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閉じた未来の、その先へ  作者: はなび
プロジェクト開始1ヶ月前
13/32

ターミナル控え室(陸の場合)



その日は、朝からプロジェクト関係者全員が忙しかった。

哲也(てつや)は、ずっと何処かに出たきり、整備場に戻ってない。三郷(さんごう)は、相変わらず整備場に詰めていたが、哲也の代わりに整備班を纏めるのに忙しそうだった。(りく)も、管制室に呼び出されて、管制士の仕事を手伝わされ、関係部署を盥回(たらいまわ)しにされた。

遅い昼食の休憩がてらに整備場に戻ると、まだ哲也は帰ってきていなかった。三郷も、ばたばたしていたので、陸はそのまま管制室に戻った。

結局、就業時間まで管制室に詰めたあと、そのまま葛城(かつらぎ)に連れ出されたので、整備場に戻ることはなかった。これから、プロジェクトメンバーの顔合わせがあるそうだ。




連れて行かれたのは、ターミナルにある控え室で、すでに数人が集まっている。知り合いもいれば、全く話もしたことのない人もいる。でも皆、顔見知りだ。

集まった人の中に哲也を見つけて、陸は駆け寄った。


「てっさん、やっと会えたー」


「お疲れ様です、陸。今日は大変でしたね」


「慣れない事、するもんじゃないよ、本当に」


苦笑いしか出てこない陸に、哲也はおっとり笑う。


「そういえば、三郷さんは?」


「手伝いの方で、トラブルがあったみたいです。遅れるって連絡がありました」


陸は、そうなんだ、と返す。

それからしばらく、2人で他愛ない会話を楽しんだ。

就業後30分も経つと、控え室に人が増えてきた。ざっと見ただけで、20人ほどが集まっている。


増えたなぁ。


陸が呑気に眺めていると、室内に入ってきた磯城(しき)が、こちらに寄って来た。


「やあ、三輪(みわ)君。久しぶりだな、お疲れ様」


「お疲れ様です、磯城さん。3日ぶりです」


おっとり笑って挨拶を返す哲也の隣で、不機嫌そうに顔を(しか)めた陸が、磯城に文句を言い始める。


「整備場は、磯城さんの遊び場じゃないです。何で、頻繁に顔出しに来るんですか?」


「日参しているおまえに言われたくないな、陸。あまり、三輪君の仕事の邪魔を、するんじゃないぞ」


軽口を叩く磯城に、陸は、ぷう、と頬を膨らませる。


「磯城さんと違って、仕事の邪魔なんかしてません!」


ね、と哲也に同意を求めると、彼はおっとりと、はい、と返事した。


「…三輪君、正直に迷惑だと言わないと、陸が付け上がる」


磯城が哲也に耳打ちして。

途端に陸が、ヒドい、と抗議した。



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