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二十六話 訓練の成果と新たな異変

前回のあらすじ

倉木家三人とレストランで談笑。

  「私がですか!?」


  突如師匠の口から飛び出した言葉は、他三人を驚愕させた。


  「あぁ、そうすれば誰も文句はないだろ。」


  自分は関係無いと言うようにコーヒーをすする。


  確かに倉木さんが作れば幼なじみ君もどうすることもできないだろうけど。


  「でも、私まだ未成年だよ?ねぇ、お姉ちゃん。」


  助けを求めるように姉にすがる。


  「天才ね。さすが私の旦那さんだわ。そうするべきよ愛唯。経理とか事務とかは私が家でもできるし。」


  しかし、お姉さんは既にヤル気満々になっている。

 

  四面楚歌となってしまった倉木さんはアワアワしている。


  「でもでも………、そうだ!人が私だけじゃダメなんじゃないの?」


  「いや、別に会社は一人でも立ち上げられるんじゃないか?」


  反射的に答えてしまった。案の定涙目で俺の事を睨む倉木さん。


  ごめん。



  「そうだ、鹿取くんが入ればいいんじゃないの?」


  「いいんじゃないか?それなら。別に鹿取くんも入っているわけでは無いんだし。このまま君も成長していけば同じように勧誘が来るかもしれないぞ。」


  と、正論を突きつけられる。

 

  だが、いいように言い訳つけてうまく使おうとしているようにしか聞こえない。


  「いやいや、俺拠点が横浜ですから。」


  と何とか絞り出すも、離れていても別に問題はない、とお姉さんに潰されてしまう。


  というか、こうなったお姉さんを止められる気がしないのだが。


 

  すっかり意気消沈の倉木さん。


  自分では作りたくない理由は、ことごとく鬼夫婦に潰されていく。


  しかも既に俺が入る前提らしい。どこかで否定しようと思っていたのだが、どんどんそれ前提で話を進めるもんだから口が挟めなくなってしまった。


 

 







  「ごめんなさい。」


  俺に深々と頭を下げる。


  結果として丸め込まれてしまった。あの夫婦には勝てなかったわけだ。


  まぁ、悪いことばかりではない。勧誘は減るし、稼ぎも前よりもよくなるだろう。


 

  「いや、いいよ。でも、本当に俺らはなにもしなくてもいいのかな。」


 

  というのも、ほとんどの手続きやら何やらはお姉さんがやってくれるらしいのだ。


  何でも家ではやることがあまり無くて退屈だったらしい。


  車椅子生活のため、家事はほとんどが出来ないため、家でできることも限られてくるのだそうだ。



 

  それから三人とは別れた。


  元々の目的が俺とお姉さんとの和解?みたいなものだったようで、それは果たすことができた。


  それより大きな副産物もついてきたのだが。


  ただ、企業となった場合、また営業のような人付き合いが増えるというのはあまり気がすすまなかった。



 






 


 


 


  ここで躱す!!


  横から飛び出てきたゾンビの攻撃を躱し、爪で腐敗した肉をえぐりとる。

  ゾンビはその場に倒れ魔石に変わるが、次々と襲ってくる。


 

  ラプトルの足で飛び上がる。高さは四メートルは出ているだろうか。


  下を見ると自身が居た場所に突っ込んでくるゾンビ達。


  数は15くらいか。


  「化石覚醒!!!」


  右足だけを竜脚類、所謂プエルタサウルスの足へと変化させる。


  太古の昔、全長40メートルを誇った最大級の恐竜。



  どんどん足が伸びていき、そこにいたゾンビを踏み潰す。

 

  地面を抉る程踏み潰したところで、ゾンビの体は魔石に変わる。

 

  周囲には数体の残党がいるが、それはすぐにラプトルの足にもどし、足の鉤爪で潰して回る。


 

  「よっしゃぁぁぁあああ!!!!」



  今まで訓練してきて三週間。早五月に差し掛かっている。


  そして今日、今初めて一人でゾンビの大軍を倒すことができた。


  思えば今日まで一度もポーションを使わない日はなかった。

  毎日奴らに揉まれ、踏まれ、噛みつかれ。


  だが、今日でそれもおさらばなのだ。


 

  「お疲れ様です。」


  脇で見ていた倉木さんと師匠が寄ってくる。


  二人の手にはポーションが握られている。今日も使う予定だったみたい。


  「しっかりと身体能力の底上げになっているな。」


  課題となっていた機動力やパワーなどの身体能力は、ステータスではないところでカバーすることができた。


  「はい。あの、それで、スクロールは?」


  そう。俺はここ数週間でゾンビを倒して倒して倒しまくった。


  スクロールがでないはず無いではないか。


  だが未だに遠距離の攻撃手段が無い理由。それは没収されていたのだ。


  訓練期間中は古代の生物達の力のみで集団と戦うという理由から、どんなスクロールかも知らされずにとられていた。


  「あぁ、あれな。一応全部鑑定してもらったんだが、魔法のスクロールはゼロ。全部売ったよ。」


  そう言って封筒を渡してくる。


  中にはニ十万ほどのお札と小銭。


  「そんな……。俺には一生使うなと言うお告げですか?」


  膝から崩れ落ちる。


  「まぁまぁ。でも1つのスキルを極めるのも強くなる道だと思いますよ?」


  倉木さんが慰めるように肩を叩く。


  「しゃ、社長っ。」


  「や、やめてください!!私それだけは呼ばれたくありません!」



  つい先日、手続きが終わった我が企業。晴れて倉木さんが社長になりました。


  会社名はMay。倉木さんの愛唯と五月生まれというところからとった、らしい。


  というのも、決めたのはお姉さんの独断。少し気の毒だ。


 

  「それじゃあこれからの訓練はどうなるんですか?」


  ここまで頑張ってきたが、まだまだ続けたい気持ちはある。


  「いや、君が戦っている最中にな。迷宮省からランカーや多くのギルドに緊急の連絡が入った。沖縄ダンジョンにて地震が度々発生。パレードの可能性あり、だそうだ。」


  「パレード!?あの、横浜ダンジョンの!?」


  「ああ。だから今全国から猛者達が沖縄へ向かっているだろう。もちろん俺は行く。愛唯も行くらしいが、君はどうする?」


  「決まってるじゃないですか!!俺も行きますよ!!」


  「そうか。今空港に名古屋付近の探索者をのせる飛行機が準備されているらしい。急ぐぞ。」



 

  そのときの名古屋ダンジョンに居た探索者達は、口々に変なものを見たと言う。


  人二人が、気持ち悪い足をしたヒト型のモンスターにものすごい早さで追われていたと。

 

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