4話
いつもの夢、変わらぬ光景
それが怖くて恐ろしくて見て見ぬふりを続けていた
何度も何度も繰り返す夢は記憶だった筈
二人を抱えて座り込む俺
そんな目の前に人の形を模した者が俺に何か言っている
『……は…なさ…』
聞き取れない…ただ何か言っているのは分かる
『それでも……は…』
視界はゆっくりと白に飲み込まれて…
ー山中ー
バッと勢いよく起き上がる
変わらず目覚めが悪い事だ、でも少し頭が冴えている…
見ていた夢がゆっくり変わっている
俺は何故かと考えながらテントから顔を出し外を見る、今日も昨日と変わらず雨が降り続けている
(はぁ…めんどくさい…緊急でしかも強制…嫌な話だ…)
そう思いながら昨日の事を思い出す
ーギルドー
「いきなりで悪いがお前さんには別で動いてもらう」
大男ことギルドマスター、ザークが俺に言う
「こんな俺にですか…」
「こんなじゃねぇよここじゃお前が一番強いはずだろう、なのに常駐依頼ばかり受けやがって…」
「もう2年前の話です…今は何もないただの弱冒険者ですよ…」
「そうかよ…まぁいい、お前に頼みたいのは魔物の大群に襲われる前にとある人の救出だ」
「はぁ…誰の救出ですか?」
俺は名前を聞いて嫌な顔をした
「そんな顔するな、これは緊急だ拒否権はねぇ今すぐにと言いたいが…準備があるだろう、準備が出来次第行動してもらう今から向かえば明日の昼には合流出来る筈だ」
「はぁ…やりたくない…」
「そう言うな、相手と何があったかは聞かん…まぁそれほど嫌がるならさっさと終わらせる事だ、合流地点として山の中腹にある一本の大樹が目印だもし何かあれば向こうは魔法を空に打つからそれを見て探してくれ」
反論したくても出来ないのが現実
仕方なく俺はギルドを後に部屋へ戻ると準備をし直ぐに向かったのだった
ー山中ー
(絶対これ嫌がらせだろうなぁ…にしても…)
ここまでくるのに道中魔物に出会う事がなかった
でも懸念がある…魔物は兎も角、普通の動物達の気配がない…足跡や痕跡もだ、ここら辺にはそれなりにいる筈だが…
「今は考えてもしょうがない…さっさと見つけて連れて帰ろ…」
テントを片し干し肉を加え山中を歩き出す
しばらく歩けば合流地点だ、とりあえずは何事もなく…
ドーーーン!
空に火球の爆発が起こる
「!?」
急ぎ魔法が放たれた場所へと走り出す
多分これがギルドマスターが話していた事だろう
近づくにつれて金属同士のぶつかり合いに怒号、獣のような唸り声が耳に入ってきたのだった
遅くなりました。
相変わらず短い文ですが申し訳ないです
しばらく更新が出来ないのでストックしながら一月に一回出せたらと思います