第六十話 ウ号作戦・・・実は史実ではインパール。
皇紀2603年10月11日
旧ソヴィエト連邦:ウラジオストック沖25キロ
旧ソヴィエト連邦、ウラジオストック。ソヴィエト連邦と大日本帝国は不可侵条約を結んでいたため今次大戦では戦略上さほど重要視されていなかったが、皇紀2602年つまり西暦1942年のソヴィエト連邦の指導者、ヨシフ・スターリン書記長の死後以降のソ連崩壊の動乱に伴い戦略拠点として海軍軍令部、陸軍参謀本部が重要視し始めたのである。
現在ウラジオストックには、要塞砲を始めとし、大型戦略爆撃機を楽々運用できるような飛行場が多数存在するとされている。
今回第五軍人員8万人、装備糧食90万トンを輸送するためには先日のハワイ諸島攻略作戦「宙作戦」で導入された輸送艦、輸送艇、輸送船を総動員しても足りず、航空母艦まで動員して海上を輸送することになったのである。
第二連合艦隊
旗艦:イージス戦艦播磨
艦橋
晃
『第一空挺団、目標空域を通過、予定通りです』
翔平
「よし、全艦に下令!全力を持って陸軍を支援する、艦砲射撃撃ち方始め!」
陸軍支援の為、ウラジオストック沖を遊弋していた第二連合艦隊の戦艦6隻があらかじめ航空偵察で調査した情報を基に全艦が個別に射撃諸元を入力し零式榴弾及び三式焼霰弾を適当な割合で敵陣地に叩き込むのである。
播磨
「さて、悪いけど私は今、不機嫌なの全力でやらせてもらうわよッ!」
啓太
「おお、怖ッ、毎回思うわ敵兵がめっちゃ可哀想やと」
翔平
「不機嫌でも、上機嫌でも射撃能力は変わらないけどな」
播磨
「あら、私の気分で結構変わるわよ、なんていうのかしら乗組員の気合いの入りようとか?」
イージス戦艦播磨 戦闘指揮所
チェスター・ニミッツ
「コバヤシ砲雷長、この艦の主砲の射撃能力は聞いていたがこれほどまでとは、砲塔は無人なんだろ」
晃
「はい、主砲砲塔は普段は無人ですが下部では装填機を相手に悲鳴を上げている奴が何人かいるはずです、なにせ10秒間隔での発砲ですから、即応弾もすぐに使い切ってしまいます、そのため装填作業の負担もかなりの物かと」
チェスター・ニミッツ
「どれだけ機会が進化しても、最後は人力なんだな」
晃
「そうですね、決断し指示を出すのは何年たっても変わらないと思いますよ」
30分間、艦砲射撃を行い上陸部隊の安全を可能な限り確保した、播磨から上陸部隊へ状況を通達し、部隊を進めるように上申する。
同時に、強襲揚陸艦から、AH-64Dアパッチ・ロングボウ42機が発艦し上陸部隊の支援に当たる。
一等輸送艦、二等輸送艦が浜辺に突っ込みビーチングによる、揚陸作業を開始する。同時に強襲揚陸艦から発進したLCACが陸軍将兵と装備の揚陸を進める。
揚陸部隊が連合軍の注意をひきつけている間に、第一空挺団がウラジオストック上空に侵入、空挺団2500名が郊外地区に降下し、体制を整える。
帝国陸軍:第一方面軍第五軍
司令部
航空部隊の支援の下、橋頭堡を確保することに無地成功した、第五軍は海上の船舶から装備などの揚陸作業と同時に、情報収集を始めた。
簡易的な天幕の下で第五軍の司令官は牛島満陸軍中将は参謀長の宮崎繁三郎少将と共に集められた情報の整理と、各部隊の状況報告を受けていた。
所属部隊には・・・
第一方面軍第五軍
第十一師団
第十二師団
第二十二師団
第十三機甲師団
・第三十戦車旅団
・第三十一戦車旅団
・機動歩兵第一連隊
・機動歩兵第二連隊
・機動砲兵第七大隊
・機動砲兵第九大隊
第十五機甲師団
・第五戦車旅団
・第六戦車旅団
・機動歩兵第三連隊
・機動歩兵第四連隊
・機動砲兵第二大隊
・機動砲兵第八大隊
陸兵1
「偵察隊から報告!敵戦車部隊接近中!装備から米軍と思われます、数約50!」
宮崎繁三郎
「米軍と言う事は、おそらくM4だと思われます第五戦車旅団でも対応可能かと」
牛島満
「いや、用心に越したことはない、第三十戦車旅団、第五戦車旅団及び機動歩兵第一第二連隊に出動を下令、接敵のち敵を撃破せよ」
陸軍士官1
「了解、伝令走れ!」
陸軍士官が速記で命令文を書き、伝令兵に手渡す、伝令兵はそれを受け取り側車付の二式大型自動二輪で最上位部隊である、第三十戦車旅団が待機している場所に向かう。
帝国陸軍:第三十戦車旅団
第三十戦車旅団は戦車70両、戦闘車両30両他諸車両45両を中心に編成されている、大部隊である、内訳は・・・
第三十戦車旅団
・三式主力戦車 35両
・三式駆逐戦車 15両
・一式中戦車(乙型)25両
・二式対空戦車 15両
・一式対空戦車 15両
他支援車両 45両
支援車両は燃料補給車、弾薬補給車、戦車回収戦車などである。
三式主力戦車を中心として編成するため、陸軍参謀本部の期待も高い。
陸軍期待の重戦車、三式主力戦車は計画名称「シイ」として皇紀2600年から開発が開始された。シは主力戦車のシである。
この大部隊を指揮するのは、重見伊三雄陸軍少将である、インドでも戦車戦を経験してきた陸軍でも貴重な人材である。
重見伊三雄
「敵はM4戦車を中心に約50両か、迎撃戦は連携が重要だ、各車との通信を密にしてくれ」
命令書を受け取った重見少将は揚陸後に整備を終えた、三式主力戦車19両、三式駆逐戦車11両、一式中戦車乙型20両に出動を命じ、重見自ら三式主力戦車に乗車し指揮を執る
通信手
「了解しました」
操縦手
「発動機回転数良好、いつでもどうぞ」
重見伊三雄
「よし、装填手、自動装填装置の機嫌はどうだ」
装填手
「今の所、上機嫌です」
三式主力戦車には自動装填装置が装備されているが、技術的問題からか故障も多く、補助と自動装填装置の故障時に対応するために装填手も乗車している。
通信手
「全車と回線確保、旅団長いつでもどうぞ!」
重見伊三雄
「全車、進軍!」
地響きを立てて、第三十戦車旅団が橋頭堡から進軍する、重装甲が売りの三式主力戦車が先陣を切りその後ろを一式中戦車が続く、三式駆逐戦車は足の遅さが影響し部隊の最後尾であった。
通信手
「先発の偵察隊より通信、我が部隊より北北東35キロに敵戦車部隊です・・・旅団長!敵部隊の情報が」
重見伊三雄
「どうした」
通信手
「敵部隊は、米英独の連合部隊、規模は重戦車38両、中戦車少なくとも60両!」
重見伊三雄
「連合部隊か第五戦車旅団の三逐を呼び寄せろ!丁度いい地形だ、三逐全車に次ぐ!前方800の丘陵で待ち伏せを行う、その他車両は警戒しつつ待機せよ」
指示を受けた、三式駆逐戦車が2200馬力もの出力を誇る統制型125式水冷V型12気筒ディーゼルエンジンを唸らせ、75tの車体を加速させ、丘陵を上る。
重見伊三雄
「本車も前進、三逐と共に待ち伏せを行う、前進!」
重見が乗車する、三式主力戦車も三式駆逐戦車と共に待ち伏せを行うため丘陵の中腹まで進む
重見伊三雄
「来たぞ!ティーガ-Ⅱ・・・15、ティーガーⅠ・・10両だな、よし三逐は距離7000より各車自由射撃とする、砲手距離4500より射撃開始、弾種徹甲弾!」
戦車戦において距離7000は超長距離であるが、三式駆逐戦車が使用する火砲は帝国海軍の標準的な軽巡である阿賀野級で使用される60口径155mm砲を改良しそれにともらい射撃照準器も極めて正確なものが搭載されている、そのため射程距離が規格外に伸び、敵車両を射程圏外からアウトレンジで一方的にたたくことが出来るのである。
性能は、通常の徹甲弾の場合、距離5000mで180mm。距離4000で200mm。距離3000で250mm。距離200で280mm。距離1000mで320mmの装甲板を貫通することが出来るのである。
ちょっとまてぃ!チート過ぎねぇか?!こいつ!?
三式駆逐戦車は丘の頂上付近で身を乗り出すような体形で、米英独の連合部隊の先頭車両に狙いをつける。
距離7000を切り、三式駆逐戦車全車が強化された硬芯徹甲弾を敵に撃ちこんだのである。
米軍第37戦車大隊
米陸兵1
「敵車両発見、距離6500!」
米陸兵2
「待ち伏せだ!」
クレイトン・エイブラムズ
「落ち着け!全車散開、密集するな!」
米軍第37戦車大隊の大隊長、クレイトン・エイブラムズ中佐は配下の車両に散開するよう指示をする、しかし、前衛部隊として前進していたドイツの第59重戦車大隊に所属するティーガーⅡが一撃で粉砕されたことに精神的ショックを受けていた。
クレイトン・エイブラムズ
「(馬鹿なキング・タイガーの前面装甲は180mmしかも傾斜装甲だ実質的にはそれ以上で撃ち抜くのは不可能なはずだが)ありえん」
米陸兵3
「イギリス軍部隊、後退を開始!」
部隊の側面を警戒していた、イギリス陸軍、第23戦車大隊は中核戦力のシャーマン・ファイアフライ12両、チャーチル歩兵戦車9両を撃破され、残り車両は後退を開始した。
クレイトン・エイブラムズ
「これだから、多国籍部隊は、全車落ち着いて攻撃を続行せよ」
帝国陸軍:第三十戦車旅団
重見伊三雄
「敵陣形が乱れた、全車突撃!各車任意の目標を狙え、健闘を祈る。前進」
陣形が乱れたのを好機として、重見は配下の車両に突撃を命じる、その命令を受け取った車両から発動機を回し丘陵を越え、一機に駆け降りる。
その中でも先陣を切るのは車体が軽く発動機の瞬発力が高い一式中戦車乙型である。
勢いよく駆け降りた、一式中戦車乙型が一旦停止し射撃を行う、一式中戦車乙型に搭載されている、射撃照準器では行進間射撃を行っても砲手によほどの腕がない限り、命中させるのは難しい、そのために一旦停止する必要があるのだ。
一式中戦車乙型が激しい撃ち合いを行っている間に、本命である三式主力戦車及び三式駆逐戦車が流れ込んだ。
砂塵が舞い上がり、距離1000で乱戦が始まった、
三式駆逐戦車の車内では、装填手と空薬莢との戦闘も苛烈化していた、かさばる自動装填装置のおかげで唯でさえ狭い車内に追い打ちをかけるように巨大な空薬莢が散乱しているのである、普段なら空薬莢は排出口から外に投棄するのだが、乱戦の為、装填手、砲手、車長共にそんな余裕はなかった。
重見伊三雄
「前方800敵戦車、砲手良いかッ!停車!」
砲手
「照準ヨシ!撃ッ!」
重見伊三雄
「・・・命中確認!右に旋回しながら前進!砲手、左45°距離700に新たな目標、弾種硬芯徹甲弾、操縦手速度落せ!」
この戦闘で第三十戦車旅団は、敵重戦車28両、中戦車39両をスクラップに変えた。
被害は一式中戦車乙型8両大破、三式主力戦車1両、履帯破損につき走行不能。
一式中戦車乙型はともかく、三式主力戦車の戦闘能力は用兵側も満足するものであった、複数の車両は敵戦車からの集中砲火を受けたが、分厚い装甲がすべてを弾き返し、装甲を貫通した敵弾は皆無であった。
この時ある戦車兵が「シイはガッチガチに固めた前面装甲で逆に弾をぶっ壊す」と発言している。
流石にこれはないだろうが、三式主力戦車「シイ」の登場により戦車の世代が交代したことは後の歴史が証明している。
久々の短期間更新、これからもこのテンションを維持したいものですが、それが出来たらは苦労しない!
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