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アリアシア ―― ヘクト⑱
再びアリアシアをヘクトへと託し、ハルシュはザガンを追ってイベントフィールドへと消えて行った。
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「アイツ、戻らない覚悟か……」
ハルシュの消えた先を見上げながら私が呟く。
「大丈夫です。あの人は私の所に戻ります。必ず」
しかし、アリアシアはそう力強く言い切った。
……ハルシュ。
君はひょっとしたら私以上に面倒な娘をその気にさせちゃったんじゃないのかな。
「町に湧き出したモンスターの駆除。
住民への港への避難誘導。
それから大物が二体。
急ぐぞ」
珍しくクレイグがやる気を見せ走り出す。
「了解」
私はメイスを取り出し、アリアシアの手を取りそれに続く。
「私の側を離れない様にね」
「はい。あ、お名前は?」
「ヘクト」
「ヘクト様。しっかり守って下さい。私とハルシュの命を」
そう言って彼女は自分の胸に手を当てた。
そして、勝ち誇った様に笑う。




