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十二話 お食事会二

前回のあらすじ

雷帝に食事に誘われた俺は弟子の倉木と共にレストランへ向かう。

  「化石進化か。聞いたことないな。愛唯はどうだ?」


  「私もです。それはどういう効果があるんですか?」



  二人はいずれもなにも知らないと言う。この二人で知らないとなると、結構凄いスキルなのかもしれない。


 

  「まだ使ったことがないんです。解析によると、化石となった生物の力を借りることができる、としか書いてなくて。自分化石なんて持ってないので、使いようがないんです。」


  「それはそうだな。正直未知のスキルはまだまだあると思うし、おそらくその中の一つだろう。ただ、ここまで誰も手に入れてなかったってことは珍しいことは確かだな。」


  「やっぱりそうですか。でも正直この力俺には合ってないような気がして。」



  俺のスキル構成は格闘術から始まり、武器の扱いに長けたものだ。仮にこの説明が正しいとなると、ほとんどのスキルが意味をなさなくなるだろう。


  例えば爪の化石を手に入れたとしても、それをうまく扱うスキルなんて有るわけがない。



  「確かにな。まぁ、使ってみないとわからないだろう。俺のスキルも愛唯のスキルも世界でも発見されていないものだしな。最初は皆苦労する。」


  「え!?そうなんですか?」


  「はい。というかまだダンジョンができて五年しか経っていません。スキルの数がどれだけあるかもわかりませんし、もしかしたら私たちの物も百年したら弱いと呼ばれる部類のものかもしれません。」



  確かに。言われてみればそうだな。


  「そうだ、今週末奥さんと休日にするつもりだったんだが、愛唯はまた一人でダンジョンか?」



  聞くと彼女はそれに肯定した。


  「なら君たち二人でダンジョンに行ってみればいい。そうすれば鹿取くんにアドバイスできる事が有るんじゃないか?」


  「ちょっと待ってください。そんなの私にメリットないじゃないですか!」



  断固拒否!!と彼女は席を立つ勢いで抗議する。


  今回の話は俺にしかメリットがないからな。確かにいろいろなアドバイスをもらえると有難い。

  結局いまの俺は、ネットで調べたことを頼りに自己流でやっているにすぎないからだ。



  「あのな、愛唯。君は奥さんに任されているから今までで俺と探索してきたが、少し過保護になりすぎたと思ってるんだ。」


  「なっ!?」


  「君は高校時代から放課後も俺とダンジョンに行って、やめてからも休みなしで行き続けている。愛唯、友達いないだろ。」



  うわぁ、これは恥ずかしい。共感性羞恥と言う奴だ。友達いないことを身内から言われることほど辛いことはないだろう。


  というか家族みたいなものなのか。たぶん奥さんの妹か。

 


  「た、確かにそんなにたくさんはいませんけど、少しはいますよ。少しは!」


  「どうせいつもの受付の人とか言うんだろう。確かに彼女は仲良くさせて頂いているが、俺が言っているのは遊びに行ったり、女の子らしい……」


  「それ以上言うなら、お姉ちゃんに美紀さんに少しデレッとしてたって言うからっ!」


 

  今までで見たこともないくらい真っ赤な顔で抗議する。

  というかえぐいこと言うな。仮にそれが嘘だとしても抗うことはできないじゃないか。


  先の一言で雷帝さんはすぐに話を戻した。


  「ま、まぁそれはともかく、行ってきたらいい。最近はずっと気を張っていたし、久しぶりに30層辺りで気分転換するといいよ。」


  「……っはぁ。わかりました。その代わりお姉ちゃんには変なこと言わないでくださいね。言ったら私もあることないこと言いますから。」


  「「ひぇっ」」


 

  俺と雷帝さんが同時に怯え声をあげる。


  するとすぐに俺の方を見て


  「なんですか?」


  鬼の形相で睨むん。


 

  「い、いえ。なんというか、仲がいいなぁって!ね、ねぇ!雷帝さん!」


  「あ、あぁ!仲良いぞっ。ははっ、はは。」


 

 











  「あの、今週末ということで、土日どちらも大丈夫ですか?」


  帰り際に倉木さんが聞いてくる。



  「あ、ああ。大丈夫だ。でも二日なんだな。それはどうして?」


  「師匠に言われたんです。化石持ってないなら買うしかないだろって。だから一日目博物館に行きます。」


  「え、盗むの?だめだよ。」


  最近の子は怖いなぁ。



  「違います!博物館ってお土産とかで本物も売ってたりするじゃないですか!それです!」


  「あぁ、なるほど!確かにね。どこのに行くんだ?」


  「とりあえず上野で。それで次の日は朝から新幹線で名古屋です。」


 

  愛唯は手帳を取り出して予定をメモしていく。


  「ん?なんで名古屋なんだ?」


  「私たちはそこを拠点としているんです。今回もテレビのためにこちらに来ただけですし、横浜のときはお姉ちゃんと師匠と三人で観光していただけです。」



  ほぉ、なるほど。でも、姉夫婦と一緒に観光とはいささか気まずくないのだろうか。


  「い、言いたいことはわかります!でもお姉ちゃんがどうしてもって言うから……」


  「あ、そうなのね。じゃあ連絡先聞いてもいいか?」


  「え?えと、は、はい。……(小声)あれ~、どこかな?今回持ってきてるよね?」


 

  ………わかるよ!わかるっ!俺は仕事で持ち歩くようになったけど、学生時代はべつにいいかな?なんて持たないことあるよな!それにこれといって連絡する相手いなかったら持たないよな!



  「あっ!ありました!えっと、これです。」


  「お、助かる。……よし。これでオッケーだな。じゃあ予定とか待ち合わせとかで連絡するから。」


  「はい。ではまた。」


  雷帝さんはその光景を一歩引いたところで見ていた。

  終わったと見計らって近づいてくる。



  「終わったか?じゃあホテルに戻るか。いくぞ愛唯。また機会があったら会おう。」


  「はい。失礼します。」


  そういうと雷帝さんと倉木さんは夜道へ出ていった。


 

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