表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

二十一話 訓練とマネキン

前回のあらすじ

倉木さんに正体がばれてしまい、遥々名古屋までやってきてはいった喫茶店。そこで自分の目的や力の意味を再確認させられる。



  「それじゃあ君の戦い方でやってみてくれ。危険になったら手をだそう。」


  「はい!!」



  俺は今まで戦ったこともないほど強いであろうモンスターの大軍に突っ込む。


  こうなったのは倉木さんのおかげだ。


  この間のことで、自分の弱さと未熟さをまざまざと痛感した。

 

  そんな自分を変えるために、雷帝さん、もとい今は師匠に教えてもらえるようにしてもらったのだ。


  といっても武器やスキル、武術などではない。


  戦闘術。立ち回りだ。



  訓練の内容はただ自分よりも強い相手のなかで戦い、自身の限界まで戦うだけだ。

 

  その中で洗練された動きや戦い方を身につける。



  これは一人ではできないことだ。


 

  鹿取 隆太 (26)レベル6


  攻撃力 278

  防御力 198

  瞬発力 264

  魔攻力 298

  魔防力 174

 


  (スキル)解析(大)格闘術 棒術 槍術 剣術

  化石覚醒

  (称号) なし

  (固有力)精神侵食に対する抵抗

  星の守護力



  今の俺のステータス。


  全体的に100上昇していて、レベルも1上がった。


  だが、今俺が相手にしようとしている奴らは、大軍全てを倒すなら倉木さんレベルでないと厳しいようだ。


  師匠なら楽勝と言っていた。



  ちなみに倉木さんに大体のステータスを聞いたらその差は歴然で、自分の命が危ないんじゃないかと思う。


 

  倉木 愛唯(19)レベル9


  攻撃力 450

  防御力 270

  瞬発力 590

  魔攻力 540

  魔防力 310



  大体これくらいと言っていた。自分の力とダブルスコアついているものさえあるのが驚きだった。


  ただ、このステータスが二倍だからといって力も二倍と言うわけではない。


  それに関しては、未だに関係性が発見されておらず、発見されればノーベル賞ものらしい。


  ノーベル何賞なんだろうか。


 

  それはさておき、このステータスの彼女がちょうど倒せるくらいの敵を相手にして自分がどうなるかは最初から分かっていた。



  袋叩き。


  気絶してボロボロになったらすぐにポーションで回復し、投げ出される。


  こんなこと一人ではできない。やれば死ぬ。


  いや、今も死ぬ。







 

  「お、起きたか?」


 

  目が覚めると頭上には師匠と倉木さんが顔を覗かせていた。


  視界が鮮明となると共に、自分の死を感じた戦いの記憶もよみがえってくる。


  ヒト型でさまざまな頭を持つゾンビ達に揉まれ殴られ蹴られ。


  見たこともない地獄が脳を埋める。



  「生きてるんだ。」


  自分の体が自分の物ではないくらいきれいに治っている。


  いや、治っているのが普通なんだけど。



  「多くの武器を使い捨てながら戦うのは、まぁソロでやってこれた秘訣なんだろう。だが、最後まで自分の手に残しておく武器が必要だ。さっきは使いきってしまったから埋もれたしな。」


  「はい。」


  「それに機動力も無さすぎる。あれでは速い敵に触れることすらできなくなるぞ。」



  確かに。さっきは武器を使いきり、最後剣で戦いきろうとした時、ゾンビにさした剣が肉に掴まれるようにして抜けなくなった。


  そこから攻撃を躱すことができずに……。思い出したくもない。



  「戦い方は学ぶより慣れろだが、あまりに手札が少ないな。武器は化石覚醒で最初から腕に生やせ。あとは、機動力に関してだが。」



  そう言うと師匠が足に雷を纏わせる。


  「俺なら魔法で強制的に動かすことができるし、愛唯なら風で機動力を上げることができる。君ならどうする?」


 

  機動力、か。俺には今のところ1つも方法がないのが現実だが。



  「と、そこでだ。愛唯。ちょっと持ってきてくれ。」


  そう言うと、倉木さんは少し離れたところにおいてある大きなリュックサックを持ってきた。


  これは朝からずっと気になっていたものだ。


 

  「えっと、これは?」


  「あぁ、とりあえず今日のところの訓練は終わりにする。スキルの検証中にモンスターに襲われたと言っていたな。ということはまだしっかりやりきれていない、ということだな?」


 

  いいながら倉木さんからリュックサックを受けとり、鞄を開きこちらに見せてくる。


  そのなかには、


  「うわっ!?なんですかこの骨の残骸は。」



  そう、一つ一つ袋に入れられ個装してあるが、大量の骨が入っていた。


  「ふふっ、俺が金と権力を用いて集めた数々だ。」


  今の師匠は小学生のように目が輝いている。


  嫌な予感しかしない。


  「あの、もしかしてこれって?」


  「そう!化石だ!!男なら一度は憧れるそれだ!それが目の前で復活するのなら見ないわけにはいかないじゃないか!!」


  「いや!いくらしたんですか!?調べたらめちゃくちゃ高いって!」


  「ふっ!トップランカーを舐めるなよ。こういうときのために貯めてあるんだ!こつこつ貯めたお小遣いだから妻にもなにも言われないだろう。ここで使わずしていつ使う!!」


 

  そう言って袋一つ一つを取って説明を始める。


  というか一人で喋り出す。見るからに止まる気配がない。


  男と言うものは試着が嫌いだ。(偏見)ソースは俺。


  それは服に限らない。だが、今から俺は試着用のマネキンならぬ、復活用の媒介になろうとしている。


 


  「まずはこれ!!はい!」


  なにかも分からないが、それを使う。


  すると、


  「って、こんなに大きな足が使えるはずないじゃないですか!!おっと!」


  俺の足は五メートルほどまでのび、太くなる。


  そんな足でバランスが取れるはずもなく、膝から崩れる。


  「んー、でも、慣れればいけるかな?」


  「いけないですよ!!」


  「じゃあ次これ。」


  首が延びる。使えない。


  角が生える。使えない。


  尻尾が生える。……まぁ、使えるかも。


  頭がツルッパゲでカチコチに。使いたくない。


  …………………






  「も、もうやめませんか?」


  俺は途中から解除することもめんどくさくなってしまい、全身が改造されたへんてこ人間になってしまっていた。


  まぁ、今回のことで努力すれば使えそうなものもあり、収穫は多かったと思う。


  「今日のところはここまでだな。後もう少しうまく改造……っと、使えればなぁ。」



  今改造っていった!絶対いった!!


  この人は俺をモンスターにしようとしているのだろうか。


  俺は全身を解除すると、自分のからだがやけに重く感じた。

  疲れがたまったのだろう。


  「はぁ、疲れた。」


  俺は尻餅をついて休む。


  師匠の方を見ると未だになにか呟きながら考えているようだった。

  当分はやりたくないな。



  「お疲れ様です。これどうぞ。」


  そう言って倉木さんがペットボトルを差し出してくれる。


  それを受けとると、彼女は俺の横に座る。


  「ありがとう。」


  それから今日の訓練の話だとか、化石コーディネートの話で盛り上がった。


  美人に労われただけで、こんなに心から回復するのか。


  これならもう一度くらいやってもいいかな、なんて思った。

感想、評価、ブックマークありがとうございます!!!!

とても励みになってます!!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ