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二十四話 二度目の旅行

前回のあらすじ

名古屋までやってきて始まった訓練。予想以上のもので地獄をみる。その後は雷帝のおもちゃに成り代わってマネキンにされる。

  名古屋で訓練を受け初めてから早一週間。こちらでの生活に慣れ始めてきていた。


  泊まっているのは部屋が少し大きめのホテルだ。


  最初はビジネスホテルに泊まっていた。だが、狭すぎて鬱になりそうだったのと、いろんなことをするスペースが欲しかったため変更した。


 

  どこまで訓練を受けられるか分からなかったため、自炊できるようにコンドミニアムのホテルにしたし、ストレッチやスキルの練習のためのスペースがある部屋にした。


  スキルの練習というのは、足、だ。


  と言うのも、師匠に日常生活から使い続けろ、と指示を受けた。


  そのために毎日いろんな足に変えながらの生活なのだが、これが不便で仕方がない。


  そもそも、動物の足ってかかとつけないんだってことを知った。


 

  人間はかかとをついて歩くが、猫や犬に限らず古代の生き物達もそうだったようで、つま先立ちに慣れるのも一苦労だ。



  最近では人間の走る速さと同じくらいの速度を出せるくらいまで慣れてきたが、まだ化石本来のポテンシャルを出しきれていない。


  ちなみに今練習中の足はラプトル。最高時速は60キロを越えると言われている。




 

  そんな生活が続いていたのだが、つい昨日。師匠から休みをいただいた。


  体は全然大丈夫なのだが、地獄の訓練が精神的に疲れの原因となっていた。


  それはポーションで治すことはできないから、と休みを作ってくれたらしい。



  ただ、することがない。


  朝から部屋の掃除をしてご飯を作って洗濯をしたら、なにもすることがなくなってしまった。


  ちなみに俺には趣味と言う趣味があまりない。


 

  「はぁ、なにするかな~。」


  俺は部屋の窓のカーテンを全開にして部屋に日光を入れる。

  そしてベッドに仰向けでダイブ。


  休みが欲しかった割に、休みができるとなにして良いか分からなくなる典型的なタイプだ。



  ブブブブブブブブ


  スマホが振動する。仕事をやめてから基本的になることがなかったスマホが久しぶりに仕事した。



 



  連絡というのは倉木さんからだった。


  何でも名古屋を案内してくれると言う。この間のお礼らしい。


  正直名古屋に来てからスーパーとダンジョン以外入ってなかった。


  せっかく来たのにもったいないと言うことで行く事になったのだが、




  (また博物館?)


  来たのは名古屋の科学館。


  この間いったところと何が違うのか、なんて思ったが口には出さない。



  「私、ここのプラネタリウムが好きなんです。」


  というのも、ここは世界最大のプラネタリウムがあると言うのだ。


  まぁ、外観から球体が見えているのだが。



  俺は子供の頃親と行って以来来たことがなかった。


  別に星がつまらない、とかではなくて、ずっと部活動に専念していたからそんな時間がなかっただけだ。


  「良く来るの?」


  「いえ、最近は。でも、高校の時は一人でも良く来てましたよ。」



  プラネタリウムに一人……。


  いやいや、バカにしているわけではない。


  むしろ逆で、あんなところに一人で行けるのがすごいと思うのだ。


  俺も映画館は一人で入れるが、プラネタリウムは……うん。無理だ。



  「あっ、バカにしてます?私は別に一人でも大丈夫ですから。」


  「いやいや、そんなことないよ!ほら、行こう。」


  何とか話をそらしつつ中に向かっていく。


 



 


  一杯になるほど混んでいるわけではなかったので、並びで席を取ることができた。


  二人で行って並びが取れないことほど気まずいことはないからな。


 

  他にやりたいこともなかったので、早めに中に入る。


  久しぶりに来たのもあったが、さすがに世界一の広さだと感じる。


 




  「どうですか?スキルは。」


  「あぁ、普通に歩けるくらいにはなってきたよ。」


  こんなことプラネタリウムで話すことでは無いんだろうが、これくらいしか話すことがないのも事実だよな。


  周りにはカップルやら家族やらがいるなかでダンジョンの話をする男女。奇妙だ。


  「師匠が明日からはその足のまま戦えだそうですよ。行けそうですか?」


  「マジか。やっと揉まれないくらいの立ち回り覚えてきたのに。あの足だとまた死ぬな。」


  「死ぬ前に助けますよ。ふふっ。」


 

  周りから注目を浴びている。


  そりゃそうだな。死ぬ、なんて笑いながらいえる男女は怖い。


  「そうだ。君も久し振りの休日だろう。俺とで良かったの?」


  「はい。私の友達は今皆大学生ですし、ずっと家に居てもって思ったので。」


 

  少しお堅い感じだから友達もお堅いのかな?


  「わ、私にも友達は居ますからね。一応。」


  「あっ、そういえばこの前の幼なじみの男の子。彼とはどうなの?」



  聞くと少し嫌そうな顔をする。



  「…彼は私が、女が弱いから保護、じゃないですけど、戦うな主義っていうか。私は私のためにやっているって言っても聞く耳を持たないんです。私のことを考えているのは分かるんですけど。」


  「なるほどね。」


  「それに彼のギルド、パーティにもしつこく誘ってきて。私は師匠とやるからって言っても聞いてくれないんです。」


 

  ??ギルドって??


  「あの、ギルドに誘われるってどう言うこと?」


 

  自分はそんなもの聞いたことがない。


  そもそもパーティ自体無縁だったから、その事についてもほとんど分からないんだが。


  「えっと、ギルドです。分かりませんか?」


  呆れたように聞き返す。


  「ごめん、知らないや。今までソロだったし。」


  「まぁ、確かに。えっとですね。ギルドって言うのは企業みたいなものです。探索者には二つの稼ぎ方があるんです。分かりますか?」


  「1つは探索して得たものの売却でしょ?それは俺がやってる。あとは……なんだろ。スポンサーみたいな?」


  「まぁ、あながち間違っていません。ギルドはダンジョンの素材などの発注を請け負い、そこに在籍する探索者に仕事を依頼する、言わば仲介ですね。通常迷宮省に売るところを直接企業に売ったりすることで儲けるんです。」


 

  確かにそれだったら目的のものを取ればいいから稼ぎも良くなるのか。

  それに企業としても必要なものを安く早く手に入れられることができてWINWINだな。



  「それって違法じゃないのか?」


  「はい。これは迷宮省にも認められています。全部を国でやるのは無理ですから。民営化ってことですね。」

 


  なるほど。ということは、幼なじみ君のギルドに倉木さんが誘われていると言うことか。



  となると、師匠はそれを許すのか?

  それだと彼のギルドから抜けるということになってしまうだろう。

 

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