三話 初めてのダンジョン
前回のあらすじ
とても悩んだ末にダンジョンへ行って確認することを決意する。
鹿取 隆太 (26)レベル1
攻撃力 30
防御力 15
瞬発力 23
魔攻力 37
魔防力 26
(スキル)未所持
(称号) なし
(固有力)精神侵食に対する抵抗
星の守護力
「固有力…か。」
迷宮省の公式ブックにさえのっていないこの欄は、恐らくだがあの地球の意思によるものだろう。
俺に与えたのは抗体と力。恐らくこれが固有力に繋がったのか。ステータスには反映されないものなんだろうな、力は。
抗体が精神侵食?に対するものだとは。これが地球が俺に与える理由ってのはなんなんだ?
魔王とかから守るとかそういうのだろうか。だけどそんなものはまだ確認されていないようだからなぁ。
後考えられるのは地球を滅ぼすとか言ってた奴から、俺を守るためか。だけどその相手が分からないんだよな。分からなかったらなにもしようがない。
もうひとつは、星の守護力…か。これはマジでわからん。そもそもスキルの使い方すら分かっていない俺がこんなこと分かるわけがない。
「だけどまぁ、この感じだと地球の意思ってやつを信用せざるを得なくなってきたなぁ。」
信じたく無かったものが、信じなければならない状況になってしまった。
正直、地球の意思何てものが嘘だったら全然楽で良いななんて思ってたし、これが実際に本当だったら、地球を守るなんてことを俺一人でやらなくちゃいけなくなるからだ。というかなってしまった。いや、まだ決まってないけど。決まったのか?わからん。
とりあえず今日どうするか決めないとな。
「確か二階層でレクチャーをしてるって言ってたな。今日はそれだけ受けて帰るか。」
俺は人混みを掻き分けながら二階層へ続く階段を探した。
「ここが二階層。広さは変わってないか。でも人は少ないな。」
二階層は一階層と違い、観光目的よりも探索の準備をする場所といった印象が強かった。
探索のための道具屋だとか、武器屋防具屋、その他もろもろ。ここで全て揃えることができるようになっているようだ。
それらの店を横目に、迷宮省の冒険者レクチャーを受けるため、迷宮省の建物を探した。
「ではこれから、ダンジョンについてのレク………」
てな感じで始まった。受付はとてもスムーズに済ますことが出来た。二時間で一回やっているようで、飛び込みギリギリだったがそこにはいることが出来た。
周りを見ると、やはり一人で来る人は少ないようだ。ほとんどが二人ないし多数で固まって話を聞いている。実際パンフレットにも、ソロは勧めないとされている。
理由はいくつかあって、ダンジョンで生計を立てるためにはある程度潜らないといけない。例えば十層以下。
だが、そこまで行くのに二時間はかかると言われていて、本気でやる人はそこで野宿をしないといけない。
そのために一人だと見張りをつけることも出来ないし、いざというときに助けも呼べない。
だが、セーフティポイントというのがあり二十層辺りからちょこちょこと出てくるようだ。だが、ダンジョンによってその階層は変わる。
まぁ、そんなこんなでソロはいないわけだが。俺の場合この秘密が誰かにばれるわけにはいかないので、今のところソロでやるしかない。
信用出きる人ができたら言っても良いかもしれないが。
だけど、今はレクチャー。やはり複数人数のパーティを前提とした説明であり、実技も二人以上いないと実行できないものがある。
そして今、直面しているのだ。
「で、ペアのいない方がいるようですが、今は一時的にペアを組んでもらってもいいですか?」
待っていた。正直コミュニケーションが得意ではない俺は、こう言われるのを待っていた。
別に友達がいなかったわけではなかった学生時代、いつも組んでいる友達が休んでいるときなど、体育の時間は多々ペアを組まなければならないときがあった。
陽キャと呼ばれる種族は、恐らくだが言われる前に組めるんだろうが、俺はそんなことはないので促されるのを待つしかない。なんなら、組みませんか?と聞かれるのを待つまである。
てか、今日日陽キャとか言わないのか?なんだかそんな気がした。
こういうときに一人の人が奇数人いると面倒くさい。誰かが仲間はずれみたいになるのを正直みたくない。だが、今回は偶数。いや、二人だけであった。
俺はその一人に声をかけた。
「よろしくお願いします。」
「よろしくお願いします。」
向こうも返してくれたのでひと安心だ。相手は俺と同じくらいの女性だろうか。いや、もっと若いか?化粧していると分からなくなるよな、女性って。
てゆうか、それも含めて、綺麗?可愛いって言うのか?でも、顔が整っているようだった。それにスタイルもよくて。俺としては、ずっと仕事ずくめで、女性と関わったのは久しぶりだったので免疫がなかったのかもしれない。
まぁ、何か癖のあるような人じゃなくてよかった。
「じゃあとりあえず、夜営について………」
聞くとそんなに変なところはなかったと思う。よくある普通のキャンプに近い感じだ。まぁ、バーベキューとかそういうキャンプではなくて、森の中とかそういうプロみたいな人たちがするやつだが。
結構そういう系統が好きだったので、理解するのも行動に移すのも楽だった。
「あ、じゃあやってみましょうか?」
周りが簡易テントをはりはじめたのを横目に見ながら、自分達も始めようと促す。
「はい。よろしくお願いしますね。私、あまりこういう経験なくて、まだあまり理解できてないんです。戦ったりなら出きるんですけど。」
少し頬を赤らめながら答える姿は、愛らしかった。だが、やはりここに来るだけあって、戦いは出きるようだ。その点では既に彼女に負けている。まぁ、戦いじゃないけどね。
「自分結構キャンプとかやるんで、一緒にやりましょう。」
「ほっ、よかったです。よろしくお願いします。」
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