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ピンクの憂鬱

作者: 高遠 カナ

なんでこんなことになったんだろう。


「私が用があるのはあの子だけです。邪魔しないでください」

「ふざけたこと言ってないで早く消えてくれないかな?」


比喩ではなくバチバチと火花が散る。

目の前で繰り広げられるレッドとインキュバスの戦闘を一歩引いたところから私は見ていた。


やっぱり私にはヒーローなんて無理だ。

オペレーターに戻してもらおう。

うん、帰ったらすぐに指令に訴えよう。


レッドの攻撃で火柱が立ち上り、インキュバスの攻撃で地面がえぐれる。

そんな現実から目を反らそすように私はこの濃い1ヶ月に思いを馳せた。


2ヶ月ほど前に私は先輩の伝手でとある仕事を紹介された。

それが、いわゆる正義の味方というか戦隊物ヒーローというか、本当に存在したのかっていう驚きの組織の司令部オペレーターだった。

あわや就職浪人か、と崖っぷちだった私はその話に飛びついたんだけど…今思うと怪しさ満点だよね。

紹介された時も怪しんだけど、紹介してくれた先輩というのが才色兼備で優しくて、一言で言うと女神さまみたいな人だったから大丈夫だろうなーと思って。

ちなみに、その先輩が寿退職するための募集だった。

そんなわけでこの春から私はこの組織で働くことになった。

もちろん職種は先輩の穴埋め、オペレーターだ。


オペレーターのはずだった、のに。


よくわからないのだけど、この組織独自の身体検査(いろんな意味で辛かった。二度と医務室には行きたくない。関わりたくない。けど、世話にならざるを得ない。)とか戦隊に加護を与える聖獣(胡散臭いけど、ひたすら愛らしい。)の言葉とか、もろもろの結果、私はヒーロー、戦闘員にされたのだ。

聖獣戦隊セイクリッドナイツのセイクリッドピンク、それが今の私の身分である。


ピンクになると決まってからは大変だった。

変身すると身体能力はアップするけど、そもそも格闘技なんてできない。

とりあえずはってことで、地獄の特訓の日々を送らされた。

仲間も腹黒、ツンデレ?、オカマさん、マッドサイエンティスト…などなど癖のある人たちばっかりだし。

不思議な事に出かけるとやたらと敵(始めは敵とは知らなかった。変態紳士とかやたら元気な双子とか威圧感半端ない俺様とか。)と遭遇するし。


私の生活、全然変わっちゃったなー…


ふう、とため息をついて意識を戻す。現実逃避しても現実は変わらない。

腹黒レッドこと赤羽優希人(あかばねゆきと)さんと変態紳士インキュバス・コウさんの戦いは続いている。


「今日こそ比奈子は頂いて帰ります」

「俺のものを欲しがるなんて100年早いんだけど?」


いえ、コウさんとは帰りませんし、私は私のものですし。


派手に暴れてるけど声に出すと聞こえる気がするから心の中で呟く。

今の状態で絡まれるのは避けたい。


というわけで。

私、帰ってもいいかなぁ…



―――――――――


ピンク:桃野ももの 比奈子ひなこ

愛され総受け主人公。癖の強い周囲に振り回されがち。


レッド:赤羽あかばね 優希人ゆきと

外面王子。腹黒。見た目は爽やかイケメン。


敵:コウ

変態紳士インキュバス。金髪碧眼のまさに王子様顔。

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