やさしい魔女の眠る国

現代の日本で孤児だった高校生の優莉は、ずっと憧れていた西野に交際を申し込まれたが、幼い頃から自分を敵視する同級生の陽菜から嫉妬に駆られた激しい罵倒と暴力を受けた弾みで、二人諸共階段から落ちた。死を覚悟したのだが、気付けば二人で闇の中にいた。
闇の終わりの直前、無情にも陽菜にどことも分からない場所に飛ばされた優莉が見たのは、夜空に浮かぶ二つの月と、黒い宝石のように煌めく鱗を持った巨大な竜であった。
たどり着いた先で盗賊に捕まるが、それから救い出してくれた元騎士の夫妻、アレンとレティアに引き取られ、優莉は「ユーリ」として新たな人生を歩み出す。
そして三年後。森で瀕死の青年を助けるが、その男性は「光の貴公子」と言われる美貌を持ち、その強さから「王の劔」たる役目を負ったリドワール・エルンストであった。
静かな森の家で傷を癒す中で、初めはユーリに拒絶を見せていたリドワールだったが、徐々に二人の距離は縮まる。いつしかリドワールの中でユーリの存在が大きくなり……。
穏やかな日々が続くかと思ったが、リドワールを襲った刺客の黒幕や、不法な魔術師団が不穏な動きを見せ始める。そして、半年前に現れたユーリと同じ黒髪黒瞳の「聖女」が事態を少しずつ動かし始めた。


戦闘、流血、暴力、いじめシーンがあります。
直接的な描写はしませんが、序盤は性的な表現もあります。
20話ぐらいは暗い話が続きます。
前書きで表記しますが、苦手な方は閲覧にご注意ください。
恋愛タグは、その後生きてくるようになりますので、序盤は我慢強くお付き合いください。