主な登場人物(進歩派)
泉に至る道
大聖主
新興宗教団体『泉に至る道』の教祖。大聖主の称号で呼ばれる。
既に老人だが権力志向と自己愛が強く、アルス(後述)をして「業突く張りで強烈なナルシスト」「教団で最も狂信的な信者」と評する。
彼にとって自らの作り上げた教団は集金システムである以上に、自分が信奉している自分自身への貢物という一面がある。
信者の中でも自らに絶対の忠誠を誓った者を集めた『レジオ同胞団』という私兵部隊を組織しており、その他にも結社(後述)と結託するなど、自身の周辺を固める武力を求めている。
“デュバル”間宮呉羽
泉に至る道の女性幹部。教団の№4の地位にあり、大聖主から聖姓と呼ばれる称号として『デュバル』を与えられ、それを名乗っている。
教団への忠誠心が非常に強く、一般の信者からも信頼を集めており、一部ではアイドル的な扱いも受けているが、他の幹部からは疎まれている。
また、他の幹部に与えられているレジオ同胞団の実働部隊は彼女には割り当てられておらず、彼女の指揮下にあるのは『赤い騎士団(後述)』と最低限の身辺警護と身の回りの世話をする者のみであり、大規模作戦時には他の幹部より戦力を借り受けている。
明石(後述)とは教団と結社が協力関係にあることから、彼が彼女の戦略面でのアドバイザーを務めている時もあったが、明石は教団の他の幹部との繋がりをより優先した結社の方針に従い、ある作戦時に彼女を裏切っている。
その明石は「戦争の準備に関しては本当に有能な女」という評価を下しており、その事務的能力は決して低くない。
藤浪
レジオ同胞団メンバー。小隊長。
赤い騎士団から転属した同胞団メンバー。教団に絶対の忠誠を誓ってはいるものの、赤い騎士団時代に想いを寄せていたデュバルの存在を明石によって利用され、本人の思いとは裏腹にデュバルを陥れる計画に知らずの内に加担させられていた。
当のデュバル本人には特別な感情は一切なかった。
赤い騎士団
関西弁の男
教団の少年部に相当する赤い騎士団のメンバー。正確にはその中でも特に精鋭部隊とされる『遊撃隊』に所属している。
赤い騎士団自体の教団色は薄いとされているが、実際には付喪狩りを行う、レジオ同胞団との共同作戦を遂行するなど事実上の下部組織として扱われる。
彼はその先鋒である遊撃隊の中でも情報収集分野を担当し、付喪狩りの際には一般の赤い騎士団メンバーに対するアドバイザーとして部隊に同行する事もある。
以下2017/12/03追加
本名は田中晋平。遊撃隊隊員であり、遊撃隊位置の情報通を自称していた。明石から付喪の出現情報を伝えられていた。
名前の元ネタは幕末四大人斬りの一人、田中新兵衛。
また、遊撃隊隊員の名前は全て四大人斬りが元ネタ。
2017/12/03追加
桐野明俊
遊撃隊隊員。萱橋市内の高校に通う二年生。
祖父から習った青島流抜刀術を遣い、今までに何度か付喪狩りに参加している。
同じ遊撃隊の河上飛鳥(後述)とは幼馴染の関係にある。
コンセプトはバトル物の正統派主人公。
名前の元ネタは桐野利秋。当初は名前の明俊で飛鳥らに呼ばれる予定だったが、主人公の下の名前三音節の法則に従い、語呂の良さからアキトになった。
黒基調の服装は名前の元ネタがお洒落に気を使う人だったという逸話から、男子中高生のおしゃれ→中二臭い→黒っぽいという偏見による。
2017/12/03追加
河上飛鳥
遊撃隊隊員。桐野明俊の幼馴染でクラスメイト。
幼いころから薙刀を習い、その腕前を遊撃隊でも発揮。付喪狩りに参加している。
兵衛によれば戒と雰囲気が似ているが、胸は彼女の方があった。
戦闘時は白い道着に袴という出で立ちになり、相方とは対照的。
名前の元ネタは川上彦斎。元ネタの人物は男性のため、他の遊撃隊隊員と異なり下の名前は関係がない。
2017/12/03追加
岡泰造
遊撃隊隊員。筋骨逞しい2m近い身長の巨漢。
大型のナイフを武器にして付喪狩りを行う遊撃隊の切り込み隊長。
相対した兵衛からは直感で危険であると判断される実力の持ち主。田中晋平と同じ高校に通っている。
名前の元ネタは岡田以蔵。
泉に至る道所属の付喪憑き
泉に至る道に所属していた付喪憑き。
元赤い騎士団メンバーであり、結社の付喪との間に契約を結ぶことで付喪憑きになった。
集いの方舟襲撃作戦に参加し、偽情報によっておびき出され、兵衛たちの襲撃を受ける。
相方の活躍もあり一度は危機を脱し、襲撃部隊を追いつめるものの、水中から急襲した兵衛によって相方が撃破され形勢が逆転。追い詰められたことで教団から支給されていた拳銃を取り出すも乱入した石村と揉みあいになり、その拍子に彼を射殺した。
以降は人間を殺してしまったというショックで錯乱状態となり逃走。その後の消息は不明。
結社
平良航
進歩派の組織『結社』の代表者。
泉に至る道に協力を持ちかけた進歩派の付喪憑きで、付喪の能力を活かして教団に対する傭兵派遣及び教団の軍事顧問的立場に収まった。
目的は不明だが、進歩派の付喪や付喪憑きを纏め上げて組織化し、集いの方舟襲撃等の作戦にも参加している他、結社の付喪を教団の人間と契約し付喪憑きにする事で教団に限定的ではあるものの付喪の戦力を与えている。
明石
結社所属の付喪。
元々は集いの方舟理事であった栗野の付喪だった。集いの方舟襲撃以前には結社に対して身分を偽って接近しその内情を調査。襲撃後も反撃の糸口を探し、兵衛たちを含む集いの方舟生存者に生還を裏から支えていた。
が、実際には結社に所属し、集いの方舟の内情を結社に報告すると同時に襲撃を手引きしていた二重スパイであり、集いの方舟の人間の職員であった石村を扇動してエージェントに仕立て上げるなどの工作を行っていた。
襲撃作戦終了後はその正体を隠したまま栗野のもとへ戻り、隙を見せた彼を射殺。以降は結社所属の付喪としてデュバルの顧問的役割にあったが、如斎(後述)追跡作戦の終盤に結社の方針に従いデュバルを裏切る。
作戦時には常矩や口入れ屋の行動を常に予測し、実際に彼らが渡り鳥との合流地点に到着した際には、渡り鳥よりも先に彼らの前に現れる。その行動から常矩に完全敗北を認めさせるなど、戦略面では優秀。
アルス
結社所属の付喪。女性。
元々はフリーの進歩派付喪憑きと組んで行動していたが、彼が独断専行を起こした際にはあっさりと見捨てた挙句自らの使いによって瀕死の彼に止めを刺し、より従順で扱いやすいとして秋月衛(後述)を次の相方に選んでいる。
秋月の前では貞淑な女性を演じているが、実際には正反対の苛烈で冷酷な性格。
本来はヘビースモーカーだったが、演技の為に禁煙していた。しかし、どうしても喫煙の誘惑に駆られ、臭いがしないのならという前提で電子タバコの購入を検討している。
使いの運用に関しては天才的な才能を有し、集いの方舟襲撃作戦の際にはその能力をいかんなく発揮。本来五羽同時に運用できれば一人前とされる使いを、一羽毎の性能を高いレベルに維持したまま一人でその十倍近く同時展開できるその能力から、集いの方舟生存者側から『世界最小の巨大空母』と呼ばれて恐れられていた。
また、本来は展開→加速→上昇と段階を踏む必要がある使いの発進を展開と同時に急加速させての急発進という芸当を可能としており、それを目の当たりにした貴瀬から「飛び掛かるのは最早マシンガンの前に飛び出していくようなもの」と言わしめた。
最終的には連丞を中心とした襲撃部隊により秋月が負傷。彼ともども橋から転落し敗北したが、その後明石によって二人とも回収されている。
その通称の通りモチーフは空母。ごく初期の設定では秋月の運転するトラックの荷台に乗り、高速で移動しながら使いをばらまくという戦法をとっていたが、流石に対処法がなくなってしまうので弱体化させた。
秋月衛
アルスの現在の付喪憑き。
貞淑な女性を装ったアルスに騙されて付喪憑きになったが、彼女の正体に関しては未だに気付いていない。
アルスからは自分は恐ろしい敵である付喪に狙われており、そうした外敵から彼女を守ろうとしているが、実際には付喪の生態と進歩派などの存在についてはアルスから一方的な情報を与えられているのみで、都合よく利用されているというのが本当の所。当のアルスからは内心で軽蔑されているものの、その事にも気づいていない。
集いの方舟襲撃作戦にも参加。アルスと行動を共にし、偽情報で誘い出されて襲撃を受けるも、その際には身を挺してアルスを庇おうとするなど、彼女を守ろうとする気持ちは極めて強い。
アルス=空母を守るというところから名前の元ネタは秋月型駆逐艦及び二代目あきづき型護衛艦。キャラクターのモチーフは戒が悪女だった場合の兵衛。
第五の男達
渋沢義晴
進歩派の過激派セクト『第五の男達』の元メンバー。
学生時代に如斎と出会い、彼と共にセクトに合流したが、その後同じ大学に通う女性と交際。その後如斎との関係を解消し、洗血の法で人間に戻った。これに対しては如斎も賛同している。
人間に戻り大学を卒業後にその女性と結婚し一子を設けた。自動車の部品を扱う商社に就職するも、通勤中に痴漢の疑いを掛けられ逮捕される。実際には冤罪であり裁判でも一貫して無罪を主張し続けたが、 原告側に明らかに不自然な点があるにもかかわらず、彼の主張は聞き入れられることはなく有罪判決が下り、控訴も取り下げとなった。
妻とは巻き込みたくないという思いから裁判の前に離婚しており、親権も彼女に移っている。
有罪確定後に自殺。
如斎
元第五の男達メンバー。渋沢と契約していた付喪。
渋沢と契約し、第五の男達に合流。当初はセクトの情報収集を担当していたが、人間に移送されている付喪を襲撃する計画に加担。その襲撃時に実行部隊が誤って人間の女性を殺害したことからセクトのあり方に疑問を感じ、渋沢からのコンビ解消の申し出を機に自身もセクトを脱退。
その後、渋沢が自殺したことを知らされ、友人を襲った理不尽への報復を開始。痴漢冤罪事件の関係者を探しだし、金銭目的と思われる原告の女性と、捜査に関わっていた元警官を拉致し殺害。
元警官が泉に至る道に関わっていた事から教団による追跡を受けることになり、移動の際に利用した渡り鳥が進歩派に通じていた事から襲撃を受ける。
この襲撃により負傷した所を貴瀬に発見された彼は、口入れ屋での会合により常矩が市街脱出を支援する事となり、以降彼と行動を共にする。
途中で兵衛、勠、戒とも合流するが、第五の男達時代に自分がもたらした情報が契機となった襲撃計画で襲われたのが戒だと判明すると、斬りかかる彼女に対して抵抗せず自ら首を差し出す。
結局常矩の介入により殺害はされず、萱橋を脱出。
その際に戒から報復を諦める旨を伝えられ、同時に自らの報復を必ず完遂するよう求められるが、これを自身への罰であるとして承諾。
その直後、デュバルを裏切っていた明石により仇の一人の身柄を渡され、即座にその約束を実行した。