表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新生連合艦隊  作者: 天嶽
53/62

第五十一話  ホワイトハウスの苦悩・満州戦線異変あり

西暦1943年6月20日


アメリカ合衆国

ワシントンD.C:ホワイトハウス


アメリカ合衆国大統領、フランクリン・ルーズベルトは今回の日本軍の攻撃による被害報告を聞いていた


フランクリン・ルーズベルト

「今回の攻撃で私がどれほどの衝撃を受けたか分かるかね、完璧なレーダー防空網はたやすく突破され、最新鋭戦闘機は爆撃機に追いつけず首都にまで土足で侵入され、敵の予告通りに爆撃を成功させてしまった、マーシャル将軍之はどういう事かね」


ジョージ・マーシャル

「は、まず挙げられる原因としては早期警戒レーダーが電波障害により無力化され防空戦闘機隊の移動が後手に回ったのが一つの原因です、そしてもう一つは日本軍の新型重爆撃機が高度18.000m前後を飛行していたことです、この高度では我が軍の最新鋭戦闘機P-51Dですら届きません対策としては既存の航空機を改良するか、現在開発中のXP-80Aの実戦配備を早めるしか方法はありません」


実際にはP-80シューティングスターの実用上昇限度は14,300mであり実用上昇限度18.500mの富嶽には届かない


フランクリン・ルーズベルト

「うむ、XP-80Aについては私も聞いている、それにチャーチルもミーティアとヴァンパイアの実戦配備に向けて力を入れている、すでにヒトラーはMe262の改良型を完成させたという報告も来ている、私からロッキードに開発を急ぐように指示を出そう・・・海軍も被害が酷いそうだね、フランク」


フランク・ノックス

「戦艦ノースカロライナ、サウスカロライナは沈没損失、サウスダコダ及びノースダコダは大破、現在サンディエゴに曳航中です、ノースカロライナに座乗していたオルデンドルフ少将は運命を共にしたそうです」


フランクリン・ルーズベルト

「最新を誇る戦艦を二隻失った原因はロケット兵器だと聞いているが」


アーネスト・キング

「ナチスが開発中のV1飛行爆弾と類似した兵器だと考えられますがジャップが実戦配備しているものはそれ以上に高度な技術を使用しているものと考えられます、対艦用、対空用、対地用幅広く存在していると考えられます」


ヘンリー・スチムソン

「誘導ロケット・・・現在ナチスが開発中のV2というものがありますが、ジャップはそれよりも格段に高性能かつ小型の物を開戦初期から実戦配備しておりこれの対策をしなければこれからも戦闘での消耗率は高まるばかりだと考えられます」


フランク・ノックス

「さらにジャップの航空機は我々連合軍の航空機よりも高性能であります、ジークの後継機と思われるハンプの性能はF6Fを大きく上回りさらに先日の戦闘で確認された新型戦闘機と思われるジョージはP-51Dでは全く対抗できなかったと報告も来ております」


フランクリン・ルーズベルト

「なぜジャップはソニックの量産をせず、こう言ったレシプロ戦闘機を出しているのかね」


ジョージ・マーシャル

「それには二つの理由があると思われますまず一つ目にソニックを量産するには大幅なコストが必要であるから、二つ目に製造に時間が掛かるからだと考えられます、現在のジャップは合理的であり使用する兵器もその思想に基づいて設計されています・・・手元の資料をご覧ください、研究所で鹵獲したジャップの中戦車、Medium Tank Type1を研究結果の報告書があります」


ヘンリー・スチムソン

「正面装甲厚は105mm・・・異常な装甲厚だな、今までの日本戦車と違うと言う事か」


ジョージ・マーシャル

「その通りです、この数値はM4を上回りM4の戦車砲では100m以内でないと貫通できません・・・ですがこの戦車の恐るべきところはその機動性です不整地でも時速31マイルの高速巡航が可能です、しかも我々は無傷で鹵獲してから一切整備はしておりません、これは劣悪な環境でもしっかり機能すると言う事を意味しています」


フランク・ノックス

「だ、だが、ジャップの国力ではそれほど数は揃えられないはず」


アーネスト・キング

「今のジャップは少なくとも私が戦争の始まる前に聞いていたジャップとは違う、現にジャップは我ら連合軍を相手に互角以上の戦いをしている、現にアジア太平洋は完全にジャップに奪われた」


フランクリン・ルーズベルト

「・・・艦隊の再建にはあとどれほど必要だ」


フランク・ノックス

「現在建造中の戦艦ユナイテッド・ステーツクラスを始め戦艦28隻、空母エセックスクラス50隻が年末に全艦が就役いたしますが、そのままの戦力は難しいと思われます」


アメリカ合衆国は護衛空母の建造を大半キャンセルしその分の資材と労力をエセックス級に費やした結果、同型艦が50隻に達した、就役ペースは1週間に一隻であり週刊空母の異名を得た。


ユナイテッド・ステーツを始めとする戦艦群は月2隻の割合で就役している、まさに隔週BATTLESHIPである。


アーネスト・キング

「数だけでは勝てない、やはり戦力化は1944年の5月ごろになるかと」


フランクリン・ルーズベルト

「遅い、もう少し早くは出来ないのか」


フランク・ノックス

「大統領閣下、練度が不十分です現在合衆国に存在する艦隊はノーフォークを本拠地とする合集国艦隊、メイポートを本拠地とする大西洋艦隊そして、サンディエゴを本拠地とする太平洋艦隊です、ですが太平洋艦隊は練度も低く艦隊はすでに壊滅状態、私は太平洋艦隊基地を解散し残存艦艇全艦をメイポートまで移すことを提案いたします」


ヘンリー・スチムソン

「何を言っているんだ!そんな事をすれば我が軍は完全に太平洋の制海権を失ってしまうぞ!西海岸にジャップが押し寄せてシスコやロスに奴らの旗が翻ってしまうぞ!」


ジョージ・マーシャル

「いや、その可能性は低い、現在の日本工業力から見ても西にインド洋、東のハワイまでカバーするので精一杯と本職は考えます、さらにいくらChinaから日本が撤退したとはいえ、日本の兵員動員数から見てそろそろ限界かと、さらにナチスの行動も計算に入れるべきかと」


フランクリン・ルーズベルト

「満州か・・・ナチスに大陸の権益をすべて渡すことになってしまうが・・・この状況では仕方があるまい、私からヒトラーに進攻時期を早めるように言ってみよう・・・フランク、海軍は太平洋艦隊を解散していったい何をするつもりだ」


フランク・ノックス

「主には練度の向上です、太平洋側は日本の潜水艦が出没し多数の被害が出ています更に例の超重爆撃機の航続距離圏内では艦船の被害が拡大する恐れもありますから比較的安全なメイポートを本拠地にし、練度の向上を目的とした訓練を行いたいと思っております」


フランクリン・ルーズベルト

「なるほど、分かった許可しよう」


この会議の結果、太平洋艦隊残存艦艇はフロリダ州のメイポート海軍補給基地に移動となった


フランクリン・ルーズベルト

「マーシャル、マンハッタン計画はどうなっている」


ルーズベルトは会議が終わった後、マンハッタン計画の主要メンバーを召還させた


ジョージ・マーシャル

「残念ながらロスアラモス研究所は完全に機能を損失しました研究所に残っていたデータは焼失し研究は一からやり直しとなります」


レズリー・グローヴス

「本職にはなぜマンハッタン計画が日本軍に露呈したのかが分かりませんあれだけ厳重な情報管理体制をしていたのに日本軍は一撃で正確に研究所を破壊しました」


ヘンリー・スチムソン

「それは全く謎だ、スパイが暗躍している可能性は薄く、日系人はすべて収容所内だ、ジャップは魔法でも使ったかもしれん」


ジョージ・マーシャル

「古来からあの国は信じられないことを実現させている、実際に超短期間での近代化などはただ真似上手だけではない、それにあんな小さな島国が世界を相手に戦争を起こすなぞもはや正気ではないだろう」


フランクリン・ルーズベルト

「Crazy Japか」


ジョージ・マーシャル

「とにかく、研究所の再建が急務となります、これをしない限り原子爆弾の製造は不可能です」


フランクリン・ルーズベルト

「分かった、すぐに候補地を見つけ報告せよ」



皇紀2603年7月10日

満州国 黒竜江省 旧ソビエト連邦国境ライン


旧ソビエト連邦国境ライン・・・


現在、日満両軍は厳戒態勢を敷き24時間体制で警戒に当たっていた

何時もの定時飛行、何時もの前線警戒であったが増設された海拉爾要塞所属の最新鋭の三式司令偵察機を操る搭乗員はいつもとは違う緊迫感を感じていた。


操縦士

「どうだ見えたか?」


偵察手

「駄目です、雲が深くて」


操縦士

「仕方ない、高高度偵察はあきらめるか・・・」


偵察手

「電探に感!左下方より機影!高速接近中!」


操縦士

「なに!まだ何も見つけてねぇのに!逃げるぞ!」



三式司令偵察機の推進機はプロペラであるが発動機はレシプロではない、ガスタービンエンジンの一種であるターボプロップエンジンを搭載しているため、三式司令偵察機の最高速度は939km/hを誇りいかなる現段階では連合軍の戦闘機の追撃も振り切ることが出来る。


三菱航空機C1M1a【三式司令偵察機】


全長 

・13.05m

全幅 

・15.80m

全高 

・4.61m


発動機  

・極15型ターボプロップエンジン 3550馬力×2基

最大速度 

・939km/h

航続距離 

・4600 km(増槽なし)

・6250km(増槽あり)

実用上昇限度 

・22.000m


乗員

・2名


固定武装

・九八式十三粍二号機銃三型 (後部旋回機銃:携行弾各300発) 一挺


空対空兵装

・三式無誘導墳進弾 8発


爆装

・30キロ通常爆弾4発 

・60キロ通常爆弾2発

                           (上記のうちどちらかを装備)


帝国海軍が帝国陸軍と共同で開発した陸上配備型の司令偵察機。強大な敵陣の防空網をくぐり抜けることを想定しいかなる迎撃機を振り切る高速性と優秀な高高度性能、長大な航続距離を有している、発動機には飛燕改に搭載された極15型ターボプロップエンジンを搭載し最大速度は939km/hを誇る。


偵察手

「敵機視認!独機です!数2」


操縦士

「ジェットか!」


操縦士が機体を反転させた時、ものすごい加速で三式司令偵察機の上を通過した


偵察手

「メッサーシュミット!」


操縦士

「大丈夫だ、こいつなら逃げ切れる!」


三式司令偵察機を追撃して来たのはナチス・ドイツの誇るジェット戦闘機メッサーシュミットMe262A-1cシュヴァルベであった、この機体は発動機にBMW005軸流式ターボジェットエンジンを採用し、これを2発搭載し最高速度はなんと955km/hである


偵察手

「駄目です、距離つめられます!」


操縦士

「クッ!歯ぁ食いしばれぇぇ!無茶な機動に入るぞ」


三式司令偵察機はその速度を唯一の武器としているため武装は後方の旋回機銃一機のみとなっている、さらに急激な回避運動には機体強度が不足している。


偵察手

「少尉!見てください!下!」


操縦士

「戦車だ・・・なんて数なんだ」


三式司令偵察機の眼下に広がる風景はまさに鉄の奔流と言って相応しかった


操縦士

「司令部に打電急げ!」


偵察手

「無理です!後方敵機!迫ります!」


操縦士

「逃げられん!」


偵察手

「11時の方向に輝点、数・・・2!」


操縦士

「挟み撃ちか・・・」


偵察手

「敵味方識別、青!友軍です」


操縦士

「友軍!?」


『無事か!到着が遅れてすまない』


操縦士

「飛燕・・・いや飛燕改か?!」


帝国陸軍の最新鋭機飛燕改・・・


発動機は三式司令偵察機と同じ極15型ターボプロップエンジンを搭載し、極限まで追求された空力性能により最高速度はプロペラ機としては恐らく世界最速の981km/hを誇る。


川崎航空機キ-61-Ⅱ丙【飛燕改】


全長  

・10.15m

全幅  

・12.012m

全高  

・3.965m


発動機  

・極15型ターボプロップエンジン 3550馬力×一基

最大速度 

・981km/h

航続距離 

・2600 km(増槽なし)

・4050km(増槽あり)

実用上昇限度 

・19.000m


乗員

・1名


固定武装

・九九式二〇粍一号機銃一型 (翼内:携行弾各300発) 六挺

・九八式十三粍二号機銃三型 (胴内:携行弾各300発) 二挺


空対空兵装

・三式無誘導墳進弾 8発


爆装

・30キロ通常爆弾2発 

・60キロ通常爆弾2発

                           (上記のうちどちらかを装備)


帝国の工業能力から飛燕は帝国海軍と共同開発機であり、そこで生まれたのが局地戦闘機紫電改及び飛燕である、飛燕改は連合軍のジェット戦闘機に対応すべく急遽改造された機体である、同じく紫電改も改造され紫電改Ⅱ型として制式採用されている。機動性向上の為カナードを搭載し機動性能は飛燕・紫電改を大幅に上回っており、ジェット戦闘機を除いた機体では間違いなく最強分類に入るであろう。


三式司令偵察機の救援に駆け付けたのは帝国陸軍第二航空軍の飛行第64戦隊・・・加藤隼飛行隊と名高いエース・パイロット集団の2名であった


黒江保彦

「無事か!到着が遅れてすまない、敵機は俺達に任せて情報を司令部に伝えてくれ」


黒江保彦、現在階級は大尉である


穴吹智

『黒江大尉左下方の敵機は任せてください』


同じく大尉、穴吹智である。


本来、この二人の乗機は音神であるが、最前線基地への異動だったため、音神の機密保持のため彼らには飛燕改が受領されることとなった


黒江保彦

「分かった、よし行くぞ!」


帝国の誇る燕とナチス・ドイツの燕の初対決であった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ