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二十九話 ランカー

前回のあらすじ

謎の穴のなかに入ると、先には太古に描かれた壁画が。

それによると、遠い過去に起きた事件が今に繋がっている可能性が。

  時は遡り沖縄ダンジョン·パレード対策基地。


  雷帝が到着することで、予定されていたメンバーが鹿取倉木を除いて集まった。


 

  ランキング一位 林 巨星 (男) 通称 シリウス


  名前から通称名シリウスと呼ばれているが、能力は超情報処理スキルによる未来予知。現在知りうる情報からもっとも現実に近い未来を予測する。



  ランキング二位 東 玲央 (男) 通称 雷帝


  雷を身体に纏わせ、近接戦闘から遠距離まで総合的な戦闘を得意とする。

 


  ランキング三位 荒川 命 (女) 通称 不死の巫女


  回復スキルを中心に戦闘をする。ほとんど他人の回復はせず、自分が前線に立ち闘い自分を癒す。戦闘時巫女の服装を着て戦っている。ドロップした装備で圧倒的な防御力を誇る。



  ランキング四位 立浪 了 (男) 通称 イージス


  身長2メートルを誇る巨体に、全身を覆う鎧。そして、鉄壁のガードスキルによる日本一のタンク。ランキング三位の荒川 命とパーティを組んでいる。



  ランキング五位 三橋 克夫 (男) 通称 爆撃機


  今現在稀有な飛行スキルを持つ。戦闘スタイルは通称名そのままで爆撃。空中から圧倒的な手数の攻撃を撃ち落とす。



 



  今回依頼が出たのは、上位五位までのクランだ。

  三位と四位は同じ。そして、雷帝はクランを持たないため、大所帯は三つに分けられている。



  ランキング一位のクラン News


  探索者業界の情報で持っていないものはないと言われる、日本最大の情報屋。ただ、情報はさることながら戦闘力も一級品で、ランキング30位までに七人がこのクランに在籍している。



  ランキング三位、四位のクラン PoJ


  パワーオブジャスティスの略。クラン在籍の探索者のほとんどが男で、力の強いものがクランで力を持つと噂される。代表は三位の荒川 命。


 

  ランキング五位のクラン Y Powers


  若いメンバーが揃っている。そもそも代表の三橋が高校在籍時飛行スキルを手に入れたことにより、一気にランキング上位まで上り詰めた。そのため、彼らの仲間は同世代の若いメンバーで構成されている。







  「遅いじゃないですか。」


  東が対策基地のテントの中に入ると、一位 林が迎える。


  すでに中には円卓を取り囲むように、ランカーと迷宮省、そして自衛隊の代表が座っていた。


  「すみません。遅れました。」


  「いえ、大丈夫です。それでは早速ですが会議を始めます。」


  迷宮省の代表が司会を勤め、話が始まった。


  序盤は前回雷帝が体験したパレードについての詳しい情報。

  そして、それに対する次の対策。

  そこからどう戦っていくかについての順で進んでいった。


  「要は都心へ行かせないように戦えばいいんだろう?簡単な話じゃないか。話が長いぞ。」


  三位 荒川 命だ。巫女服を着ながら大柄な態度を取る彼女に少しちぐはぐ感が否めない。


  「その言い方はやめなよ。それに座り方も、ほら。」


  それを注意するは四位 立浪。


  「もう、いつもうるさいなぁ。別にいいだろ。皆知ってる顔なんだし。」


  「それでもだよ。近しい中にも礼儀ありって言うじゃないか。」


  「まぁまぁ、君たちはその闘い方がベストなんじゃないか?俺の所は君たちの撃ち漏らしをカバーするよ。その辺は連携がとれないといけないからね。」


  と林。彼と二人のグランはあまり仲が良くない。というのも、方や頭を使い、方や力が正義とする闘い方であるため、お互い目の敵にしているのだ。


  「へっ、お前のところには一体も倒させねえよ。」

 

  「言葉遣いっ!」


  「俺の予想だと、前回のパレードの量から察するに君達だけでは物足りないと思うけどね。」


  「なんだとっ!?」

 

  「俺の予想は絶対だ。」



  双方が煽り、煽り返す状況になり、立浪がその場を宥める。

  これはこのメンバーが集まればいつもの事で、周りはまた始まった、と傍観しているだけだ。


 

  「まぁでも確かに、PoJだけだと押さえきれないと僕も思います。それに林さんが言うならたぶん。」


  「あぁ、確かにな。カバーはNewsに任せるのがいいだろう。」


  三橋と東が言う。


  「では前線に東さん、PoJとY Powersに任せて、カバーにNewsで。」


  「自衛隊は皆さんで押さえきれなくなった場合、最終的には魔兵器を投入します。」


 

  魔兵器


  魔石を大量に用いることで、普通の兵器を完全に圧倒する現代の防衛兵器。通常の兵器は、ほとんどがこれと取って変わられ、今現在最強の人工兵器と言われる。



  「俺はそれが嫌いだからな。それだけはさせないよ。」


  と言うのは林。


  「あれれぇ?お前政府のブレーンもやってるって噂じゃないか。お前が兵器が嫌いなの?」


  また荒川が煽る。


  実際噂、と言われているが公然の秘密という形になっている。


  「うるさい。俺は反対している。とにかく。使わせないために尽力を願いたい。」


  「しょうがねぇな。まぁ、私は私の仕事をするだけだ。」


  そう言って席を立つ。


  「あっ!もぅ!すみません。自分も失礼します。」


  そして、PoJの二人はテントを出る。


  「すまない。俺もこれから情報の整理や、部隊の確認を行うため席を外します。では。」


  「それじゃあ俺も行こうかな。」


  「僕も。」


  と、全員が席を立つ。


  「では、皆さんよろしくお願いします!!!」


  「「「任せろ。」」」







 

 


  「あ、そういえば倉木さんはどうしたんですか?」


  テントのすぐ近くで武器の整理をしている雷帝に、三橋が声をかける。


  「あぁ、今避難遅れの人がいないか探しているところだ。」


  「そうなんですね。」


  「あぁ、勧誘か?お前の所は若いからな。」


  「はい。ただ、いつも拒否されちゃうんですよ。僕は組織にいた方が言いと思うんですけどね。仲間がいると安心しますから。」


  そう言って東のとなりに座る。


  「まぁ、確かにな。俺はソロだから分からんが。だけど残念だったな。愛唯はクランを自分で作ったぞ。」

 

  「えぇ!?そうなんですか!?マジかー。そっか。でも、彼女一人ですか?正直仲間と呼べる人はいなかったはずですが。」


  三橋は誰かいたかなぁー?と考える。


  「最近な。結構良いコンビなんだよ。そうそう。今その二人でここに来てるはずだぞ。」


  「そうなんですね。まぁでも、新しいクランができたってことは、ライバルが増えたって事ですね。倉木さんはこの先上位ランカーになる実力ありますから怖いですね。」


  「どうかな?そううまくはいかないからな。」


  「あれ?東さんがそれを言います?」


  「まぁなにも起こらないのが一番だけどな。」


  「そうですね。それじゃあそろそろ……」



  ゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォオオオオオオオ!!!!!



  局地的に地震が起こる。


  テントが倒れ、周りの物もどんどん倒れていく。

  ダンジョンを見ると大量の影がそとに出てくる。



  「来たか!!」


  「行きましょう!!」



  沖縄ダンジョンのパレードが始まった。


 

 

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