いつか咲く君に SIDE B 2
素人が集う読者コーナーだからといって、やっぱり絵の上手い人はいるわけで、プロじゃないのかと思うような人ももちろんいる。プロを目指してる人かもしんないけど。
そういう人の絵はやっぱり魅力があるから大きく掲載される。それにひきかえ僕のイラストは最後のページの隅っこがほぼ定位置……いやね、分かってるんですよ。それが分相応って。でもやっぱり上手い人が羨ましい。下手だからって、いや、下手だからこそ上手い人みたいに扱われたくなる。いや、無理な願望ってのは分かってるんです……
なにより羨ましいのがファンコール。説明しよう! ファンコールとは! と、アニメ調で叫んでみました。
要は読者コーナーで投稿者が独自に交わす挨拶。それを僕の投稿してる雑誌ではファンコールと呼称してるのである。あなたのファンですとか絵のリクエストとか。上手くいけば上手い人がリクエストに応えて魅力的なイラストを描いてくれたりする。羨ましい!
もちろん絵の下手な僕はファンコールなんか貰ったことありません。送るのも怖くてできません。ファンコールを活発にやりとりするのは絵の上手い常連さんって暗黙のルールでもあるような感じ。下手な底辺常連は羨望の眼差しで眺めるのがお定まり。いや、分かってはいるんですけどね。
なにしろそういう人たちは端から画力があって志も高いんだろう。僕みたいにどうにか引っかかりたくて無理してイラスト描いてる輩とはレベルが違う。そんな人たちと対等に挨拶などできるわけがありません。
でも、そんな僕でも1年やり、2年もやってると覚えてくれる常連さんもいるもので、好きなアニメやゲームの話題で僕を名指ししてくれる投稿者さんも現れたりする。その時は嬉しさのあまりイイ歳して畳の上を転げまわったな。でも、何度かやりとりしたあとその人はいつの間にか姿を消した。いやね、分かってるんです。
桜の咲く頃ってのは人の異動の季節でもある。お相手が大学生さんとか独身さんだったりした場合、投稿なんてやってる場合じゃないってのはよく分かります。彼らだって誰かのためにやってるわけじゃない。楽しいからやってる。僕と同じように。リアルな事情が絡めばそりゃリアルを優先するに決まってます。分かってるんです。
それだけでもなく、トップクラスに絵の上手い常連さんも引退宣言していなくなったりする。周りも寂しいけど本人が一番寂しいんだろうなってのも分かってますよ。彼らだって慈善事業で投稿してるわけじゃないんだから。
いやむしろ上がいなくなってチャ〜ンスとか思っちゃう僕も大概ですけどね……でも、いくら上がいなくなったからって、僕が底辺から中堅に確実に上がれるわけでもありません。年功序列の会社じゃないんだから。読者コーナーは実力が全ての弱肉強食。弱き者は駆逐されても文句言えないのです。




