3話
真っ赤に染まる眼前の光景、火の手はそこかしこで上がり魔族は箱へと人だった物を詰めていく
あぁ…もう何度目だろう…全てを奪っていった魔族…
瓦礫に埋もれ何も出来ない自分…
何故自分だけが助かった…
……おかしい…いつもの夢だが何かが違う…違和感がする…
ゆっくりと目を閉じ開ける
そこにいるはずのない自分
魔族は消え去り、広場には箱と死体の山
全てが終わった時、広場で俺は冷たくなった親友を…頭部だけの彼女を……
ど う し て 抱 き し め て い た?
俺以外居る筈のない夢の中
男の様な女の様な
若い様な年老いた様な
声が響き渡る
頭を 身体を 足を
精神全てを貪るかの様に
魂を吐き捨てるかの様に
回る廻る周る視界は歪み光は失われ深い闇へ
自分の中で蠢き続け闇より黒く見てるものさえ自分でさえいないと錯覚する様な闇の奥底から
[契 果た れる]
ニヤリと笑う何かが見えた気がした…
……………
ガバリと勢いよく起き上がる
相変わらず汗をかき息が苦しい、だが何かが違う…なんだろうか…何か抜け落ちた様な気がしてしょうがない
ため息を吐きながらベットから腰を上げ一つしかない窓から外をみる
外はどんよりと淀んだ雲が雨を降らせている
どうやら今日は一日中雨の様だ…
だが、何か嫌な気がする…村に居た時と同じ様な……
今日は警戒を解く事はないだろう
俺はタオルで汗を拭き服を着替え食堂で朝食を食いギルドへと向かうのだった
ーギルドー
雨のせいなのか単に昨日の依頼で長期が多かったせいなのか今日のギルドは閑散としていた
俺はいつも通り端の掲示板、常駐依頼を見るがどうやら今日はいいのは無さそうだ…
(仕方ない…今日は引きこもるか…)
ため息を吐きやる気のない様子でギルドを出ようとするが…
「た、大変だ!魔物が!魔物の大群がこっちに向かってきてる!」
ギルドに入ってきた男は大声でそう叫んだ
ギルド内に残っていた冒険者達はざわめきながら待っていた、受付嬢の一人が大慌てで二階へ駆け上がっていく
直ぐに受付嬢とガタイの良い大男、ここのギルドマスターが降りてきてから冒険者達に声をかける
「ここにいる冒険者達、緊急の依頼だ」
周りの冒険者達の目が変わる
「ギルマスだ、先ほど軍の方から魔物の大群が押し寄せてる事がわかった、だが今は上級冒険者達は長期依頼を受けてしまっている…」
マジかよ、俺たちで大丈夫か?などと騒ついたギルド内は不安が漂っている
「そこでだ今、ここに残ってる冒険者で白プレート以外は魔物の殲滅に当たって貰う、これは強制だ白プレートは一般人の避難誘導をしてくれ王宮が一時避難場として開放してくれているそこに向かうように、全員早急に取り掛かれ!」
それを皮切りに冒険者達は一斉に行動をし始めた
そんな中隅にいた俺にギルドマスターが気がつくとこちらに向かってくる
(しまった…嫌な予感がする…)
今更他の冒険者達同様に動く事は出来ずギルマスがこちらに来るのを待つ羽目に…
「すまんが、お前は上に来てくれ」
「は、はい」
後悔遅し、ギルマスの後に続き階段を上がりギルドマスター部屋に入るのであった
ー???ー
(早く会わないと…)
彼に会って伝えないと…彼はこのままじゃ…
視界が暗い中ただ走り続ける
これから会うであろう一人の冒険者の元へ
更新遅れます