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厠倶楽部  作者: 厠 達三
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ドライブレコーダー 2

 さらに厄介な事実がある。それは仕事に使ってる車のドライブレコーダーだ。そいつにあの少年の映像が残っているかもしれない。もしサツがそいつを押収したらどうなるのか。

 俺が真っ先に疑われるかもしれない。こんな証拠をなぜ今まで隠してたんだ、てな具合だ。冤罪事件での警察のズサンな捜査は俺も噂くらいは聞いたことがある。とにかく怪しいと思った人間をとことんまで追い詰めて犯人に仕立てあげた事例さえあるらしい。

 昔の話らしいが、今もないとは言い切れない。グラスを持つ俺の手が小刻みに震え始める。


 もしかすると警察は俺の会社の方まで捜査の手を伸ばしてるかもしれない。配送記録を洗えば俺があの集落に毎週行ってる事実なんかすぐ分かる。そうなれば当然俺が使ってる車輌のドラレコも調べるだろう。俺はもう居ても立ってもいられなくなった。


 俺はない頭をフル回転させる。ドラレコの映像はある程度記録すれば上書きされる。もう10日も前なんだからとっくに上書きされて少年の映像は消えてるかもしれない。が、それは俺の楽観に過ぎない。そもそも俺はドラレコの記録時間なんか把握してない。会社も配送業という仕事柄、車輌のドラレコには大容量のメモリー積んでるかもしれない。10日くらい余裕で記録できてたとしても不思議はない。


 いや、正確には10日じゃない。間に休日を挟んでるから実質7、8日しか稼働してない。しかも仕事中の8時間だけ、さらに走行中となるともっと短時間になる。なんてこった。その程度の時間なら記録が残ってる可能性の方がずっと高いじゃないか。こいつはグズグズしていられない。今すぐにでも何か行動を起こさないと。最悪、俺が失踪とは無関係である立証をしなくては。


 俺は冷静になっていま一度考える。明日は休日。会社に行く予定などない。だが、ドラレコ積んだ車輌は会社にある。明日、サツが会社を訪ねて来ないとも限らない。それより先に動かないと。

 とにかく明日、休日でもいいから会社に顔出して、あの失踪事件と関わりのある映像があるかもしれない事実を打ち明け、キーを借りてドラレコのメモリーを受け取る。映像確認して少年が映り込んでたらメモリーを大人しく警察に提出する。面倒だがこれしかもう俺の潔白を証明する手段はないだろう。

 ったく、とんだ休日になっちまった。


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