣具を【空間収納】から取り出した。今日のメインはなんと言っても【釣り】だ。

 少し日差しがまぶしいけれど、絶好の釣り日和。私はルアーを付けて川に釣り糸を投げた。


「うーん、微妙……」


 初めてルアーを使ったせいか、変なところに落ちてしまう。動きもなんだかスムーズにいかなかった。

 それでもすぐに何かがかかる。


「おお? おおお?」


 川のど真ん中でまさかヒットするとは。私は慣れない手つきで糸を手繰り寄せていく。


 ただでさえ使いにくいのに、竿のしなりも強く、川へ引きずり込まれそうになる。こんな手ごたえは初めてだ。


「ぷぅ!」


「ササッ!」


 私が暴れる釣竿に振り回される様子が面白かったのか、ラテと薬草丸が近くで私の真似をする。可愛いけれど、蹴りそうで怖い。


 激闘の末、川岸に手繰り寄せて網で引き上げたその中身はなんと、空き缶だった。


「…………えっ?」


 目をこすっても網の中の空き缶は変わらない。魚になったり、動き回ったりすることもない。


 なんで!?

 あの手ごたえで空き缶?

 …………なんで?


 びっくりして空き缶を持ち上げる。どれだけ【観察】しても空き缶は空き缶だった。


「重い引きはスキルレベル不足だったってこと? でも……」


 私の【釣り】スキルを見直してもそれ程低くない。現時点でレベル18はむしろ高い方だ。

 空き缶とはそれ程釣るのが大変なものなのだろうか。


 私は空き缶を片手にしばらく悩み、考えるのをやめた。

 ゴミに見えるけれど、もしかしたらすごい空き缶なのかもしれない。今の私には判断がつかなかった。


 気を取り直し、【空間収納】に空き缶をしまう。再度ルアー付きの釣り糸を投げ入れると、今度は良い感じの場所に釣り糸が落ちた。


 第2の街は第1の街よりも大きな魚が釣れるらしい。空き缶は見なかったことにして次に期待だ。大きな魚なんてワクワクする。

 もう、次に釣り上げた魚が1匹目で良いだろう。


「今度こそは魚を釣るぞ!」


 さっきよりも気合を入れて魚の振りをする。1度目よりは慣れたのか、手つきも悪くない。

 今度は面白い動きをしていなかったものの、これもラテと薬草丸が真似をしてくる。岩凪は近くで草を見つめているようだ。


 か、かわいい。


 後ろ足で立ち上がって真似をするラテや、ちらちら私の様子をうかがいながら真似をする薬草丸が可愛い。【釣り】よりもそちらに意識がいってしまう。


 薬草丸が率先して私の真似をするせいでラテまで私の真似をしているようだ。

 思わぬ伏兵で先ほどより時間がかかったものの、再び竿が引かれた。


「よし、かかった!」


 空き缶より軽い手ごたえだけれど、今度はしっかりと魚影が見える。

 これで空き缶だったら詐欺だろう。


 右へ左へ。魚を振り回しながら何とか釣り上げる。なぜか第2の街の魚は釣り上げるのがとても大変だった。


「でも、大物じゃない?」


 釣り上げた魚ににんまりと笑う。

 ハルカに捌いてもらったら何食分にもなる大きさだ。これなら釣り上げるのが大変でも納得できる。むしろリールのついていない釣竿で良く釣れたものだ。


 釣り上げる数が少なくても大物なら何回か分のご飯になるよね!

 第1の街で小魚を釣っていた時より良いかも。


 どんな魚なのか気になり、釣り上げた魚を【観察】するとブラッキングバスだった。間違いなくブラックバスをもじった魚だろう。何となく食欲が失せる。

 運営は魚に親でも殺されたのだろうか。ここにきて外来魚とは思わなかった。


 魚のことを知らないにしてもすごいな。

 第1の街でも煮干しが泳いでいたし、実は魚が嫌い?


 運営の絶妙なセンスに口がへの字になる。けれど岩凪はブラッキングバスでも問題ないようだ。

 釣り上げた魚につられて私の方へ向かってくる。ゆったりとした歩みでも視線は魚にくぎ付けだった。もしかしたら岩凪には美味しそうな魚に見えているのかもしれない。


「……岩凪が食べるなら、良いか」


 私はつっこむのを辞め、【釣り】に戻った。

シオン Lv.22 ドッペルゲンガー

 所属:テイマーギルド

 非公開称号:『NPCとのフレンド1号』 


 HP:111(740) 

 MP:1,462+40(740) 

 STR:740(740)


 ATK:2(26) 

 DEF:13(26)

 MDEF: 22(26)

 AGI:16(26)

 INT:51+5(22)

 DEX:58+9(25)

 LUK:89+23(8)


 スキル:メイン【テイム Lv.9】 サブ【観察 Lv.28】 生産【調合 Lv.34】

 【弓 Lv.14】、【解体 Lv.19】、【採取 Lv.23】、【栽培 Lv.1】、【釣り Lv.18】、【醸造 Lv.6】、【魔法素養の心得 Lv.5】、【空間収納 Lv.19】、【MP微強化 Lv.21】、【INT微強化 Lv.21】、【DEX強化 Lv.5】、【LUK超強化 Lv.3】


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