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黒と赤の猫の騎士達  作者: 黒猫キッド
第1章・転移編
5/15

05・消失と新しい体

 某・黒い球の影響を受けていますわ。

 区切りが無かったので、この話は他の話の三倍ですわ!

 #%$? *@?$# &%#@*


(笑)+*@?! #$*@


「何これ?」

 意味の分からない言葉が球に表示されており、凪斗は疑問の声を述べる。

「何か伝えようとしていると思うけど…これじゃ分からないよ」

 そう紅蓮が呟いた時…まるで紅蓮の言葉に答える様に、球の文字が変わった。


 これカラ 穴TA太刀ヲ ある九にTENNIシマス


「これから…貴方達を…ある国に転移します…?」

 球に表示された文字は、ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字を滅茶苦茶に混ぜた文章だったが、それ等をよく読んでいくと、その文章になる事が分かった。更に球は文章を表示させる。


 そレ出HA ミナ三を テン蒼 イタします


「!?」

 その文章が表示された瞬間、虹色の球は光輝きだした。

「おい! 何だよこれ!」

「ちょっとヤバイって!」

 クラス中がパニックになった。担任は何とか宥めようとしたが、パニックは収まらない。球は更に輝きを増してきた。

「ッッ!!!」

 その瞬間、紅蓮の隣に居た凪斗が、球を止めようと駆け出した。それを見て紅蓮も駆け出す。そして二人同時に球に触れた。

「っっ!!!!」

「ぎぃ!!!!」

 その瞬間、二人に激痛と焼ける様な熱さが襲い掛かった。

「紅蓮! 凪斗!」

 琉季が悲鳴を上げて駆け寄ろうとするが、勇樹に止められてしまう。

「放してよ! 紅蓮が! 凪斗が!」

 琉季の悲痛な叫びが教室に響き渡る。

「る…き…」

 紅蓮と凪斗は激痛の中、体が溶けて消えていく様な感覚に襲われていた。

 やがて光は教室を包み込んだ。

 …暫くして教室から光が消えた時、その教室に居た三十一名の姿は何処にも無かった。そして教室に居た彼らが、再び姿を現した場所には…二十九人の姿しか無かった…。


※         ※


「…紅蓮…凪斗…起きなさい」

 優し気な女性の声に、紅蓮の意識は覚醒していく。

「んんっ…」

 紅蓮の意識が完全に戻ると、目の前にはあの虹色の球が浮かんでいた。

「あの…球…」

「グレ…ン…?」

 隣から凪斗の声が聞こえたので、凪斗の方を向くと…光る球が浮かんでいた。

「ええっ? ナ…凪斗…? この球が…?」

「声からして紅蓮だけど…君も今は球だぞ?」

「えっ?」

 凪斗と思われる球から指摘され、紅蓮は気付いた。自分の体が凪斗と同じ光る球である事に。

「えっと…何で球?」

「…分からない」

 普通なら取り乱す所を、二人は何故か冷静に戸惑うだけだった。

「それは貴方達が、この球に触れたからです」

と、先程の声が、虹色の球から聞こえた。どうやら此処から声が出ている様だ。

「さっきと違って、球が喋っている…」

「今の僕らも、球だけどね…」

 紅蓮の言葉に凪斗が突っ込む。

「まあ冗談はこの辺で…僕らが貴方に触れたから、貴方と同じ様な姿になったんですか?」

 凪斗が尋ねると、虹色の球は僅かに揺らしながら答える。

「そういう訳ではありません。先程私が貴方達を転送させると告げていましたね?」

「はい」

「その際に次元越えるエネルギーを発動させていましいた。その際に紅蓮、凪斗。貴方達は私に触れてしまいました。その為にエネルギーが貴方達の体を破壊しつくしてしまいました…」

「…それってつまり…僕と凪斗は…死んだって事…?」

紅蓮が尋ねると、虹色の球は…。

「いえ。肉体が破壊されただけで、死んではいません」

「でも肉体が無いなら、それは死んだって事じゃないか? そっちの訳の分からない理由で、僕らは死んだって事か!?」

 凪斗が憤りを見せつけながら尋ねる。

「…貴方達が触れるのは、予想外でした…その事については、申し訳ありません」

 虹色の球が真摯に謝ってる様子に、紅蓮はおろか憤っていた凪斗も、責める気を失ってしまう。

「その為に私は、貴方達に新しい肉体を与え、送る予定だった世界に転生させようと思います」

「…さっき何処かの国に転送させるって言っていたけど、それってまさか…異世界?」

 紅蓮は何時かクラスメイトの誰かが、クラス一同が異世界に転移させるラノベを読んでいたのを見たので、それなのでは無いかと気付いた。

「貴方達から見たらそうです」

 虹色の球は肯定する。

「…新しい肉体って?」

 今度は凪斗が尋ねる。

「想定外の結果とはいえ、貴方達の肉体を破壊してしまったので、貴方達に相応しい肉体を与え、更に様々な能力を与える事にしています」

「その新しい肉体を貰ったら、僕達は本来送られる国に行くの?」

 紅蓮が聞いた。

「いえ…あの転送はある国の儀式が関わっていたので、私が送るのはその国の隣国になります。勿論貴方達が自力で行くなら、止めません」

「何で送ってくれないんだ? 貴方の様な超常的な存在なら出来るだろ?」

 凪斗が追及する。

「…守って欲しいからです」

「守る? 何を?」

「……それはまだ、言えません…どうしますか? もし望まないなら、このまま貴方達を死後の世界に送るという選択もありますが…?」

 虹色の球に言われた選択肢は二つだった。


 1・新しい肉体と能力を貰って、異世界に転移する。


 2・拒否して死後の世界に行く。


「紅蓮…どうする?」

 凪斗は尋ねた。

「…僕は新しい肉体を貰って、異世界に転移するよ」

 そう紅蓮は答えた。

「死後の世界に行ったら、もう家族にも琉季にも会えないけど、異世界ならまだ帰れる方法があるかも知れない…僕はそれに賭けたい」

「…紅蓮なら、そう言うと思ったよ」

 紅蓮の確固たる言葉に、凪斗は受け入れる。

「なら僕もそうする。君と共に新しい肉体を貰う…紅蓮が一緒なら、僕は平気さ!」

「凪斗…ありがとう」

 今はお互いは球体の姿だが、もし肉体が有ったなら、拳を付き合わせる等の動作をしていただろう。

「では紅蓮、凪斗。貴方達に新たな肉体を与えます…それとこれを貴方達に与えます」

 そう虹色の球が告げると、その前に二つの物体が現れた。

 一つは雷の様な物を発生させている球体、もう一つは風の様な物を発生させている球体だった。

「それは…?」

 凪斗が尋ねる。

「此れは深雷の紋章と真風の紋章…紅蓮、貴方には深雷の紋章、凪斗、貴方には真風の紋章を授けます。此れはきっと、貴方達の役に立ってくれるでしょう」

 虹色の球がそう言うと、深雷の紋章は紅蓮に、真風の紋章は凪斗に向かってきて、それぞれに触れた途端、同化する様に消えてしまった。

「…それでは時間の様です…黒崎 紅蓮、赤崎 凪斗。貴方達に任せます…」

 虹色の球はそう言った。

 紅蓮と凪斗は『任せる』とは何なのかと聞こうとしたが、次第に意識が薄れていった。


※        ※


「…んっ」

 草の匂いを感じて、紅蓮は意識を取り戻した。目を開けると其処には、青空が広がっていた。

「此処は…異世界…?」

 虹色の球との会話が夢でなければ、此処は異世界だと認識出来た。

「! 凪斗は?」

 凪斗の事が気になり、紅蓮は起き上がった…その際に視界の端に黒い物が見えた。

「? 何だ?」

 それを目で追っていくと、黒いロープの様な物が見えた。

「何これ?」

 何かと思い紅蓮は、ロープらしき物に手を伸ばした…黒い毛に覆われた手が見えた。

「うぇっ!?」

 慌てて手を引っ込めた紅蓮。恐る恐る目の前に手を上げると、自身の手が黒い毛に覆われていた。

「な…何だこれ!?」

「…紅蓮?」

 隣から凪斗の声が聞こえた。

「凪斗! 何…こ…れ…」

 凪斗の方に振り向くと其処には…自身の中学の制服を着た、人間サイズの虎猫が居た。

「な…凪斗…?」

 まさかと思い凪斗の名で呼ぶと…

「う、うん…僕は凪斗だけど…紅蓮…だよな?」

「う…うん」

「…紅蓮…黒猫だ…」

「…えっ?」

 紅蓮は制服のポケットに入っていたスマホを取り出し、インカメで自身の姿を見た…其処には黒猫が映っていた。そしてそれと同時に、凪斗も同じ様にスマホで自分の顔を見ていた。

「「……何だこれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」」

 二人の絶叫が響き渡った。

 どうやら異世界において、黒崎 紅蓮は黒猫に、赤崎 凪斗は虎猫になってしまった様だ。


 紅蓮と凪斗…黒猫獣人と虎猫獣人に転生してしもうた!

 果たして二人は此れから、どうなるのか!?

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