修行と冒険者登録
なかなか上手く書けませんね……
失血で気を失っていると、誰かにゆり起こされた。
「お兄ちゃん!起きて!」
その声で起きると、妹のミカエラに起こされた。
因みに、妹はセレナの2歳下で、燃えるような赤い髪に赤眼で髪はロングで体の発育はかなり良い。これに関してはセレナも同じようだ。因みに、かなりの美人だがブラコンである。今は少しばかり涙目になっている。
「あれ?俺は一体……」
「お兄ちゃんを探して出たら、お兄ちゃんが血塗れで倒れてたんだよ……大丈夫?」
と心配そうな顔で聞いてくる。
「大丈夫だ。それで、これはミカエラが?」
「うん、私がしたよ。それでどうしたの?」
「それが……セレナが連れていかれた。」
「勇者に?」
「ああ……」
「そうかぁーセレナが勇者に……よろしい、ならば戦争だ。」
「えっ?……」
「勇者死すべし……慈悲はない……」
「そこまで言う?」
「無論。慈悲はない。」
ミカエラは賢者ではあるが、かなり武力派な妹でセレナの事も大好きなのだ。
すると、
「起きたか……」
そう言って立っているのは父だった。
アルファの父は王国の騎士団長で、今は休暇中なのだ。因みに母は王国魔術師団長で、今は買い物に出掛けている。
「親父……俺……」
「分かってる。相手が聖剣を持って戦ったのならしょうがない。」
父はそう言うが、アルファの考えは違った。
「違う、俺が弱かったんだ……」
そう、言ってしまえばそうなのだ。見方によれば、アルファが弱かったから勇者に負けたとも見れる。
「親父……俺に剣を教えてくれないか……」
「そうか……分かった。」
父はそう言い、部屋を出た。
村人であることは、剣を覚えることに関係ないのだ。基本的に、勇者、魔法使い、聖女、王族、貴族等の特別な職業以外は全て村人なのだ。だから剣を覚えることは才能さえあれば容易だ。
そして、この選択は、後のアルファの人生を変えることになる。
そうして地獄のような剣術修行が始まった。修行中ぶっ倒れることもしばしばあったが、アルファはセレナを助けるために食い下がった。そして、父から免許皆伝を貰った修行開始から半年経った時の朝、
「もうお前に教えることは無い……ったく、俺の剣術をスポンジのように吸収しやがって……」
そう苦笑いして父は言った。
「終わりなの?」
「ああ、だが、お前はもっと強くなれる。お前は、魔力さえあれば見ただけであらゆる術を見切り、全てを再現することは出来ないが、重要な点を確実に再現することが出来るんだ。」
「そうなんだ……分かった。とりあえず、寝る前の鍛錬は忘れないようにするよ。」
再現すること、それは明らかに最強なのだ。どんな術でも重要部分のみを再現するというのは言ってしまえば、無駄がなくなるという意味でもある。
「それじゃあ、俺は戻る。ほら、セレナちゃんを取り戻しに行くんだろ?行ってこい。俺達は、お前達の帰りを待っている。それとミカエラ。」
「はっ、はい!」
「しっかり兄貴をフォローしてやれよ?大丈夫だ。お前ら2人ならできる。お前ら2人は天才だ。勇者なんて話にならないぐらいにな。」
ミカエラも行くの!?と内心思ったが、正直ミカエラ以上に仲間にふさわしいのはセレナぐらいだろうから気にしない。
そして、父はその日から自分の仕事に戻り、アルファはその日の夜に準備を済ませ、眠った。
その晩アルファは懐かしい夢を見ていた。
「あなたは死にました。災難でしたね……ビル火災に巻き込まれ、皆を避難完了させて逃げ遅れるだなんて……」
そう問いかけるのは、女神だった。
「別に、災難だとは思っていませんよ。でもまあ、悔いがあるとしたら、家族と恋人ですかね……特に妹の晴れ姿を見れないのは残念です。」
アルファの前世はそう言った。
「残念ですが、蘇らせることはできません。体も残っていませんし。しかし、貴方は今世英雄として死にました。あのビルにいた全員が……新聞でも貴方の事を英雄としていますよ。」
「死んでしまったのなら意味無いですけどね……それに俺は英雄になんてなれないし、なるつもりもないです。平凡に生きたかっただけです。」
そう言うと、
「まあ英雄として亡くなった貴方には転生という方法があります。」
「転生ですか!?」
そう、転生である。『転生したら〇〇イ〇だった件』とか、『〇ク〇トライフ』とか『〇味な〇聖はそれでも〇〇です』『この〇〇らしい〇〇に祝〇を!』とかの異世界転生だ。
「それで……貴方は英雄的な死に方だったので、特典を20個お付けいたします!」
「20個って多すぎませんか?」
「普通の転生者は1〜10個ぐらいですよ?」
「でも……」
「本当だったら20個でも少ないんですよ?」
「……分かりました……」
「お選びください。」
そう言われ最初に目をつけたのは、黒い剣と白金の剣。
「えーっと……『始まりの剣、終わりの剣』?」
「それに目をつけるとは素晴らしいですね。それは英雄であるアルファが造った全ての始まりと終わりを剣にした物です。」
「へぇ……これっていいんですか?貰っても。」
「いいんですよ。寧ろ、本人にもらって頂く方がいいですし。」
「本人?」
「はい。貴方はアルファの生まれ変わりとでも言っておきましょうか?」
「うむ……ますますわからないけど……1つはこれで……」
そう言いながら、アルファの前世は、龍神の加護、女神の加護等の様々な加護を授かり、剣術神話級、魔導神話級、零、創造者、万里眼、古代魔法、神話魔法などの色々な特典を貰い、送り出されて、産まれてから今までの人生を夢に見ていると、誰かにゆり起こされた。
「お兄ちゃん、朝だよ。あーさ!」
と言われ、目を開けると、ミカエラの顔がものすごく近くにあった。
しかし、アルファは狼狽えない。
「やあおはよう。ミカエラ。今日から出発か。」
「そうだよ。」
「それじゃあ、ちょっと外で待ってて、準備というか、ちょっと確認があるから。」
「分かった。」
そう言うと、ミカエラは出ていった。
そして、ミカエラが出ていくのを確認して、
「いでよ、始まりの剣、終わりの剣。」
そう言うと、二振りの、黒と白金の美しい剣が現れた。
「これが、始まりの剣と終わりの剣……全てを始める力と終わらせる力か……」
感慨深そうに言うと、ふと疑問がでてきた。
「そういや、剣の形状と効果を変えれるんだよな……」
そして、ある剣を考えた。
すると、二振りの剣は1つの大剣になった。
これは前世、ある小説で見た傾国の剣と呼ばれる剣だ。それを見ていると、ブゥゥゥンと無数の羽音が鳴るような音がした。
「へぇ、すごいなこりゃ……」
そう言うと、剣を戻して、予め用意されている鉄の剣を装備し、ミカエラの元に向かった。
「お兄ちゃん、何してたの?魔力がすごく上がった気がするけど。」
ミカエラは賢者だ。勇者に誘われなかったのはそこにいなかったからだが、魔力に関しては、かなり分かるのだ。
「だから言ったろ?確認って。」
「そかそか、それじゃあ行こうか?」
と言うと、家に結界を張り、近くの冒険者ギルドへ向かった。
そうして、冒険者ギルドに入った。
「冒険者登録ですか?」
とギルドのお姉さんが聞いた。
「はい。二人分お願いします。」
とアルファが答えると
「了解しました……お二人で20slです。」
と言った。
この世界のお金は下からbz、sl、gl、Ptと硬貨の色で表されている。1,000bzで1sl、1,000slで1gl、1,000glで1Ptという単位だ。因みに、村人の基本月給は50slなので、冒険者登録は少し村人にとっては高価な買い物のようだ。
「はい20slです。」
しかし、アルファは普通に20slを出した。
祖父母の遺産だ。両親は遠くに仕事に行っており、且つお金には困っていないため、二人で節約して使うように言われているのだ。その総額なんと16Pt!!
そして現在の残額は14Ptである。
「はい、確かに頂きました。それでは、ステータスについての説明をしますね。つい数年前までは、カードだったのですが、なくす人が多かったので、ステータス画面という魔法を使った新システムを導入しております。ステータスにはお名前、レベル、経験値、スキル、各種ステータス、称号などが書かれております。こちらは、基本的に人には見れないようになっております。そして、冒険者であることの証明は、盗難防止魔法が掛けられたアクセサリーによってできます。」
という説明を受け、
「それでは……ようこそ!冒険者ギルドへ!」
と、受付のお姉さんが言うと、歓声が上がった。
そして、空いている席に座って、ミカエラと話をしていると、
「そこのお嬢ちゃん。俺らとパーティー組まねえか?」
と、男の冒険者がミカエラを誘って来た。
「えーっと……残念ですが、私は兄以外と組むつもりは無いのでお引き取り下さい。」
ミカエラはそう言って断った。
すると、その男達は、
「いいじゃねえか……なぁ?」
と言うと、ミカエラに詰め寄ってきた。
すると、
「おい、待て待て!」
ごつい人が現れその男達を止めに入った。
「げっ……レオさん……」
「お嬢ちゃんが困ってるじゃねえか。てめえら、ミーハーな理由でパーティー組もうとしてんじゃねえ!」
と怒鳴りつけた。
「ひっ…ひぃぃ!……ごめんなさい!」
と男達は言うと、慌てて立ち去った。
そして、レオさんと呼ばれた人物がこちらに向き直ると、
「突然怒鳴ってすまねえな。黙って見てられなかったんだ。」
と済まなそうに言ってきた。
「い、いえ、こちらこそお手を煩わせてしまい申し訳ありません。」
そうアルファは答えると、
「気にするな……だが嬢ちゃん、用心しろよ?今回みたいなミーハーな奴らがまた来るかもしれん。なんせ嬢ちゃんはべっぴんさんだからな。ただでさえ、女の冒険者ってのは舐められやすいんだ。だから用心にこしたこたぁねえ。」
「えーっと……ありがとうございます。」
とミカエラがお礼を言うと、得意げな顔つきになって、
「そういや、自己紹介がまだだったな?俺はレオだ。よろしくな。」
「俺はアルファ、こちらは妹のミカエラです。よろしくお願いします。」
「ああ!困ったことがあったらなんでも相談しな!」
そう言うと、レオは立ち去っていった。
「すごくいい人だったね?」
「そーだな。だが、もうそろそろ違う街に行くからなぁ……」
「そうだね……」
そう、ここには冒険者登録をする為だけに来たのだ。この後は、用事は特にない。
「とりあえず、何回か仕事をしてレベル上げしようかな。」
「そうだね、そういえばステータス見てないや。」
「俺も見てないな……見よっと」
ステータス画面
名前:アルファ
Lv1
称号:最強の素質を持つ者
MP 9.9×10⁸
STR 3.983×10³
DEF 5.0×10³
VIT 9.0×10⁴
INT 9.3×10⁸
MND 9.99×10³
AGI 9.4×10⁹
LUK 1.0×100⁶(固定)
究極スキル:剣術神話級、魔導神話級、理改変、時間操作
固有スキル:零、創造者、絶対防壁、絶対切断、神を超える者、超速思考、裁定者
最上位スキル:古代魔法、神話魔法
上位スキル:縮地、格闘達人級、暗殺術特級、気配遮断Lv5、隠密無効、状態異常ほぼ無効、神聖魔法、精霊魔法、我流剣術、見識の才、模倣剣技、騎士団剣術
下位スキル:心眼、属性魔法、無属性魔法
「……多いな、スキル。」
剣術神話級とは、一般から、神話クラスまでの剣技が使えるという意味だが、スキル熟練度を上げないと、使えるスキルが増えることは無いのだ。スキルの例として我流剣術、天然理心流剣術、北辰一刀流剣術、二刀流等がある。
因みに、最初勇者のSTRは500でアルファは250であるが、地獄の修行のおかげか4桁になっている。
「ミカエラはどうなのかな?」
そう言い、ミカエラのを見ると、
名前:ミカエラ
Lv1
称号:ブラコン賢者、僧侶
MP 7.6×10⁷
STR 877
DEF 869
VIT 798
INT 9.07×10⁷
MND 3.45×10³
AGI 600
LUK 200(固定)
上位スキル:魔導災害級、賢者、神聖魔法、弓術特級、剣術特級
下位スキル:属性魔法、回復魔法、浄化魔法
「ミカエラは少ないのか?いや、標準か……」
「お兄ちゃんはステータスはエグいけどスキルが多いね。」
「安心しろ、お前も俺のスキルを覚えることだってできるんだから。」
そう、この世界では、スキルを覚えることが可能なのだ。本を読んだり、実物を見て修行したりすれば、そのスキルを得ることが出来るのだ。
「そうだね……じゃあさ、お兄ちゃんと一緒に地獄をくぐったからステータスはすごく上がってるけどね……」
「ミカエラはもう鍛錬いらなくね?」
「筋力はね……でも魔法はどんどん強くなるから。」
「期待してるぞ。」
そう言うと、ミカエラは嬉しそうな顔になった。
グダグダなんだよなぁ……因みに、勇者は聖剣を持ってない素手の状態のステータスです。
聖剣を持ってる時は、3.9×10³になります。
それと、レインファンなら聞いたことのある単語、言葉が出てきたのではないでしょうか?
それと、妹は前世の影響で現職僧侶過去賢者です。
因みに、あと2人のうち、1人は現職聖女兼剣姫過去剣姫でもう1人は現職王女兼賢者過去僧侶です。