07・銀色の瞳と金色の瞳
一応念の為…紅蓮は真っ黒な黒猫で、凪斗は茶虎猫でイメージお願いしますわぁ。
城内の廊下を歩いている紅蓮と凪斗だが、あれから五分程歩き続けているが、今だ誰とも遭遇しなかった。
『…もしかしてこの城…僕達しか居ないのか…?』
そう凪斗は考えて、その事を紅蓮に話そうと、紅蓮の方を向いた。するとその時、凪斗は紅蓮の瞳に気付いた。
「紅蓮…気付いたんだけど…」
「どうしたの?」
「黒猫って…確か黄緑色の瞳だよな…」
「えっ…うん…そうだね…」
昼休みに見た黒猫を思い出しながら、紅蓮は理解する。
「でも紅蓮の瞳…銀色だけど…」
「えっ…」
紅蓮はもう一度スマホを取り出し、カメラで確認すると、確かに黒猫の姿になった紅蓮の瞳は、銀色の瞳であった。
「本当だ…何で銀色…ってか…そういう凪斗も、よく見たら金色じゃない?」
そう言って紅蓮は、スマホを凪斗に渡した。
「えっ…?」
受け取ったスマホで、自分の顔を見てみると、紅蓮に言われた通り、よく見ると金色の瞳をしていた。
「…虎猫も黄緑色だよね…」
凪斗の尋ねる様な声に、紅蓮は頷くしかなかった。黒猫獣人である紅蓮が銀色の瞳、虎猫獣人である凪斗が金色の瞳。普通の猫ではありえない瞳の色をしていた。
「そもそも、人間が猫の獣人になる自体、ありえない事だから、普通とは違う瞳の色をしていても、可笑しくないんじゃない? それ以前に此処は異世界みたいだから、地球での常識が通じないから、こんな瞳の猫が居ても変じゃないし…」
そう紅蓮が言うと、凪斗は何となく納得する様な様子を見せた。
その後暫く歩き続けたが、やはり誰とも遭遇しない。
「凪斗…この城、僕ら以外誰も居ないみたいだけど…」
紅蓮が言うと、凪斗も先程同じ事を考えていた事を話した。
「でもこの城…まるで誰かが管理している様に、綺麗だ…」
仮にこの城が無人の廃城なら、もっと荒れ果てている筈だが、今まで歩き回ってきた場所は、全て綺麗な状態でいた。
やがて大きな扉の前を通過しようとした時であった…。
「!」
「!」
突然二人は、扉の前で足を止めた。
「今…」
「呼ばれた…」
二人は何かに呼ばれた様な気がし、紅蓮も凪斗もそれがお互い同時であった事に驚いた。
「紅蓮、どうやらこの扉の向こうからだ」
凪斗が扉を示しながら言った。
「…開けてみよう」
「うん」
紅蓮は同意し、凪斗とそれぞれ片側ずつ、ドアノブを掴んだ。そしてゆっくりと扉を開けた。
「……」
「……」
扉の向こうは高い天井の広間であり、二人は何となく其処が、この城の玉座の間の様な気がした。
だがそれ以上に気になる物があった。
それは広間の真ん中には…自分達をこの世界に送り込んだ、虹色の球が浮いており、その奥には…二振りの剣が交差する様に浮いていた。
例の虹色の球…そして二振りの剣…。
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