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諦念

作者: 竹仲法順

     *

 ここ数カ月かな?自分が作家として成功するというのを諦め切ったのは。表題に掲げた、いわゆる諦念というやつである。別にいいのだ。元々ボク自身、いろんな作品は書いてきたのだが、残念なことに世の中で売り物になるものはそうなかったようである。だから諦めた。俗欲の類はもうない。

 以前も別の紙幅で申し上げたと思うのだが、作家の人気とその人の書いたものの内容って、全然一致しない。相変わらず大手の文学賞を受賞するのは美男美女である。バカバカしいから、相手したくないのだが、何かとテレビ映りがいい書き手に注目が集まる。作品が馬鹿げていたとしても。

 ボクも自分がこれから先、テレビやラジオに出演するとか、サイン会やトークショー、講演会などを執り行うとか、そういったことはないのである。ずっとネット作家で構わない。ボクにはこの持ち家があり、最低生活費が支給されれば、それで事足りるのである。「三十六歳なら、まだまだこれからでしょ?」と言われても、到底そうは思えない。

     *

 話を元に戻すのだが、これからは創作自体、あくまでライフワークとしてやって、後は読みたい本を読むとか、興味のあるテレビドラマや映画などを見ることに決めている。もう戦はしない。昔で言えば、武士が刀や槍、鉄砲など武器を捨てたようなものだ。オヤジの会社があるのだが、あの会社も直に枯れ果てるだろう。もうオヤジ自体に生い先がないんだし……。

 ボクも世の中の多くの人に問うてみたいのである。「そこまでして、戦争したいですか?」と。別にしたいならしたいでいいのだが、そんなことは時間の無駄だろう。よく出世欲が強い人間は、偉い人とやらに媚を売るという。そこまでして、限られた人生の時間を無駄遣いしたいなどとは思わない。

     *

 要はボク個人のレベルで言えば、血の気も何もない。単に人生の充足を目指すだけだ。別に創作家として成功するなど、考えられないし、そもそもそんなものに振り回されたくないのである。どうでもいいじゃないか?肩書や収入など。それに生活面のことなど、どうとでもなる。前述したように、これから先は好きなことをするのに時間を割きたい。

 こういった心境に至ったことは実にいいと思える。何度も申し上げるように、無駄な戦はしないということだ。人間、それでいい。今までボクの味わってきた艱難辛苦は、実に大きかった。振り返ってみれば、そうだったのである。今はもう考えないし、考えたくもない。過去を思い返すと、損をするのだから……。

 今から先の人生の方が圧倒して長いのだから、そんなことを感じながら、生きていきたい。社会的成功や高い金などは一切要らない。倹しく穏やかに、だ。それでいいと感じている。これを一般的に人間の<諦念>というものだろうと思った。余計なことは頭から払いのける。それで構わない。返って、あぶくを掴むような人間の方が悪いんじゃないの?踏ん切りが付かないで。

 ひとまず雑感を一筆書かせていただきました。

 ではまた。

                           (了)


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