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俺は強くなる。どこまでも。  作者: 11831
プロローグ
6/8

第六話 帰路

男子トイレから抜け出したあと、どうしようか悩んでいた。


「やっぱ一人で帰ろうかな…」


あの光景を見た後、一緒に帰るのはなかなか気まずいし。


そう考えて下駄箱の前まで来て、楓はいないか様子をうかがってみた。


〈楓いないな…でも靴はあるし…てことは…。〉


「ちょっと祐介、人の下駄箱覗き込んで何してんのよ。」


あぁ…ほんと間が悪いな、俺。


「いやー、楓まだいるかなって、確認してたのさ。」

「…ほんとでしょうね?」

「変なことはしておりませんとも。」


こうなった以上、一緒に帰ろう。もとはといえば探してたんだし。


            ***



俺たち二人は靴を履き替え、いつもの道を帰っていた。


「でさ、後ろで大爆発してさぁ…」

「あはは、マジか。」


俺たちは談笑をしながら帰っていた。


「…ちょっと、何よ?そんなじろじろ見て。」

「あー、ちょっと…。」


さっきのことがあってどうも意識してしまう。


「そんな見られると、こっちも恥ずかしいじゃない…」


やばい、ちょっと気まずくなってきたぞ。


「…実はさ。」

「なに?」


言おう。ここまで来たら言うしかない。…素直なのも考えものだよ。


「さっき見ちゃったんだ。」

「さっき?…あ、さっきって…」

「そう、告白されてたでしょ、楓。」

「…見てたんだ。」


恥ずかしかったのか、楓の顔が少し赤くなり、目を背けた。


「なんか今、複雑な気分なんだよね。」

「なんであんたがそんな気持ちになってるのよ…」

「だって…ねぇ?いつも俺たちとつるんでる楓の、あんなとこ見ちゃったらね…?」

「…」


なぜか告白された本人より俺のほうが調子がおかしい…。

俺って…ピュア…。


「よく楓は平常心保てるよね。俺のほうがドキドキしてるというか、なんというか。」

「…だって、これが初めてじゃないもん。」

「へ…?マジで…?」


マジか。驚愕の事実。そっか、楓モテるんだ…。そうだよな。


「…いつか奪われるわよ…」

「なんて?」

「私結構モテるんだから、いつか誰かに奪われちゃうわよ!」


うーん…


「それは困るよね。」

「…っ!」


それは嫌だ。


「…こ、困るって…、どうして…?」

「今みたいにこうやって帰ることも、一緒にいられる時間も無くなっちゃうんでしょ?

 そんなの、やだよ。」

「…」


楓はうれしいのか、悲しいのか。

よくわからない表情をしていた。


「…まあ、私も付き合う気はないけどね。」

「ほんと!?よかったぁー。」

「ふんっ」


ふふっ、かわいい。

俺も近いうち、腹くくるとしますかね。

悪いね、理科室くん。楓は俺がもらうよ。


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