暗闇の中で
手放された意識が覚醒していく。
自分の身体の感覚が戻ってくるのを実感しながら
わずかに重さを感じる瞼をゆっくりと開けるとそこには
ただ広い闇が視界に入ってきた・・・
「・・・どこだ?ここは・・・」
そして自分の身体は本当に起きているのかもう一度確認する
間違いない、身体は動く、脳も恐らくは・・・正常だ、夢ではないようだ。
惜しむらくは何故か心臓の音が聞こえない事だろうか・・・
「んっっ!!?」
今なんつった!?
心臓が動いてない!?
いや待て待て待て、まさかそんなわけがないだろう
そう思い、自身の胸に手を当ててみる
ほぉら、そこには脈々と鼓動を打つ波動が・・・ない
あまりの矛盾に思わず気が動転してしまうが
今はそれを考えたところで仕方がない
どこだったかの哲学者も生きているから生きているんだといっていたはずだ。
落ち着け俺、まずはここがどこで、俺はどーなっているのかを把握しなければ・・
自身の置かれた状況を改めて考える
生きてはいる?心臓が動いてないのはこの際置いといて、意識はハッキリとしている。
身体の感覚もハッキリとしている
声も出る、目も空いている、しかし辺りは暗く何も見えない
ここから導き出される結論は・・・
「まぁ、慌てて何かをしなければいけないということもない。ということだな」
自分は確かに事件か事故かで意識を失くした、つまり死んだと考えるのが妥当で
ここは天国でもなければ地獄でもない、ということだろうか。
「しっかし、どーなってんだ?」
思考は袋小路に入り、答えのない問いは中空に放り出され考えることをやめることにした。
「にしても、ホントにここはどーいうとこなんだ?」
「その問いにお答えします」