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お父さんお母さん観察日記

作者: 村崎羯諦

7がつ25にち 火ようび。


夏休みの自由けんきゅうは、みんなアサガオのかんさつをしてるけど、みんなとおなじじゃつまらないとおもった。かわりにぼくは夏休み、おとうさんとおかあさんのかんさつをすることにする。

今日のおかあさんはいつもと同じように、いそがしいいそがしいと言いながらそうじとかりょうりをしていて、あとはテレビを見ていた。

おとうさんは夜にかえってきて、やきゅうのニュースをみながら、ビールをのんだ。おわり。


7がつ30にち 日ようび。


今日はいちにちお父さんがお休みで、こうえんで遊んだ。ぼくとお母さんのチームとお父さんでバドミントンをした。たのしかった。それいがいはいつものとおりだった。

あと、なつやすみがおわるまえに花火をしたいといったらいいって言ってくれた。


8がつ1にち 月ようび。


おとうさんはしごとでずっといなかった。

おかあさんはまいにち同じことしかしてないから、かんさつしがいがない


8がつ3にち 木ようび。


今日のおかあさんはいつもとはちがうことをした。おかあさんはお父さんをげんかんで見おくったあと、すぐにおけしょうをはじめた。それからおでかけをするから家で夏休みのしゅくだいをしててねと言ったたけど、おかあさんをかんさつするのがぼくの夏休みの宿題だから、ぼくはこっそりおかあさんのあとをついていった。おかあさんはすごくあるいて遠くの駅にいったけど、そこには、となりのクラスの中村先生がいた。中村先生がおかあさんに手をふると、おかあさんも中村先生に手をふって、走った。

おかあさんと中村先生は手をつないでしょうてんがいに行ってしまった。ぼくはお母さんと中村先生がなかがいいということを知らなかったので、とてもびっくりした。


8がつ5にち 土ようび。


きょじんが負けたからおとうさんはくやしがってた。

はなびはいつするのと聞いたら、なんだっけっていわれた。これだから大人はしんようできない。


8がつ6にち 日ようび。


たつやのいえでスマブラをした。


8がつ9にち 水ようび。


ぼくがいないとき、家でおかあさんがどんなふうなのかをかんさつすることにした。

ぼくはたつやの家にあそびにいくとうそを言って、にわにかくれておかあさんを外からかんさつした。ぼくがいないときのおかあさんはへやでおけしょうをして、家の中をずっとうろうろしていた。そしたら、いえに中村先生が来た。先生がいえにくるのは、かていほうもんの日だけだとおもっていたので、ぼくはびっくりした。

にわからこっそりへやの中をみていると、お母さんと中村先生はすごくえがおで、それからふたりでぎゅーっとしてた。それからおかあさんがいえのカーテンをしめてしまったので、おかあさんをかんさつできなくなった。


8がつ13にち 水ようび。


きょうはおやすみだったけどおとうさんは家にいなかった。おかあさんはそわそわしてた。

それから昼すぎにでかけてくるといって出ていった。


8がつ20にち 日ようび。


ぼくがたつやくんの家からかえってくると、おとうさんとおかあさんが大声でけんかをしていた。おとうさんはつくえのうえにひろげたおかあさんと中村先生がうつった写真をゆびさして、これはどういうことだと言って、お母さんはお母さんで、あなただってふりんしてるじゃないっていいかえしていた。

おとうさんはおこって、ふりんなんてしてないとどなって、イスをけとばした。おかあさんはうそつきって言って、おとうさんはふりんおんなっていった。

おかあさんが中村先生となかよくしていたのはしってたけど、なかよくしてるだけでそんなにけんかになるなんて、おとうさんとおかあさんはいがいとこどもっぽいのかもしれない。


8がつ21にち 月ようび


おかあさんは一日中泣いていた。おひるごはんのときおかあさんは、お父さんがわかいおんなとふりんしてて、おかあさんとりこんしたがってるのと泣きながら何度もいっていた。

わかいおんなってだれとぼくはきいたけど、それはわからないっておかあさんはいった。それからまたわんわん泣いて、おとうさんのわるぐちをずっといっていた。


8がつ22にち 火ようび


きのうはおかあさんが一日中泣いていたけど、きょうはげんきだった。おとうさんとおかあさんもふつうにかいわしていて、なかなおりしたみたいでよかった。


8がつ26にち 土ようび


おとうさんとおかあさんが花火をしようって言ってくれた。

ゆうがたにおとうさんとおかあさんとスーパーに行って、はなびを買った。

まっくらになったあとにきんじょのこうえんに、ばけつとはなびをもっていって、そこでいっしょにはなびをした。はなびはきれいだった。おとうさんとおかあさんもわらってたからよかった。

さいごのせんこうはなびをやったあと、おかあさんがぼくにたのしかった?ときいてきたから、たのしかったとぼくはいった。


8がつ27にち 日ようび


あさおきたら、おかあさんがいなくて、かわりにおとうさんがあさごはんをつくってくれた。おとうさんがつくったごはんは、おかあさんがつくるあさごはんよりも、あじがこくておいしかった。


8がつ28にち 月ようび


今日もおかあさんはいなかった。


8がつ31にち 木ようび

いえにかえるとやっぱりお母さんはいなくて、代わりにこのじかんはいつもはかいしゃに行ってるお父さんがいえにいた。おかあさんは若い男とでていったとおとうさんはつかれたかおで言った。

それと、おかあさんはでていったけど、9月になったらあたらしいおかあさんがきてくれるはずだからしんぱいするなともいった。おかあさんがでていったとか、あたらしいおかあさんができるとかいうのはよくわからなかった。だけど、なつやすみはきょうまでなので、あたらしいおかあさんのことはこのかんさつにっきも書くひつようはないので、よかった。

提出日:

9月1日


評価:

大変よくできました。


担任の先生からのコメント:

お母さんの観察日記を書くというのは、克彦くんらしいとてもおもしろい発想だね。

夏休みの最後に克彦くんのお母さんが出ていってしまったこと、そしてお母さんのお相手が隣のクラスの中村先生だって知ってとても驚きました(真面目な中村先生が突然理由を言わずに、先生を辞めてしまってみんな何事?と騒いでいたんだけど、こういう理由があったんですね)。


でも、克彦くんのだいすきなお母さんがいなくなってしまったことはとても悲しいことだと先生は思います。克彦くんのことが先生はとても心配です。


今はまだ実感がわかないかもしれないけど、いつかこの事実が克彦くんに重くのしかかって深く悲しんでしまう時が来ると思います。

そんな時は自分一人で抱え込まずに先生に相談してね。


遠慮なんかいらないからね。出ていったお母さんと同じように先生に甘えてほしいな。


だって、9月からは先生が克彦くんの新しいお母さんになるんだから。

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