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厠倶楽部  作者: 厠 達三
118/120

自殺者の死に戻り ~後日談~ 7/5


 女性は配達ボックスを確認に出てきたようだ。まさにこの上ないタイミング。

 再び家の中に戻りかけたところをたまらず声をかけた。


 いきなり声をかけられ女性は驚いたようだが、すかさずあの写真を見せ、しどろもどろに事の経緯を説明。もちろん、あの手記や肝試しの件は伏せたうえで。いきなりそんなこと言ったら不審者扱いされかねない。


 写真を見ると女性は口許を押さえ、しばらく驚いていたが、落ち着くとどうぞ、と家の中に招いてくれた。


 結構立派な家なのに見ず知らずの人間を上げるなんてずいぶん無防備だな。奥さんもとても人が好さそうだ。この事からも死んだご主人がさほど悪い人物ではなさそうなことも窺えた。


 家に上がって応接間に案内される途中、居間では子供がテレビを見ながら画面に合わせてダンスをしていた。


 奥さんが言うには亡くなった主人はテレビが嫌いで今まで家になかったのだが、最近淋しさを紛らわせるために買ったところ子供が嵌まってしまい、ああしてタレントの真似をよくしているのだそう。

 なんだかあの手記に書いてたことと妙に一致してると思った。


 クーラーの効いた応接室で冷えたお茶を出されて人心地。とはいえ何から説明すればいいものやら。

 とりあえず頭の中で設定を構築しながら探りを入れる。


 たまたまあの別荘に内見に行ったらたまたまあの写真を見つけて、不動産屋に聞いたらたまたま知ってたので写真を返しに来ました、てなもんだ。


 すると奥さんも警戒が解けたのか、写真を眺めながらご主人の思い出を語り始めた。

 元々勘の鋭い人だったらしく、手を出す事業は怖いくらい当たっていたという。それだけでもなく、たまに大きな事故事件を予言するようなこともあったらしく、奥さんも予知能力者かと疑うほどだったらしい。

 これはあの手記の内容と符合する。


 でも本人はいたって温厚で、しがないバイト生活で資金を貯めて起業して成功を収めたというのも事実らしい。

 その時奥さんと知り合ったという話も手記と一致している。


 ただ、別荘で変死する2年ほど前からは少し様子が違っていたという。



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