O張チルドレン
いかがでしたでしょうか? 当方にしては珍しいホラー作品でした。「は? ホラー? 全然怖くなかったんですけど」ってツッコミは覚悟のうえです、はい。
そもそもホラーでいい話にするのって、どうなのかな、とも思いますし…… 精進しまっす。
まあ自作品語りはそこそこにタイトル回収であります。
自分はよく知らないのですが、アニメ作品のクレジット見てるとO張M巳なる人物の名前をひんぱんに目にします。割と著名な作品にも参画しておられるので凄い人なんだろな〜と漠然と考えてたって程度です。で、気になって調べてみました。
するとなんと自分が好きだった作品にも結構関わっておられる凄い人。アニメファンの間でも周知の有名人だったようです。いや、有名なのは知ってはいたんですけどね。
で、演出の技法やかっこいいメカデザの手法を確立した人でもあるらしく、バリ演出とかとも言われてるのだとか。特にOPアニメを得意とするらしく、ロボ系アニメのopはほぼバリ演出で構成されている……らしい。ただもうあまりにもカッコイイ演出を出しきってしまい、アニメファンの間では大いなるマンネリと受け入れられているようです。大いなるマンネリ肯定派の自分としては評価を下げる理由にはなりません。
ただ、ご自身が企画、立案に携わった作品の評価は高くはないようなので、演出、メカデザでいい仕事をする人なのかなと。ただ自分はその作品一本も見てないので、個人的な憶測に過ぎないことを明記しておきます。ちなみにロボじゃない作品は概ね高評価のようです。
バリ演出のひとつとしてロボットが敵を斬るシーンで、斬る描写をしない、ってのがあるらしいです。主人公ロボが剣を振り下ろす。次のシーンでは主人公ロボの背後で斬られた敵ロボがドカーン。誰もが(?)一度は目にしたであろうこの演出もバリ演出なのだそうです。小説書きの自分としては唸らざるを得ません。
例えば小説でも同じようなシーンでふた通りの描写ができそうです。
A 「主人公が横に薙いだ刀は敵の首に食い込み、刀身は肉を切り裂き首の骨の抵抗もものともせず、そのまま刀は振り抜かれ、敵の首は血煙を上げ、胴から切り離された頭部は地面に転がった」
B 「主人公は剣を横薙ぎに一閃。次の瞬間、敵の頭部は地面を転がっていた」
Bがバリ演出に近そうです。Aよりずっと簡潔で読みやすい。まあこれは自分の筆力がお粗末ってのもあるんですが。これはどっちがいいってもんでもなく、好みの問題でしょう。筆力ある人ならA演出でもいいと思います。あとはユーザーの好みによるでしょう。
恐らくバリ演出は斬る描写を省くことによって視聴者に脳内で勝手に想像させるって思想なのでしょう。素人小説書きとしてはとても参考になります。まあアニメの場合は作画が面倒って大人の事情もあるのでしょうけど。(笑)
それとこの人、作品の傾向から察するにどうも時代劇のファンであるようにも思えます。剣劇シーンを演出に取り込んでる、みたいな説もどっかで見ました。またプロレスファンでもあるらしく、自身の作品にプロレス技を取り入れてるってのもアニメファンの間ではもう常識のようです。
「ロボットは顔が命!」「カッコよければ全て良し!」てな姿勢にも激しく共感します。実際この人がデザインしたロボは文句なくカッコイイです。
……ただ、その勢いで作品を作ってしまおうという心意気は大好きなのですが、それを毎週放送されるアニメで見てたらチト辛いかもしれません。勢いだけではストーリーの破綻や設定ミスも出るでしょうし、それが好みに合わないユーザーも多そうです。特にロボットアニメでは……
評価が高い作品も1話か2話で完結する作品多めなので短期決戦向けの人なのかもしれません。アニメは共同作業でもありますし。
で、なんでこんな最近知ったばかりの人をいきなり知ったかぶって語るのかというと、どうも自分はこの人のチルドレンっぽいのです。いや、全然知らない人だったのですが。
バリ演出のひとつに、ロボットを下から見上げる視点で、ロボが口を開けてファイティングポーズを取ってる、てのがあるらしいです。「ロボットになんで口があるんだ?」って思う人は気にしないで下さい。
しかしこれ読んだ時たまげました。自作品のロボット物で、まんまこれと同じ挿絵をやっちゃってるんですね。特にバリ演出とか知りもしないし、意識もしてなかったのに。
どうも子供の頃から刷り込まれたバリ演出を無意識にやっちゃったみたいです。この一事をもってこの人物がいかに偉大かよく分かります。
私生活がちょっとだらしなくて、公私を混同するところもあるとアニメファンの間でイジられてるのも散見されます。でもクリエイターなんてそれくらいのマイナスポイントがないと面白みもありません。個人的には評価を落とすどころか憧れます。
それとご身内がなんと新日の社長やってるのだとか(これは会社そのものか、関連会社かは知らないのですが)。なんというか……好きこそものの上手なれというか、類は友を呼ぶというか……マンガみたいな人です。
自分がこんなマンガみたいな人物のチルドレンの1人かと思うとちょっと、いや、かなり嬉しくなってしまうのです。
次回からちょっと退屈な短編です。