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厠倶楽部  作者: 厠 達三
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いつか咲く君に SIDE B   7

 仕事中も身が入らず、魔界彗星氏を読者ページから追い出す策略ばかりをずっと考えている。


 その1、ファンコールで罵る。


『魔界彗星さん、私はハッキリ言ってアナタが嫌いです。絵は上手いけど魅力が全く感じられません。絵柄も作風も、ついでにペンネームも嫌いです。もう投稿しないで下さい』


  ……アホか。最近投稿してきた人にそんな暴言浴びせてたらこっちが悪者になる。みんな魔界彗星氏に味方するに決まってる。あっちの方が全然画力上だし。てゆうか、そんなバカなハガキ、ボツられるに決まってる。編集部の心象悪くするだけで僕に全然メリットがない。


 作戦その2、ファンコールで正体を暴く。


『魔界彗星サ〜ン。アナタ、2年前ペルソナってペンネームで投稿されてましたよねえ? なんでペンネーム変えたんですかあ〜? ついでに作風もちょっと変えられましたよねえ〜? 僕は知ってるんですよお〜?』


  ……同じだ! 同じ! だいたいそんな正体暴きやったところで向こうのダメージになるとも思えない。しかもファンコールの使用目的を間違ってる。

 やっぱり投稿者なら正々堂々、投稿で勝負仕掛けるのが正道だろう。でも画力じゃ太刀打ちできないし、返り討ちに遭うのが関の山。いやね、その程度は分かってますよ。だから姑息な手段に出たいのであって。


 それからもいろいろ考えたけど到底実現不可能なアホアイデアしか出なかった。そもそも投稿は自由なんだし、興味ない人はやっちゃいけないって法もないし。結局僕の考えてるのはしょうもない底辺の低俗な嫉妬心から来る低劣極まりない独りよがりで間違った正義感でしかない。そんなもんは多くの人に迷惑かけるだけで百害あって一利もないのは分かりきってる。ええ。そのくらい、僕だって分かり過ぎるほど分かってるんですよ。


 結局魔界彗星氏を合法的に読者コーナから追い出す手段も大義名分も見付からずひと月が経った。雑誌の発売日を迎えたので気が進まないながらも購入。すると今月も魔界彗星氏は不在だった。なんなんだ? この不可思議なルーチンは。隔月投稿して何の意味があるんだ? 自分の存在をアピりたいのか? その一方、僕の描いた、あからさまに魔界彗星氏の絵柄をパクった劣化コピーイラストは無難に掲載。みんなは僕の劣化コピーイラなんかより魔界彗星氏の美麗なイラストを期待してたんだろうな。ええ、それくらいは分かってますよ。すいませんね。僕で。


 しかしその数日後、僕は全く意外な場所で魔界彗星氏のイラストを目にすることになる。


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