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異変 ―― ヘクト⑰

 何処へ……?

 ハルシュと一緒に居た女の子の視線の先を見る。

 そこは偉いさんが並ぶ観覧席。

 ハルシュの姿もそこにあった。

 剣を腹に刺された偉そうな誰かと共に。


「クレイグ」

『どした?』

「何かが起きてる」


 それだけ言って目の前の画像を彼に転送。


 ノゾミにも。

 そう思い闘技場へ目を向ける。


<ポーン>


 システム音が鳴る。


 それと同時に、闘技場の盤上がモザイク状に一瞬歪み、その上に居た仲間達と共に試合会場の石畳が消失した。


 仮想ウインドウを開きメッセージを確認。


 ◆


 【開催:ウァラク・アンドラス降臨】


 コンステレーション クエスト オンラインをお楽しみいただきありがとうございます。


 緊急ゲリライベント【ウァラク・アンドラス降臨】を開催いたします。

 タウラスエリアのアルデバラン街区に

 ウァラク・アンドラス二体の降臨ボス、そしてモンスターの軍団が現れました。


 突如出現したモンスターを撃退し街と住民の守り抜こう!


 なお、アルデバラン街区及び、周辺フィールドは離脱不可エリアとなります。

 イベント終了まで、アルデバラン行きの飛空艇便は欠航となります。


 運営チーム


 ◆


 【開催:ザガン降臨】


 コンステレーション クエスト オンラインをお楽しみいただきありがとうございます。


 緊急ゲリライベント【ザガン降臨】を開催いたします。

 タウラスエリアのアルデバラン街区に上空に

 ザガンの支配する島が現れました。


 本イベントへ闘技大会本戦出場プレイヤーの皆様をご招待いたします。

 参加プレイヤーは、以下のボタンよりご参加下さい。


 [参加する]


 なお、イベントエリア、トーラスポニアトウスキは離脱、脱出、通信不可エリアとなります。


 運営チーム


 ◆



 ……イベント?


 しかも、招待状付きとは。


 周囲がざわめき立つ中、私は観覧席のハルシュへ不安げな視線を送る女の子へと視線を落とす。


 頼まれた、ものね。


「ここは危ないわ。避難しましょう。……えっと」

「アリアシアです。それとリヒト……」


 彼女がそう言った瞬間に、横に居た大きな犬が消えた。


 そして、僅かに周囲が暗くなる。


 見上げるとそれまで輝いて居た月と星が見えなくなって居た。


 直後、轟音と共に闘技場に土煙が舞う。


「ハルシュ!」


 アリアシアと名乗った少女が叫び声を上げる。


 闘技場の試合会場があった、その場所にハルシュが叩きつけられて居た。


 その上から、翼を生やした化け物が彼を潰さんと飛来する。


 咄嗟に避ける彼。


 化け物の登場にあちこちから悲鳴が上がる。


 堰を切ったように立ち上がり逃げ出す観客達。

 一気に周囲に混乱が押し寄せた。


「離れないで」


 私はアリアシアにそう声を掛けて、彼女を抱き寄せた。

 アリアシアの視線はハルシュを追ったまま。


「大丈夫よ」


 アイツは負けない。


 立ち上がり、間合いを取った彼を見ながらそう声をかける。


「知ってます」


 予想外に強気な声が返ってくる。


『試合会場は?』


 ハルシュからの通信。


「消えた」

『消えた?』

「そう。イベント告知と同時に」


 化け物の攻撃を捌きながらの通信。


「手助けは?」

『不要。アリアシアを』

「わかった」


 だったらもっと集中しろ。

 そして、私を信じろ。

 ついでに言うと、この子の事も。

 今、ここでお前を見守るこの子の方が余程お前の事を分かってそうだぞ?


『あれ? お前は行ってないのか?』


 クレイグから通信だ。


「客席に居る。ノゾミ達は?」

『どうらや連絡がつかないみたいでさ。

 お前、どうすんの?』

「暫く様子を見る」

『んじゃそっちに行くわ。どの辺だ?』

「柱に50って書いてある」


 私は振り返りながら現在地を仲間に伝える。


 闘技場の中心にはもう一人プレイヤーが参戦し、二対一の戦いになって居た。


 ◆


 ヘクトとアリアシアの元へとクレイグが合流する。

 アルデバランの闘技場に現れた不死者ザガンは、タウラス自由騎士団の勇者、クロムの能力を吸収し、アルデバラン上空へと現れたイベントフィールドへと消えて行った。

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