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厠倶楽部  作者: 厠 達三
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ドライブレコーダー 3

 休日。それなのにわざわざ勤め先へ行くのがどれほど億劫なことか。とはいえ、冤罪被害者になるホネを考えれば愚痴ってばかりもいられない。休みの人間が会社に顔出すもんだからそりゃ職場の人間に怪訝な顔をされる。俺はとりあえず勤め先の支店長に事の次第を説明。車輌のドラレコのメモリーを確認したい旨を伝えると支店長はいかにも面倒はゴメンだとでも言わんばかりの反応を示す。まあ当然か。


 支店長が本部に掛け合い許可を取る。会社の規定でドラレコの映像の持ち出しは厳禁。映像の確認は支店長と2人以上でとの事だった。これも当然か。


 二人して車輌からメモリーを抜き取り会社の一室のパソコンで映像を確認する。俺の休日で幸いだった。これが勤務日だったらことはすんなり運ばなかったと支店長が言った。


 とにかく映像は初っ端から確認。流れる映像がいつ頃のものかは記憶を手繰ればすぐに分かる。俺はあの失踪した少年と出くわした日のあたりにカーソルを移動させる。やはり上書きされるほど時間は経過しちゃいなかった。すぐに行動を起こして正解だった。

 ディスプレイはあの集落へと続く山道を映し始める。俺の記憶に間違いがなければ間もなくあの少年が現れるはずだ。

 やがてディスプレイは俺の記憶と同じ光景を映した。緩やかなカーブの先に、あの青い上下を着た少年が、俺の車に気付き路肩に寄る姿が映っていた。

 支店長は事件は知っていたが少年の服装までは知らなかったと見え、俺に何度も念押しした。だが俺がニュースで見た両親の描いたイラストと同じだと伝えるとさすがに観念した。この映像は大人しく警察に提出した方が賢明だろう。


 事故ったわけでもないし、こんなケースは初めてなので本社も対応に困ったらしい。とりあえず映像はバックアップを取り、警察に提出。提出作業は俺に一任された。早い話が面倒事はテメエで責任取れってことだろう。俺とてそこまで会社に期待してたわけじゃない。気が重いが、俺は一人でこいつを警察に持って行く羽目になった。まあ、これで身の潔白が証明されると思えば安いもんだと納得する他はない。よもや俺が犯人にデッチ上げられたりはしないだろう。

 俺はその足で最寄りの警察署に向かう。これで休日は手当も出ない作業でパーだ。


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