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閉じた未来の、その先へ  作者: はなび
プロジェクト開始3週間前
31/32

ラウンジ(和明の場合)



一頻(ひとしき)り皆ではしゃいだあと、喫煙組が一服するために席を離れた。

喫煙席の一角に陣取ってすぐ、(たかし)宇陀(うだ)を睨みつける。

「どういうつもりだ」

低く唸った。余程チビたちが心配なのだろう。警戒心を(あらわ)にして、今にも食って掛かりそうだ。

「あいつらに何かするつもりなら、容赦しねぇぞ」

「何もする気は無いよ。ただ試しただけだから」

宇陀は、両手を上げて敵意の無い素振りを見せる。

「…あとで利用するつもりで、か…?」

「そのつもりも無い。こちらだって、探られたくない腹はあるんだ。おたくの言ってた事がどこまで本当か、知りたかった」

真面目に言い切って、宇陀は情けない顔をする。

「…もう、管制士たちに詰め寄られた時みたいな経験は、二度としたくない」

たぶん、こっちが本音だ。

ぶんぶんと首を振り、宇陀は机に突っ伏した。

「…何で、ここの連中は曲者揃いなんだよ…」

情けない声で泣き言を垂れる宇陀に、崇の毒気が抜ける。気の毒そうに宇陀を見やると、崇はそっと背中を摩った。

「…まぁ、何だ、こればっかりは、気の毒としか言い様がねぇな」

普段から曲者たちに鍛えられてる崇には、それくらいしか慰めの言葉が出てこないのだろう。

宇陀と同じ立場の和明(かずあき)には、宇陀の試したい気持ちは良く分かるが、実行しようとは思わなかった。


そういう事で、崇は嘘吐かねぇから、絶対、返り討ちだろ。


実際、生駒(いこま)は宇陀の言葉の裏を読み取って、意趣返しだけでなく、しっかり、ちゃっかり駄目出しまでしている。それも、無意識だ。

和明も気の毒そうに宇陀を見やって、トドメの言葉を吐く。

「試すつもりが返り討ちにあって、おまけに駄目出しまでされちゃぁ、ざまぁねぇよな」

「…ちょっ、おまっ、わざわざ黙ってた事、ボロっと言うなっ…!」

崇が和明の袖を引いて、小声で窘めた。が、案外、言ってる事は酷い。

突っ伏したままの宇陀が、おたくら酷いわ、とぼやくのが聞こえた。



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