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チート・ザ・昔話  作者: こおり ほのお
チート・ザ・昔話
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チート・ザ・北風と太陽

 むかしむかし、あるところで太陽と北風がどちらが強いかで言い争いをしていました。

 しかし議論ばかりしていてもソレは中々決まりません。


「太陽よ、互いに口だけの争いでは納得はしまい、もはや力を誇示することでしか優劣を証明する(すべ)はないのだ」


「北風よ、俺とて貴様の力を侮っているわけではない。ここで俺とお前が本気で()り合うというのであれば、この大陸そのものが無事ではすまないだろう……もう、こうするしか方法はないのか?」


 覚悟を決め太陽をまっすぐに見据える北風に対し、太陽は眉をひそめ悲しげな表情で北風に訴えかける。

 そんな太陽を見て、北風は少しだけ視線を落とした。


「皆まで言うな。……さあ構えろ」


「……どうしてだ!? こんなの絶対におかしいだろ!? どうして、俺たちが……」


「我が北風でありお前は太陽である、理由はそれで充分! 決着をつけるぞ!」


 北風はそういうと、自身の身体そのものである風の勢いを更に増させた。

 その完全な臨戦体形を見て、太陽も覚悟を決めた。自身の身体から迸る炎を一層燃え盛らせる。


「北風……俺たち、こんな形じゃなかったら、友達になれたかな……?」


 燃え盛る炎とは別に瞳にも覚悟の炎を宿した太陽は、最後にそう投げかけた。

 それに対し北風もまた相手を見据え、しかしどこか穏やかに返事を返す。


「……あるいは、そうだったかもしれんな」


 次の瞬間、穏やかな瞳を一転、真剣なものに変えた北風は、自身に膨大な力を込め、叫んだ。


「【魔界狂乱暴風(ベルセルクトルネード)】ッ!!」


 叫びとともに山をも吹き飛ばしそうな荒れ狂う竜巻を呼び寄せ、それが真っすぐ太陽を襲う。


「【新星灼熱天国(プロミネンスノヴァ)】ッ!!」


 片や太陽も自身の身体を爆発させるかのような波動を放ち、 海をも焼き尽くさんばかりの爆炎を北風に放った。


 しかし、風そのものである北風にはどれだけ火炎熱風を当てたところで揺らぐに過ぎず、また地上全てを照らす大いなる太陽にも天変災害程度は通じない。


「【永久北風神撃(ボレアスフルストーム)】ッ!!!」

「【終焉爆熱滅砲エンドオブインフェルノ】ッ!!!」


 それでも互いに一歩も譲ることなく、幾つもの奥義を打ち合う。

 全てを吹き飛ばし焼き尽くす、この世の終わりのような余波を周囲にまき散らしながらその戦いは三日三晩続いた。

 天空を制する二人が互いが息を切らし始めた頃、もはやなにも残っていない地上から二人を止める声が響いた。


「止めて二人とも! どちらが強いかだなんてそんな事でもう争わないで!」


 そこにいたのは一人の可憐な少女。その瞳には涙を溜め、その水の力で炎あるいは風しか持たない二人の心を揺さぶる。


女子高生(人生の旅人)か……脆弱な身でありながらよくぞ我らを止めに入った。……だが、もはやそれで止まる我らではない、巻き添えをくいたく無ければ早々に立ち去れ」


 心が揺れながらも、女子高生(人生の旅人)に警告する北風。

 それに対し、太陽は目を光らせた。


「いや北風よ、確かにこのままではこの戦いに決着がつくことはないだろう。だが、戦いのルールを変える事が出来たならば、それも叶うやもしれんぞ」


 太陽のその言葉に、北風は女子高生(人生の旅人)の様子をもう一度見る。

 自分たちの戦いが始まっている事を知り、よほど急いできたのだろう。

 学校帰りの薄手のブラウスにミニスカートというこの終焉の地にはおおよそ相応しくない格好をしている。


「なるほど、我らの力、互いにぶつけ合うのではなく、この女子高生(人生の旅人)の衣服を脱がす事に使用し、どちらが先にそれが叶うかで競おうというわけか面白い! その申し出! 乗ったぞ太陽よ!!」


 次の瞬間、北風は女子高生(人生の旅人)に向けて風の息吹を吹きかける。


「ふははははっ! 力が強すぎて肉体そのものを吹き飛ばすわけにはいかんからなぁっ!! さあどうだ! この【悪戯神風(デモンウインド)】防げるかぁ!?」


「きゃああああああああああっ!!」


 突如ふき出すほど良い風に、女子高生(人生の旅人)は必死にミニスカートの前面を押さえた。

 それにより肉付きの良いみずみずしい太ももが露わになる。が、それ以上は捲れない。

 ──だが、身体を持たない北風は、風全てが自分自身。即座に自身の視覚を女子高生(人生の旅人)の背後に移し、その眼を見開く。


「見えたッ! 水玉模様ッ!!」


 次いで太陽が自身の口角をかつてないほど吊り上げ、叫ぶ。


「見事だ北風よ! だがそれでは衣服を捲ったにすぎん! 脱がすには至ってはおらんぞ! さあ女子高生(人生の旅人)よ! 今度はコイツをくらえ! 【真夏最高気温パーフェクトサンシャイン】!!」


 叫びとともに太陽は嫌らしく光を放ち、周囲の気温を35℃以上にまで上昇させる。


「あ、ん……暑、い……」


 すると女子高生(人生の旅人)の全身はすぐに汗だくにあり、たまらずブラウスのボタンを外しだした。

 すぐに現れるはやはり水玉模様の女性物の下着と、その下で圧倒的存在感を放つ二つの山。


「ふひゃひゃひゃははははあぁーーーーッ! 着やせするタイプだったか!! どうだ北風よ! この勝負、俺の勝ちだッ!! だがまだ終わらんぞッ!! もっとだ!! 全て脱ぎ捨ててしまうのだーーーーッ!! まずは北風が覗いたスカートの下から見せてもらおうかふひょふぉふぅひゃひゃひゃーーーーッ!!!!」


 狂喜する太陽に向かって、女子高生(人生の旅人)はふわりとその身体を宙に浮かせ太陽の眼前まで迫った。


「そんなに見たければ見せてあげるわ……しかとその眼に焼き付けなさい!」


「ひょほ?」


「【絶対領域禁忌破り蹴りビッグバンサマーソルトキック】ッ!!!!」


 女子高生(人生の旅人)から放たれた鮮やかなハイキックにより、太陽は粉々に破壊され消滅した。

 しかし彼の言う通り、彼は北風との勝負には勝ったのだ。

 その命を賭して。

 (おとこ)としての使命を果たして。

 皆も女の子の服を脱がす時はキチンと相手をその気にさせてから自分の意志で脱いで貰おうねっ!



 めでたしめでたし。


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