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新生連合艦隊  作者: 天嶽
59/62

第五十七話  大西洋通商破壊戦 その3

新年明けましておめでとう御座います。

皇紀2674年、平成26年。

今年も頑張っていきますのでよろしくお願いします。

今年の目標は少なくとも月に一度更新することです、できれば2週間に一度と行きたいところでしょうが・・・


では、相変わらずの完成度ですが、今年一番の作品をお楽しみください。

皇紀2603年8月29日

北大西洋


帝国海軍潜水艦伊三〇〇の攻撃開始から30分ほど時間が経過し丁度日付が変わった頃であった、伊三〇一を始めとした鋼鉄の鯨が輸送船団PQ8に本格的攻撃を開始したのである。


輸送船団PQ8 

護衛部隊:駆逐艦スウィフト


英水兵1

「タンカー11号が沈没します」


高オクタンの航空燃料を満載していた1万トン級のタンカーは右舷に零式酸素魚雷の直撃を受け、満載していた航空燃料に引火した結果、大爆発沈没まで5分もかからなかった。


英士官1

「畜生、いったい何隻の潜水艦がいるんだ」


輸送船団PQの護衛を担当している英国海軍は、多数の伊号潜水艦に翻弄されていた、一隻の駆逐艦は伊号潜水艦を追い詰めたと思っていたら他の伊号から反撃を受け沈没した、護衛部隊旗艦、重巡リベックに至っては一発も発砲することなく海面から姿を消していた。


サンディ

「副長、残っている戦力は」


スウィフト副長

「本艦と駆逐艦シャーク、タスカンおよびウラニアのみです」


サンディ

「半分がやられたわけね、潜水艦如きに、輸送船団の被害は」


スウィフト副長

「少しお待ちください、混乱していて現在確認中です」


英水兵2

「左舷に魚雷少なくとも2本!本艦いや後方の輸送船に向かっています!」


沈没した艦船の炎が海面を漂う油に引火し、まわりは昼間のように明るかった、そのため海中を突き進む零式酸素魚雷を水兵は確認したのである。


スウィフト

「だめ、あれは弾薬の輸送艦」


駆逐艦スウィフトの艦魂スウィフトが悲痛な声を上げる、零式酸素魚雷が狙う目標、それはアメリカ陸軍を支える弾薬を満載した輸送艦であった。


零式酸素魚雷は正常に作動し輸送艦の船体を突き破り船内に滑り込む、この瞬間誰しもが魚雷は不発かと思い込んだ、だが数秒後には遅発信管が作動し550キロもの炸薬を起爆させる。


大西洋に耳を突き破る轟音と地獄の業火の様な炎が浮き上がる、零式酸素魚雷が命中した輸送船は文字通り消し飛び、轟音と炎が治まり、輸送船が居た海面には船首部分がわずかに浮いているだけであった。


英水兵3

「潜望鏡視認!距離5千!2時の方向!」



大西洋派遣艦隊

伊号第三〇〇潜水艦 発令所


義信

「ど真ん中だ・・・弾薬の輸送艦だったようだな、発射管室よくやった命中だ」


信義は潜望鏡を覗き、発射管室へそう告げる。


伊三〇〇水雷長

『有難うございます、お前ら命中だ!よくやった』


信義

「これで、重巡1隻、駆逐艦1隻、輸送船3隻、タンカー1隻か、上手く行き過ぎている様だな、副長」


信義は征治に潜望鏡を渡し、軍帽をかぶり直す。


征治

「そうですね艦長、僚艦も含めましたら、輸送船18隻、タンカー6隻です、そろそろ水上部隊に任せ・・・艦長、駆逐艦が接近中です、距離4500!」


信義

「なに!?聴音何をやっていた」


聴音士1

「はッ・・・先ほどから沈没船の雑音と爆発音が邪魔をして効力は半分ほど落ちているようです」


信義

「馬鹿者!訓練をやり直せ!急速潜航!深度250!電池直列最大戦速!」


征治

「艦首40下げ!艦尾20上げ!」


士官1

「艦首300t注水!艦尾ブロー150tメインタンク注水一杯!」


士官2

「全員艦首へ!」



輸送船団PQ8 

護衛部隊:駆逐艦スウィフト


英水兵4

「敵潜、急速に沈降していきます深度120!」


サンディ

「一矢報いるわよ、爆雷深度200に調定!爆雷投射準備は良い!?」


英士官2

『・・・調定完了!いつでもどうぞ、艦長』


サンディ

「爆雷投射!」


スウィフト

「こいつだけは絶対に逃がさない!」


英水兵5

「方位355距離2万に反応!反応から見て大型艦です」


レーダーをずっと睨んでいた水兵が報告した


スウィフト副長

「救援艦でしょうか」


スウィフトの副長の疑問はもっともだ、先ほどから全艦から救援を求める電信が乱発しているため救援艦が来たとしてもおかしくなかったが、いくらなんでも早過ぎだった、襲撃から一時間も経っていないのに救援艦が到着することはおかしい、そこまで近くに艦船がいるのならこの船団護衛には参加しているはずである。


サンディ

「照明弾を上げなさい!爆雷投射一時中止!最大戦速回避運動用意!・・・サーチライト照射!」


サンディは照明弾を上げさせ、さらにサーチライトの照射を命じた浮かび上がった艦影は・・・


英水兵1

「ドイツ海軍のシャルンホルストクラスです」


スウィフト副長

「妙ですね、シャルンホルストクラスはすでn「英水兵2:不明艦発砲!」」


サンディ

「旭日旗!奴ら、Battle Cruiserまで持ち込んでいるの!?」


輸送船団PQ8の残党処理という形でこの海域に進攻したのは、元ナチス・ドイツ国防海軍の巡洋戦艦シャルンホルスト、現大日本帝国海軍の巡洋戦艦磐城であった。


彼女は戦争初期にして帝国海軍によって鹵獲され、日本仕様に改造が行われた。


艦橋構造部分、艦首等の基本構造に変化はないが、装甲を強化するため全長が7mほど延長され、それに伴い全幅も4m拡大された。


巡洋戦艦 磐城


全長

・242m

全幅

・34m

平均喫水

・9.85m(基準排水量)

排水量

・基準:35.400t

・満載:40.500t

主機関

・ハ号改D型艦本式ディーゼルエンジン 6基

・300.000馬力 3軸推進

最大速力

・39.0ノット(主機関)

航続距離

・25ノットで10.000海里(主機関)

乗員

・士官、兵員:1200人

艦載機

・特殊攻撃機 晴嵐 4機

最大搭載機数    4機


武装

主砲

・九五式60口径310mm砲    3連装3基

両用砲

・OTOメララ127mm速射砲    連装 8基

機関砲

・高性能25mm機関砲       連装4基

・40mm対空機銃        4連装20基

機銃

・25mm対空機銃        3連装20基

誘導弾

・一式八連装艦対空誘導弾発射機     2基

・三式四連装艦対艦誘導弾発射機     2基

雷装

・二式61cm魚雷発射管     4連装 2基

対潜兵装

・九九式対潜迫撃砲        4連装 2基

・九八式対潜弾投射機       24連装 2基


電子系統

各種レーダー

・零式対水上電波探知機

・一式対空電波探知機

ソナー

・九九式対潜音波探知機

射撃管制装置

・零式主砲射撃管制電波探知装置

・三式対空砲射撃管制電波探知装置

・二式両用砲射撃管制電波探知装置

・一式対空誘導弾管制電波探知装置

電子戦・対抗手段

・九八式チャフ・フレア発射機 4基


問題視されていた甲板装甲及び水雷防御は、大胆な装甲強化と水密隔壁の細分化により幾分解決され、36cm砲弾に対し距離15,000m~25,000mで耐えられると、武は豪語している。

主砲は九五式60口径310mm砲を装備している、使用徹甲弾は零式徹甲弾改2型、これは磐城を始めとした帝国海軍が保有する巡洋戦艦専用に開発された、重量砲弾である。31cm零式徹甲弾改2型の重量655kg全長1.65m、最大仰角45°で発砲した場合の最大射程は3万8千である、完全自動装填装置を搭載しており発射速度は毎分5発から6発、ただし機械的故障が少なからず発生するため機械に頼るのは禁物である、実戦的には毎分3発の速度を保てると言われている。



大西洋派遣艦隊

巡洋戦艦磐城 戦闘艦橋


信哉

「夾叉か、砲術長初弾でよくやった、目標変更!輸送船の掃討に入る!護衛艦艇は両用砲で対処!潜水艦部隊に音通信号送れ!手を出すなと」


彼は北条信也海軍少将、この大西洋派遣艦隊の艦隊司令兼巡洋戦艦磐城の艦長である。


大西洋派遣艦隊は基本的に全艦が単艦行動であるため、実際に艦隊司令は飾りの様なものである、そのため大西洋派遣艦隊編成時に磐城艦長であった信哉を大佐から少将に叩き上げたのである。


磐城砲術長

「了解!全両用砲徹甲弾装填!電探と連動!」


士官3

「両用砲電探と連動!」


信哉

「副長、臨検隊の準備!指揮は任せる」


瑞姫

「了解!菅原瑞姫!臨検隊の指揮を執らせていただきます!」


彼女は菅原瑞姫海軍中佐、今年に海軍中佐に昇進し巡洋戦艦磐城の副長として着任した、実家が代々軍人家系である彼女は幼少のころから武道に励んでいたらしく、その身体能力は信哉が陸戦隊の指揮を任せるほどである。


信哉

「大丈夫か?」


磐城砲術長

「あの気合いが空回りしないことを祈ります・・・主砲一二番、射撃準備!弾種三式焼霰弾!」


磐城の主砲に三式焼霰弾が装填される、これは艦隊派遣計画作成中に零式徹甲弾改2型があまりにも重く、輸送船に対しては過剰性能であることが指摘されたため、代用として三式焼霰弾を使用することが指示されたからである、信哉は軍令部からの指示を受け比較的余裕のある初期の戦闘で試験的に三式焼霰弾を輸送船に対して使用することを指示していたのである。


磐城

「さて、英海軍には悪いですけど、輸送船団には行先を変更していただきましょう」


磐城砲術長

「主砲一二番準備完了、いつでもどうぞ」


信哉

「主砲一二番、斉射始め!」


放たれた、6発の三式焼霰弾は輸送船の直前で炸裂し強力な焼夷性を持った粒子をばらまく、効果は軍令部の指示通りであった。


粒子は輸送船の甲板および構造物に着弾し、甲板に積載されていた軍事物資引火した


信也

「やるな軍令部も、半信半疑だったがここまで効果があるとは、砲術長続けていけ、ただしタンカー輸送船を一隻づつ残しておけ」


磐城砲術帳

「難しい命令ですな、第二射用意!」



輸送船団PQ8 

護衛部隊:駆逐艦スウィフト


英水兵1

「駆逐艦シャーク撃破されました!」


英水兵2

「敵Battle Cruiser、全門斉射」


サンディ

「魚雷戦用意!」


英士官1

「Aye Sir!」


サンディ

「副長、Engine、Full・Ahead!全開よ」


スウィフト副長

「Aye Sir、Captain!」


駆逐艦スウィフトはボイラーを目一杯焚き、速力を上げる。S級駆逐艦スウィフトは英国の第五次戦時急増艦隊として計画建造された駆逐艦だが、急増艦とはいえ造船大国である英国が設計したのもあり、性能はいかにも平均的である、アドミラリティ・ボイラー2基、パーソンズ式蒸気タービン2基により、出力は4万馬力、速力は36ノット、航続距離も20ノットで4670カイリと同時期に就役している米海軍の代表的駆逐艦フレッチャーと比べても遜色ない性能を持っている、ただし米海軍は圧倒的な物量だが。



大西洋派遣艦隊

伊号第三〇〇潜水艦 発令所


征治

「艦長、真正面に敵駆逐艦です」


信義

「どうしろっていうんだ、副長。旗艦からは手出し無用との命令だぞ」


征治

「発射管には零式が一発残っています、これを使用したらどうでしょうか」


信義

「おいおい、攻撃していい理由になっていないじゃないか」


聴音士1

「敵駆逐艦機関音増大、増速しています」


信義

「副長、理由ができたぞ、聴音諸元回せ!発射管室2番の零式を使うぞ」


伊三〇〇水雷長

『少し待ってください・・・諸元入力完了!どうぞ』


信義

「二番発射!」


伊三〇〇

「いいのかしら~?あの零式は誘導装置に誤差があるんだけどね」


魚雷の発射工程を観察していた、伊三〇〇の艦魂、伊三〇〇は可笑しそうにつぶやく


聴音士2

「魚雷疾走中・・・針路が若干ずれています」


信義

「おい副長、久々に零式が機嫌を損ねたぞ」


征治

「若干でしょう、磁気信管が反応することを祈りましょう」


信義

「どう出るだろうな」



輸送船団PQ8 

護衛部隊:駆逐艦スウィフト


英水兵1

「敵艦まで距離20000フィート」


現在駆逐艦スウィフトは巡洋戦艦磐城まで距離2万フィートつまり約6100mまで迫っていた、磐城の速射砲の砲撃により残っていた駆逐艦はスウィフトのみとなっていた。


サンディは巧みな操艦により砲撃を回避していたが、それも限界に近づいていた。


突如として駆逐艦スウィフトの艦尾部分が大きく持ち上げられた。


サンディ

「なに!何が起こったの」


英水兵6

「報告ッ!機関室浸水!」


英士官2

「推進軸損傷!左舷停止します!」


英水兵7

「艦長舵が動きません!舵、取舵25で固定されています!」


駆逐艦スウィフトを襲った零式酸素魚雷は誘導装置に不具合が出た物も、艦尾付近で磁気信管が作動し推進軸及び舵に致命的な損傷を与えた


サンディ

「機関停止!・・・総員退艦!」


スウィフト副長

「艦長、敵艦からの砲撃が止んでいます」


サンディ

「なんですって・・・何を考えて」


英士官1

「敵艦より、輸送船団全艦艇に対して信号降伏勧告です」



大西洋派遣艦隊

巡洋戦艦磐城 戦闘艦橋


士官1

「輸送船団残像艦艇、全艦船停止を確認、国旗も降ろされております」


輸送船団PQ8は輸送船1隻タンカー一隻、駆逐艦スウィフトを残し、その他の艦船はアルハンゲリスクから水底に針路を変えていた。


信哉

「よし、潜水艦部隊に通達作戦終了、担当潜水艦は直ちに浮上し漂流者を救助、機関停止。副長に連絡!臨検はじめ!全内火艇を出せ漂流者を救助しろ、重傷者は艦内へ収容を許可する」


士官2

「了解!」


磐城は行く足を止め完全に停止し、漂流者救助の為、照明弾が揚げられる。だが残存艦艇には探照灯が照らされ主砲が向けられる、特に戦闘力を持っている駆逐艦スウィフトに対しては厳戒体制であった。


水兵1

「第一内火艇出ます」


信哉

「まだ2分も経ってないぞ、気合入り過ぎじゃねぇか副長」


磐城砲術長

「どうでしょうね」


信哉

「警戒を厳に、油断するなよ」


磐城砲術長

「了解」



大西洋派遣艦隊

伊号第三〇〇潜水艦 艦橋


征治

「艦長、まもなく補給が完了します」


信義

「敵から分捕った、重油を腹いっぱい抱えてまた潜航か・・・米が喰いたいな副長」


征治

「次の日本からの補給が一か月後ですからね、もうしばらく我慢しましょう」


瑞姫

「伊号三〇〇潜、艦長はどちらか」


輸送船団の武装解除を終え、連絡の為、内火艇を乗り回していた磐城の副長が伊三〇〇に乗艦した。


信義

「お、ご苦労、今そっちに行くから待っていてくれ、副長引き続き指揮頼む」


征治

「了解しました」


信義は瑞姫を迎えるため、艦橋から降り甲板まで急ぐ


信義

「待たせたな」


ハッチを開けて信義が現れる


瑞姫

「いえ、大丈夫です、此方が次の作戦指令書です」


信義

「ん、待機だと・・・どういうことだ、まだ魚雷も残っている」


瑞姫

「敵の通信解読の結果、敵の包囲網が敷かれています、磐城は反転し僚艦武尊と合流し備えます」


信義

「分かった、健闘を祈る」


その後、伊号三〇〇潜を始め、日本の潜水艦隊は海中へと姿を隠し、磐城は高速で南下し連合軍が敷いている包囲網を潜り抜けその巨大な艦影を大西洋に隠した・・・・・




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※些細なコメントでもテンションが上がりますので本当に宜しくお願いします。

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