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閑話 倉木&雷帝side

閑話ですので読まずとも話は理解できます~。


よろしくお願いします!

  side倉木



  「どうしてあんなこと言ったの?答えようがないじゃない。」


  私はお姉ちゃんと翔に聞く。


  ここで感情をあらげても仕方がない。それではさっきと同じになってしまう。


  「今回のことは、私一人じゃ死んでた。感謝こそすれど彼に文句を言うのは違う。理解してくれたんじゃなかったの?」


  「それってほんとかよ。あんな奴の力なんてたかが知れてるだろ。なぁ、やっぱり……」


  「まだそれを言うの?今回助けてもらったけれど、それとこれとは話が別よ。」


 

  翔はずっと私が探索者になるのを反対していた。そしてなってからも反対している。


  師匠が一緒だからと言って今までやってきたからなにも言ってこなかったけど、今回のことで自分とパーティを組まないかと先ほど提案されたのだ。


 

  「雷帝さんもそうだ。なんであんな奴と二人で行かせたんだよ。」


  彼は今度は師匠に当たる。


  「もうやめて。」


  その状況に嫌気がさしたのか、はたまた考えが変わったのか。


  お姉ちゃんがずっと閉ざしていた口を開いた。


  「愛唯。さっきはごめんね。いざ本人を前にしたら止められなくて。私だって分かってる。彼に非はないことくらい。さっきの質問だってずるかった。」

 


  お姉ちゃんは申し訳無さそうに私に言う。


  そう。さっきの質問はずるい。

  なにも知らない第三者的目線で見ればそうだし、加えて彼の事情も加味すれば今頃彼は悩んでいるだろう。


  今回助けられたのは私なのに。


 

  「ううん。分かってくれたのならいいよ。だけど、後で謝ってね。」


  「分かったわ。」



  お姉ちゃんは分かってくれたみたいだった。それだけでも嬉しい。


  「いや、今日は俺が謝っておくよ。いきなり行ってもまたビックリさせるだろうしね。」


  師匠がなぜかそれを止めた。


  どうしてか分からないけど、彼が言うならそれが正しいんだと思う。


 



  それからは私たち四人は、これからのことや最近あったことなどを話した。


  特に、一昨々日の博物館について語ると、お姉ちゃんと今度一緒に行こうって話になった。


  いつぶりだろう。久しぶりに家族の暖かさを感じた。













  side雷帝



 

  「今謝ってきたよ。彼はとても悩んでいたみたいだった。君は分かっててあれを言ったよね。」


 

  俺は奥さん、東 由比の車イスを押しながら言う。


  すると彼女は一拍おいて、



  「……そうね。分かってたよ。でも許せないじゃない。どうしてあの子が傷つかなきゃいけないの?それにさっきの答えはなにかありそうだった。ならどうしてやらなかったのか。彼から聞き出さないと……」


  由比は俺がいないかのように一人で話し出す。


  (君は愛唯に依存しすぎている。)



  「それを愛唯が望むか?俺はそれが分かってたから行かせなかったんだよ。君はあの子を守ろうとして、やっとできたあの子の周りの人間関係を崩そうとしているんだ。それを守ってあげられないのか?」


  「そんなこと分かってる!!だけど、だけどさ!!」


 

  そう、由比はそんなこと分かっているはずだ。


  由比は頭がいい。とにかく切れる。


  相手の考えていることが大体読めるみたいだし、彼女のたてる予想も相当正確だ。


  でも、その予想すら彼女の中では二番目。一番は愛唯。


  それが唯一の彼女の欠点。



  「君も彼の写真を見ただろう。俺は探索者をやっているから大抵の怪我を見たことがある。四肢が切れるのも見てきた。」



  いいながら車イスを止めて、後ろから彼女の正面に周りしゃがむ。


  「だけど、あの怪我は見たこともない。全身が爛れていた。からだの中は血で溢れ真っ青だ。あれで全力を尽くさなかったと言えるのかい?それに翔が言っていたじゃないか。倒れている愛唯に手を伸ばして倒れていたと。」



  そして彼女の手を掴む。優しくさすりながら、


  「分からないけどね。きっと先に気絶したのは愛唯だ。」



  言うと由比は驚きでうつむいていた顔を上げる。


  「どう言うこと?それじゃあどうやってそのモンスターを倒したの?彼は弱くて足手まといだって。」


  「翔が言っていたね。だけど先に彼が倒れていたら愛唯に手を伸ばせるはずがないじゃないか。方法は俺も分からないけど、彼はあの体になりながら助けてくれたんだ。もしかしたら愛唯がああなっていたかもしれない。」


  言うと由比は顔を青くする。


  きっと愛唯が真っ青の体になったところを想像したんだと思う。


  「次会うときは謝ろう。ね?」


  「………うん。」



  これで彼女の気持ちが収まってくれるとありがたい。


  正直に言って、いざというときに近くにいれなかった自分が悔しい。


  なんのために今まで一緒にやってきたと言うんだ。


 





 

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