第七話 天国
「それじゃあ、また明日ね。」
「おう、また明日。」
そういって俺たちは楓の家の前で別れた。
俺の家は楓の家を通って数軒、家をまたいだところにある。
隣じゃないんだよ…
「ただいまー」
俺は玄関を開けた。
「おかえり、お兄ちゃん。」
「おー、ただいま。」
「ちょっとゲーム借りてるから。」
「あいよ。」
こいつは俺の弟の綾田。
中学2年の弟だ。
「俺寝るから、まだまだやってていいよ。」
「いや、俺勉強あるからもうやめるよ。」
「さいですか…」
綾田は俺と違って真面目君である。
反面教師ってやつかな…
弟と少し会話を交えてから俺はソッコーで自分の部屋のベッドにもぐりこんだ。
「ここが天国か…」
俺は一瞬で眠りに落ちた。
***
「おはよー、祐介。」
「おはよ」
俺たちは普段、いつも一緒に登校している。
…俺が寝坊しないときは。
「あら、今日は珍しく起きれたのね。」
「いつも通り、起きさせていただきました。」
「今日は何か悪いことでも起きるのかしらね?」
「…いいすぎ。」
楓と一緒に登校をしたら、教室でいつものメンバーと、いつものようにおしゃべりタイム。
…そんないつもとは、なにか違う感じ。
なんだろう。
ほんとに悪いことが起きそうな予感。
「…ねえ。なんか変な感じしない?」
「変な感じ?何よそれ。」
「別に何も感じないよ?ゆうさん。」
…おかしい。
すごく嫌な感じだ。
胸がざわざわする…
早起きした代償か…?
「おかしいな…俺の調子が悪いだけかな…」
「また遅くまで起きてたんじゃないの?」
「ぐっすり十時間、寝させていただきました。」
逆に寝すぎたか?
そう思いながらふと、窓の外へと目をやった。
…そこには何か巨大なものがうごめいていた。
「うわああああ!」
俺は大声で叫んでしまった。
「みんな!外!」
「?どうしたのよ?」
「ゆうさん…脅かそうとしても無駄だよ?」
みんなには見えてないみたいだ。
「どういうことだよこれ…」
俺が一人で必死に状況を整理している間に、大きな謎の物体が動き出した。
「やばいって!早く逃げよう!」
「何言ってるのよもう…」
「クラスのみんながこっち見てて恥ずかしいんだけど…」
ダメだ。誰も信じてくれない…。みんなには見えてないのかよ?!
クラスのみんなもこっちを驚いた顔で眺めている。
「いいから早く…」
瞬間、教室が炎に飲まれた。