表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/3

ハジマリノ血だまり

毎度毎晩毎回徘徊

老人老兵老後の論理

利平長平関係内々尽くし

我わわわあれあらら


世の中の論理について

良く分からない論争を、一人で得繰り広げている教授を、講義の会場、遥か頭上、出口にほど近い場所から見下ろしていると、次第に眠気が、自分の自我を、あらぬ方向へと連れ去り

ふと気が付いたころには、真っ白なノートが、目の前に広げられ

今の絶望的な現状を、ありありと眠気まなこに、提示していた

一応提出は、義務づけられているので

どうしたものかと、一人教授へと続く生徒の列を見ながら、考えをめぐらすが

ほとんどめぐっていない血液が、脳へと突然供給され始めた弊害で

いよいよ鼻血、立ちくらみ、くしゃみ、しゃっくりなど、なじみ深い病害が、押し寄せて来たので

一時、脳を、休眠させてみることにした

すると、目の前に、女性が着るズボンのようなもので

一体どういう経緯で開発されたのかスカートと言うものを着た

女が、立っている

「やあ」

眠気まなこに逆戻りした目で、一体どちらさんかと

目線を上げれば、同じ講義をよく受けている紫ケ丘 浅黄である

もちろん、僕と言う小中高校と同級生の名前を一人も思い出せず呼んだ記憶が乏しい僕が

彼女のフルネームを、知っているはずもなく

今時、幼稚園の入学式ぐらいしかしないのではないだろうかと思われた

名前入りの名札を、誇らしげに、胸につけているが

さすがに、多少落ち着いた色合いで、その大きさもさほどではない

そう、しいて言えば、都昆布より一回り小さいのやもしれない

そんな、名札を付けた彼女が、どうして目の前に立っているのか

またしても血液を、スポンジよりもやわらかそうな僕の脳に送り込んでみることを試みたが

結果論としては、鼻血を吹きだすと言う血管の決壊による自分の精神を露呈させかねる行為に至るが

そんな、事件を、目撃しているであろう、彼女の動作は、先ほどと同じで行動なしであった

仕方なく、あまり人の顔を見ない、下向きな人生を送って来たであろう僕は、珍しく

彼女の顔を、うかがう事にした

そこにあったのは

定規で、切りそろえられたような

きっちりとしたりんかくであり

その細部は、前衛芸術とは、一線をはくし、まるで、美術大学の模写のプロが、写真よりも写真らしく

精密にして明快に書かれたようで、いまの世の中で、良く生きていられたものだと言うような

絵に描いたような美女である

「警官志望ですかい」

僕は、半ば机にめり込んでいるような気がした頭を彼女の方向に向けて

そう口から出す

「いえ、あなた、探偵クラブ所属 シグルイですね」

僕は、目を白くして驚いた

僕の数少ない幼児時代の記憶の中に、とおの昔に置き忘れていた文字

古き良き冒険活劇を、沸騰とさせかねない「探偵クラブ」と言う名前

「シグルイ」と言うちゅうにびょうの頃でさえ、使うのをためらうような痛々しい文字

あなたはいったい何者なのだ

僕は、そんな目を彼女に向けようとしたが

それは、ピースと言ういかにも平和そうな凶器により

目つぶしされて、出来なかった

「こんなところで、生きていたなんて、殺してやる」

彼女は、僕の耳に、生暖かい唇を寄せると

鼓膜の事など無視する音量で

他の生徒のことなど知ったこちゃないと言う態度で、示した

もちろん、この授業の教授も例外ではない



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ