1話
魔族が暮らす大陸 ディバル
エルフや獣人等の亜人種が暮らす大陸 アルフ
人族が統治する大陸 ヒュペン
数百年前、魔族大陸で魔王が出現、魔族達は人間の住むヒュペンとアルフへ侵攻を開始した。
ヒュペンの王はアルフの王と同盟を結び魔族の侵攻を阻止すべく立ち向かうが魔族の力は魔王によって強化され冒険者や両王国兵達を苦しめ、多くの村や街を滅ぼした
そんな時、勇者が現れ仲間と共に凶悪な魔族を退け魔王を倒し両大陸を平和へと導いたのだ
魔族を退けた後大陸には二つの魔族の爪痕が残された
一つは迷宮
迷宮コアと呼ばれる物によって生み出された魔物が徘徊する迷宮、階層があり下へ行くほど凶暴な魔物が現れ素材も多くなる
現在は冒険者達が金稼ぎなどで利用している
もう一つは魔瘴像
外部から魔力を取り入れ無限に動き続ける像で額に付いているクリスタルを破壊する事で止める事が可能、魔力を込めたクリスタルを再度入れ直す事により使用者の変更が出来る
現在は王国が魔瘴像を保有し街などに貸し与えている状態
そんな事も時が経つにつれて魔族と人と亜人が交友する為に現魔王は奮闘し友好関係が作られていた
しかし一部の魔族達は現魔王を良く思わず、今でも人の村や街を襲うのであった。
……………………
「以上が大陸のお話、明日は魔物に付いて話すからね」
教会の庭でシスターが子供達に向けて勉強を教えている、子供達は楽しそうにしながらもしっかりと聞いている様で…
(一部魔族のせいで俺の村は……はぁ…朝から嫌な事ばかりだ…やる気が出ない…)
そう思いながら教会の横を通り過ぎ俺はギルドへ向かう
ギルドは街の中央部に建てられ朝は大勢の冒険者達が依頼掲示板の前は賑わっている
依頼は大きく分けて二つ
一つは長期依頼、護衛や遠征がメインになる
もう一つは討伐依頼、こちらは周辺に出没した魔物を討伐するものがメイン
中へ入り冒険者達を横目に俺は端にある常駐依頼へ
「これでいいか…」
俺は適当に選んだ動物の世話を手に取り受付へ
こんなの受けてるのは新人冒険者か酔狂な者か俺位なものだろう
大半は金になる依頼を受けるだろうし、こちらは誰も見向きもしないもので静かだ
「あいつまだあんなの受けてるぞ」
「新人よりも弱いからアレしか出来ないんだろよきっと」
「そうに違いねぇ」
俺を見てゲラゲラと笑う冒険者達の話を気にせず忙しそうに冒険者達の依頼書を受け取っている受付嬢から依頼主の場所を聞き早々にギルドから立ち去り依頼主の元へ
しばらく歩き街外れにある牧場に到着、牧場を入ってすぐの小屋の扉が開いている多分中に人がいるのだろう
「すいませーん、ギルドから依頼を受けた者ですが」
覇気のない声で呼んでみる
「はいはい、今手が離せないので中に入って下さいな」
そう言われてとりあえず中へ
中はどうやら馬小屋の様で六頭の馬がいる様だ
その奥に飼い葉や水を交換している女性がいる、彼女が声の主であろう
「依頼を受けた…あーロスト…です」
「ロストさんね、私はローナ仕事はここの馬の世話ですけど、この方達人に懐かないから気をつけて世話して夕方には戻るからそれまでよろしく」
「わかりました」
彼女…ローナはそう言うと早々に馬小屋から出て行く
「さて…やりますか…」
とりあえず馬達を外に出して掃除からだな…
俺は立てかけてある掃除道具を手に取りながら馬達を外へと出してやるが…
馬達は外に出ず俺の側に寄って頭や鼻をすり寄せてくる
「ほら…掃除するから外に出てな」
多分無害な雰囲気で察したんだろう…
そう思いながら俺は馬小屋の掃除を始めたのだった