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黒と赤の猫の騎士達  作者: 黒猫キッド
第1章・転移編
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04・虹色の球

ホームルームの時間になり、紅蓮、凪斗、琉季の三人は今現在、他のクラスメイトと共に、担任教師のお知らせを聞いている。

「ねえ、凪斗」

 紅蓮と凪斗は席が縦に並んでおり、紅蓮の後ろに凪斗の席があるという並びであり、紅蓮は後ろの凪斗に、小声で話しかけた。

「なんだい?」

「今日凪斗、何時もの様に朝寝坊したけどさ…」

「何? まさか今更それを責めるの? 僕が朝に弱いのは、知っているだろ?」

「いや、それじゃなくてさ…今日何時も言っている、模型店に行くじゃない? ちゃんと持ってきたのかなって」

「持ってきたに決まってるだろ。今朝君が教えてくれたじゃないか」

 呆れる様に返す凪斗。

「でも先週も、僕が伝えたのに、カバンに入れ忘れたじゃないか」

「それは…」

 紅蓮の私的は事実らしく、凪斗は言い返せない。

 そうしている内に、ホームルームは終わった。

 紅蓮と凪斗は、通学カバンの他に、帰りに寄る用の荷物が入ったカバンも持った。

「じゃあ行こうか凪斗」

 他の生徒も帰り支度をしている中、紅蓮が凪斗に言った。其処に琉季もやって来た。

「紅蓮、凪斗。私も行って良いかな?」

 そう申し出てきた。

「別に良いけど、琉季は楽しくないんじゃない?」

 凪斗が言う。

「別に良いじゃない。見てるだけでも楽しいし!」

 琉季にそう言われて、紅蓮と凪斗は何も返せずに苦笑いして、同行を許可して教室を出ようとする。その時…

「黒崎、赤崎」

 其処に勇樹が話しかけてきた。

「…何かな?」

 嫌な予感を感じながらも、紅蓮が応対する。

「君達の行くとこなら無駄だぞ! 今朝僕が君達の悪事について、話しておいた」

 冷静な口調で告げる勇樹。それに対して紅蓮と凪斗は何も言わなかったが…。

「ちょっと神山! アンタまたそんな事をしたの!?」

 琉季が噛みついた。

「いい加減にしてよ!!! アンタのせいでどれだけ紅蓮と凪斗が迷惑していると思っているの!?」

「榎本さん。幼馴染だからって、庇う必要無いよ」

 今朝と同じ事を言う勇樹に、琉季が更に腹を立てる。

「私は好きで二人を庇っているの! アンタなんかにどうこう言われる筋合いは無いよ!」

「琉季…もう良いから」

 ヒートアップする琉季を、紅蓮が宥める様に止める。

「紅蓮も何か言い返しなよ! 凪斗も!」

「…言った所で、何か変わる訳じゃないから…」

 もう殆ど諦めた様に、凪斗が言う。

「赤崎。分かっているなら、黒崎と共に榎本さんに構うのはいい加減…」

「アンタは黙ってなさい!」

 尚もまだ何か言ってくる勇樹に、琉季は更に激怒する。

「榎本さん、落ち着いて!」

と其処にホームルームを終えたばかりなので、まだ教室に居た女性担任が止めに入った。

「先生からも言って下さい! 黒崎と赤崎に、これ以上榎本さんに迷惑を掛けるなと…」

 担任に同意を求める勇樹だが…。

「神山君。榎本さんは自分の意志で黒崎君と赤崎君に構っているの。それを迷惑だと言う方が、迷惑だと私は思うわ」

と、勇樹の希望に反して、勇樹に咎める様に言う。その隙に琉季が、紅蓮と凪斗の手を掴んだ。

「行こう紅蓮、凪斗。模型屋に行けないなら、私の家に久々に来なよ。今日は道場に戻らないって聞かないから!」

と、強い口調で言われて、紅蓮も凪斗も仕方がないと考えて、琉季に連れられて教室を出ようと考えた。

「あれ…? 開かない?」

と、その時、先に教室から出ようとしていた生徒が、閉まった扉の前で何かをやっていた。

「どうしたの?」

 琉季が声を掛ける。

「開かないんだよ」

「ふぇ? 鍵でも掛けられてるの?」

 琉季の言葉に紅蓮と凪斗は担任を見るが、無言で首を横に振った。

「ちょっと私にもやらせて」

 そう言って琉季は、扉の取っ手に手を掛ける。

「んっ…ちょっと…何これ…ビクともしない…紅蓮、凪斗、ちょっと開けてくれない?」

 琉季に言われて、二人は扉に手を掛ける。しかし…

「んっ…何だよこれ…」

「全然…動かない…」

 二人がかりでも扉は開かなかった。その後他の生徒もやってみたが、扉は開かなかった。

「窓は?」

 一人の女子生徒の言葉に、窓際に居た生徒が開けようとする。

「!…駄目だ開かない!」

 開けようとした生徒の言葉に、全員が理解した。

「閉じ込められた!?」

 今教室には、このクラスの生徒全員がまだ残っており、その人数は担任を含めて三十一人であった。その三十一人が突然教室に閉じ込められたのであった。

「何だよこれ? 携帯も繋がらないぞ!?」

 一人の生徒がスマホで外部との連絡を試みたが、どうやら繋がらなかった様だ。

「紅蓮、どうなってるんだ?」

 凪斗が紅蓮に話しかけるが、当然ながら紅蓮も分からない。その時…

「何…あれ…?」

 突然琉季が、教室の真ん中を指差しながら叫んだ。其処には…

「…虹色の…球…?」

 何時の間にか教室の真ん中に、直径一m程の虹色の球が、宙に浮かぶように存在していた。

「皆! 近づくな!」

 勇樹がクラスメイトに指示を出す。クラスメイト達は、突然出現した球に、理解出来ない恐怖を感じていた。

「あれ?…球の表面に、何かの文字が出てるけど…」

 一人の生徒の指摘に、紅蓮が球の表面を見てみた。


 虹色の球のイメージは、縁日のスーパーボールすくいの、虹色のスーパーボールを、巨大化させたとイメージして下さいな。

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