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十話 テレビ出演

前回のあらすじ

あれから一月の歳月がたった。世間はモンスターパレードや、俺についての話題で持ちきりになった。俺はと言えば、誰にもバレることができないため、ソロで探索を続けていた。

 鹿取 隆太 (26)レベル5


  攻撃力 158

  防御力 123

  瞬発力 178

  魔攻力 192

  魔防力 100

 


  (スキル)解析(大)格闘術 棒術 槍術 剣術

  化石覚醒

  (称号) なし

  (固有力)精神侵食に対する抵抗

  星の守護力




 

  「なんだこれ!?」



  増えたスキルは"化石覚醒"。


  聞いたこともないし、どんな効果かもわからない。

  こういうのは大抵俺が知らないってだけで当たり前、というのがよくある。

 


  「またなんかめんどくさそうな奴かもな~。普通に火の魔法とか憧れんだけど。とりあえず今日は帰るか。」



  俺は三日ぶりにダンジョンから出ることに決めた。











  迷宮省の受付。


  魔石の買取りや連絡事項を教えてくれたり、アドバイスなんかもくれたりする。



  「鹿取です。魔石買取りお願いします。」



  俺はこの三日間で貯めた魔石を全て出した。


  ここ最近は20階層で寝泊まりして働いての繰り返しだったから、結構たまっている。正直お金には期待している。


  今魔石の買取り金額は悪くはない。正直前職よりも月収はよくなっている。それがいいのか悪いのかはわからんが。


 

  ただ、早く解析を最大まであげたい。そのために500万。早くしないと。


 

  「はい。買取りですね。えーっと、あ!鹿取さんにはアポイントメントをとりたいと連絡が入っています。この後少しお時間よろしいですか?」



  「え?自分にですか?あまり迷宮省を通すような知り合いはいないのですが?」



  「はい。テレビ局からですね。おそらく取材だと思いますよ。鹿取さんソロで活動されてて、ここ最近はすごい勢いでしたの階層まで進んでいると受付でも話題になっていますよ。」



  げ、そんなことになってんのか。


  正直20階層でも注目されている気はしていた。そこまで話が広がると面倒だ。それにテレビなんて。



  「それって断ることとかできないんですかね?あんまり目立ちたくないんですよ。」



  「え!?あー、そうですね~。でもトップランカーさんやタレントさんにも会えるんじゃないですかね?」


  「え?どうしてですか?」


  「きっと呼ばれてるのって、月間の注目探索者のコーナーだと思うんです。そこで、新人からベテランまで注目の人たちが呼ばれて。毎回トップランカーの誰かが呼ばれてて、結構面白いんですよ。どうです?」



  トップランカー、か。俺はまだ雷帝にしか会ったことがない。他の人には興味ないが、彼がくるなら話してみたいな。



  「あの、それって……」


  「そうそう、次回は二位の雷帝さんが来るみたいで…」


  「行きます!!!」


  「え!?あ、そうですか?でしたらそう伝えておきますね。時間などは迷宮省から登録されたアドレスの方に送っておきますね。では魔石の買取りですが…」















  あれから二日たった。


  迷宮省から連絡が届き、三日後ということだそうだ。正直めちゃくちゃ緊張している。


  その緊張の理由はこれだ。



  「アンケート、ねぇ。」


  それは番組で話す内容についての事前アンケートだ。

  それは番組を構成するに当たって必要なのらしいのだが、その質問内容がなかなか答えづらいものだった。



  「1、どうしてその年齢でいきなり探索者を始めたのか。2、この一ヶ月ソロでやりつづけ、ここまでの勢いで進んでいる理由は。3、横浜事件のときにその場にいたときに、どんな状況だったか。4未知の光神についてどう思うか。かぁ。」



  答え辛ぇ!!!!!



  「なんなんだよこれ!!俺があの日横浜ダンジョンにいたことも調べられてんのか!マジ受けなきゃよかったかもな。だけど、もしかしたら。」


  俺はあの日の雷帝を思い出す。



  「もしかしたら、彼が俺について、守護者についてどう思っているか聞けるかもしれない。」


 

  あの日から俺は彼に憧れている。


  皆に応援されて、力を振り絞り、最後まで諦めない姿に魅了された。

  俺もそんな風になれたらなんて思う。


  「楽しみだな~。」











 




  時は進みテレビ収録当日。


  俺は誰とも会うことなく楽屋入りし、スタジオに入った。

  テレビをほとんど見ない俺でさえ知っているような芸能人が沢山いて、スタジオにいるのにテレビを見ているような感覚にさえ陥るほどだった。


  もちろん雷帝もいるし、今日は彼の弟子だという女性も一緒に登場していた。

  彼女は先日の横浜事件のとき、誰より先に大軍に向かっていった人だ。


  あの時気絶しているようだったけど、生きてたんだな。良かった。


 

 

  番組に登場していた探索者は全員で8人。


  トップランカー雷帝とその弟子と俺に加えて、新人注目が二人、中堅注目が二人、そして高校生にして30位のトップランカーの青年もいた。


  というか驚いたことに、雷帝の弟子、名前を倉木愛唯はまだ19才らしい。それであの動きと勇気はものすごい才能だと思う。


 

  番組はその月の話題を本人に聞いて掘り下げるというもので、司会の芸能人が探索者たちに質問をふり、それにアンケートやカンペの通りに答えるというものだ。


  その場での立ち回りがないだけましだ。そんなことがあれば俺はパニックで放送事故になってしまう。





  「では鹿取さんにお聞きしますね。」


 

  ここまでなんとか無難に回答してきた。だがここが今日一番の難所だ。


  「はい。」


  「鹿取さんは横浜事件の日、その場にいたそうですが、そのときはどんな状況だったか言える範囲でお答えできますか?」


  「はい。私はその日初めてダンジョンに入ったんです。それでもう帰ろうというときに、感じたこともないような地震がおきて。大通りに出てみたらとても多くの人が駅の方へ走っていくのを見ました。」


  「えぇ、あのときはヘリコプターからの中継がありましたから、あのときの人は凄かったですね。ではその時その波にのって逃げることができたのですね?」


 

  ここで正直に言うべきか否か。ここで残って人助けしたなんて言っても、好感度をあげようとしていると世間に思われても面倒だ、とアンケートのときから決めていた。


  だからここでの俺の答えは、



  「えぇ、わ…」


  「少しいいですか?」



  ここで思わぬ横やりが入った。


  「えっ?えぇ、東さん。どうぞ?」


  司会の人は予定になかった雷帝による質問の遮断に、驚きを隠せないようだ。

  それに雷帝以外の出演者も、彼を怪訝そうに見ている。



  「すいません。鹿取さんってあの時の?」


  「え!?あ、はい!」


  「ですよね。」



  覚えていてくれたのが嬉しくて少し声が裏返ってしまった。

  ただ、今の話だと身内だけでの解決になってしまうので、他の出演者たちはなんの事だかといった様子だ。


  「あの、東さん。あの時、というのは?」


  その疑問に出演者を代表して質問を問いかけた。


  「ああ、彼は横浜事件のとき逃げ遅れた人を最後まで残って助けていて、その時に彼に会いました。素晴らしい行動だったと思います。愛唯もいたよな?」


  「はい。見ました。」


 

  すぐに番組のスタッフは好奇の目を俺に向けてくる。

  きっといい話題があるじゃないかとか思ってるんだろうな。


  「えぇ!?そうなんですね?では東さんの戦いを誰より近く見ていたということですね?」


  この司会者の目が嫌いになりそうだ…。ここぞとばかりにキラキラしやがって。



  「はい。目で終えないほど速いんですけど、一撃一撃が的確に狙われていて、ドラゴンの攻撃もほとんど躱していたんです。それに憧れてというのもなんですけど、この一月頑張れたかなって言うのはあります。」


  「ほぉ!なるほど~。そういうことが。えっと~、あ~!!」



  司会者がカンペを見てなにかを思い出したかのように声を張り上げた。


  「なら未知の光神と呼ばれる存在も近くで見たわけですよね?」


  来たか。

  だがこれに関しては答えを持ってきているんだ。


  「はい。ただ、自分は雷帝さんとドラゴンの攻撃がぶつかり合ったときの衝撃で少し記憶が曖昧で、見たような見てないようなという感じなんです。すみません。」


  「そうなんですね!?確かにあの時の衝撃は凄かったですからね。近くにいたとなれば衝撃は凄かったでしょうね。ではこの流れで聞きましょうか。」


 

  ここで俺への質問の流れは途切れた。ここからはもうテレビを見る感覚に近いだろう。



  「東さん。おそらく今国中、いえ、世界が注目しています。未知の光神。その存在についてどう感じましたか?」



  そう、ほとんどこれが目当ての番組構成だ。おそらくここからが番組の時間の半分以上を占めるだろう。

  視聴率もとてつもない数字になると思う。


  出演者全員が雷帝の話に耳を向ける。


 

  「彼、いや彼女かもしれませんね。ここでは彼と呼びます。彼はおそらく意思があると思います。」


  「意思?」


  「はい。知性を持つなにか、であると感じました。おそらく意志疎通も可能であると。」


  「それはなぜ?」


  「私がドラゴンの咆哮をくらいそうになったとき、彼は現れました。あの時死を覚悟しましたから、あの光は神様かと思いました。そして彼が現れた。その時、彼は私に頷いたように感じたんです。」


  「頷く、ですか。それは安心させるという意味での頷くですかね?」


  「おそらく。なので意思あるものであると思いました。」


  その場の全員が思案するような顔になる。その理由はもちろん



  「彼が知性を持つのであれば、味方か、否か。どう思いますか?」



  これだ。知性を持つならこれが非常に大事になるだろう。ただ、味方だと信じる人は少いだろうな。

  もし俺がなにも知らなかったら信用することはない。



  「どちらでもないと思いますね。ただ、あのドラゴンの敵であることは確かでしょう。敵の敵が味方という考え方なら味方なんでしょうが、今のところはどちらでもないと思います。」


  「なるほど。では他の方はどう思いますか?では…」







  この後出演者で彼についてどう思うかの議論がなされた。まぁ、その話に入ることはなかったが。


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