第四十八話 米本土攻撃作戦【東京急行】 後編
皇紀2603年6月17日 (現地時間、22:00)
第九艦隊
特設巡洋艦千里 艦橋
楓
「右舷砲雷戦用意!取舵一杯!第三戦速、皆準備はいい」
士官1
「ばっちりです!艦長!」
水兵1
「敵水雷戦隊接近中!距離2万5千!・・・敵重巡発砲!」
楓
「取舵20!回避よ!」
水兵2
「取~舵ッ!!」
特設巡洋艦千里は取舵を取りヘレナが放った砲弾を回避する
水兵3
「敵弾右舷前方100に着弾!被害なし!」
楓
「主砲、速射砲!撃ち方用意!」
砲術長
「主砲装填完了!1番4番副砲!用意よし!」
楓
「撃ち方始め!」
千里に搭載されている三式60口径203mm連装砲2基がヘレナに向けられて、数秒後火を噴く、さらに数秒遅れて零式60口径155mm速射砲2門が吠える、零式60口径155mm速射砲は2秒間隔で射撃を続ける
千里
「だめよ、楓弾かれているわ」
楓
「固い装甲ね」
水兵1
「敵艦発砲来ます!」
楓
「回避!面舵!」
楓は慌てて転舵を命じるが間に合わず、千里は被弾した
アメリカ太平洋艦隊
重巡洋艦ヘレナ 艦橋
米水兵1
「センリに命中弾確認!」
ヘレナ艦長
「手を休めるな、相手はあの太平洋の魔女だ」
特設巡洋艦千里が太平洋の魔女と呼ばれている理由は太平洋の女王と呼ばれている浅間丸と瓜二つの艦影とその優雅な艦影と真逆の強力な武装からであった、連合国側の貨物線乗組員は伊号と特設巡洋艦千里を畏れていたため千里は太平洋の魔女と呼ばれるようになった
砲術長
「第三射Ready!・・・Fire!」
ヘレナ
「センリ!覚悟しなさい!」
第九艦隊
特設巡洋艦千里 艦橋
水兵4
「偽装煙突が吹き飛びました!被害軽微!」
楓
「そう、よかった、配下の駆逐隊に通達して、各艦独自の判断で砲雷撃戦を開始せよ、よ!」
士官1
「了解!」
楓
「砲術長!撃ち続けなさい!太平洋の魔女の底力見せてあげるんだから」
千里の乗員は拿捕した貨物船の乗員から自分たちの船が魔女と呼ばれていることを知っていた
だが現在千里がヘレナに向けている砲門数は20.3cm砲4門15.5cm砲2門対してヘレナは8インチ砲9門の全力射撃で応戦をしてくる、千里の旗色が悪かった
楓
「水雷長!魚雷は後何本残ってるの!」
水雷長
「は、はい!あと2本です!」
楓
「使い切りたくなかったけど・・・右舷魚雷戦用意!」
水雷長
「一番発射管に三式酸素誘導魚雷装填!」
楓
「準備ができ次第魚雷発射し、その後は反転し本隊を追うわよ」
水雷長
「了解」
士官1
「距離1万9千!・・・敵重巡急速接近中!」
楓
「畳み掛けるきね、水雷長!本艦がまだ戦えることを教えてあげなさい!」
水雷長
「了解!一番発射管!魚雷発射!」
千里の右舷一番発射管から三式酸素誘導魚雷が発射された
楓
「回頭180°取舵一杯!最大戦速」
千里は配下の駆逐艦に転進を告げ、第五、第八駆逐隊はそれに従う、駆逐隊は篝を使用した砲撃戦を実行し米駆逐艦6隻を撃破していた、損害は笠雲が至近弾で小破したのみだった・・・
アメリカ太平洋艦隊
重巡洋艦ヘレナ 艦橋
米水兵1
「センリ転進!」
ヘレナ艦長
「逃がすな!砲術長!砲撃を続けろ!」
砲術長
「第7射・・・Ready!」
米水兵2
「高速推進器音を探知!」
耳のいい聴音員が三式酸素誘導魚雷の推進器音を探知した
米水兵3
「魚雷!?」
米士官1
「見張員はしっかり海面を見るんだ!」
ヘレナ艦長
「回避運動!面舵一杯!機関最大戦速!」
米水兵3
「サーチライトで海面を!」
ヘレナ艦長
「・・・よし!サーチライト照射!」
ヘレナのサーチライトが海面を照らす
米士官2
「左30°魚雷!高速接近中!」
偶然にも一人の見張員が三式酸素誘導魚雷の影を確認した
ヘレナ艦長
「転舵!面舵一杯!」
米士官2
「駄目だ!間に合わない!!」
三式酸素誘導魚雷はヘレナ目前で磁気信管が作動し弾頭が起爆した
ヘレナの艦橋を軽く超す水柱が上がる
米士官3
「機関室浸水発生!」
ヘレナ艦長
「ダメージコントロール急げ!」
ヘレナ
「ま・・た・・・ま、待ちなさい・・・セン・・リ、まだ・・勝負は・・・ついてない」
ヘレナは千里を睨むがそこで気を失った・・・
アメリカ本土各地では本格的に灯火管制が行われ厳重な警戒態勢が取られていた、散布されたビラの情報、断片的な暗号解読により大まかに爆撃目標を特定した米軍は持てる全航空戦力の投入を決意、最新鋭機P-51Dから旧型機のP-35までありとあらゆる戦闘機が迎撃のため飛行していた、だが相手は史上最大級の戦略爆撃機富嶽である速度防御火器ともに世界で最高水準を誇る富嶽戦略爆撃隊の二隊の内一隊はデトロイト空襲のために参加した機数は60機が爆撃体勢に入る、もう一隊はカンザス州最大の都市ウィチタへ向かっている。
さらに第二波の別働隊として今回の参加していた深山戦略爆撃隊180機は二隊に分かれてすでに目標の都市に爆撃を開始していた、深山戦略爆撃隊の目標とされた都市は、シアトル、サンフランシスコであった。
デトロイト上空に到達した富嶽戦略爆撃隊は高度15.000mから爆撃を開始。富嶽60機で合計2700tもの爆弾を投下する。
米軍の迎撃機は懸命に富嶽隊を撃墜しようとしたが最新鋭を誇るP-51Dでさえ実用上昇限度は約13.000m、高度15.000mを飛行する富嶽隊には届かなかった、だがその内の数機が富嶽の下方500まで接近することに成功し攻撃を加えようとしたが、電探連動自動照準式の二式二十粍回転式6銃身機銃で機体をズタズタにされ攻撃に成功した機体は一機もなかった
米軍は高射砲を多数配備し、射撃をしていたが、高射砲の奮戦空しく効果は皆無であった
米攻撃作戦【東京急行】の第二波の損害はシアトル爆撃中に被弾し損傷した深山1機のみであった・・・
アメリカ合衆国
ニューメキシコ州ロスアラモス
現在第三波としてロスアラモス国立研究所を爆撃するために米本土内陸部への侵入に成功していた・・・
編隊は高度を15.000mから10.000mまで降下した、奇跡的にも米軍の迎撃機の姿は確認できなかった、米軍機はすべて第二波攻撃隊の対処で追われておりさらに巡洋戦艦十六夜の電波妨害により早期警戒レーダーは無力化されていた
第三波の先頭を行くのは富嶽23型、爆弾槽が開き39口径155mm榴弾砲2門が姿を見せる、この第三波攻撃隊の指揮を執る隊長は帝国海軍、戦略爆撃隊としての初の女性指揮官、星影麻里沙、帝国海軍航空学校の女子での募集を始めて最初に卒業した第一期生の一人である、始めは戦闘機のパイロットを目指していたが、富嶽の火力に魅力を感じ爆撃機のパイロットに転科した・・・
麻里沙
「全機、砲撃準備、さぁ米軍さんよ、こいつの火力は並大抵じゃないぜ」
照準手
「1番砲2上げ・・・2番砲右1.5・・・宜候!」
観測手
「目標まで約2万5千!射程まであと1千!」
麻里沙
「各機、射程に入り次第自由射撃任意の目標を撃破、目標ロスアラモス国立研究所!」
照準手
「射程内入った!1、2番撃ち方始め!」
ドドンッ!!
二段式のマズルブレーキによって反動は極限まで抑えられたが、富嶽23型は発射時の反動を受けた
麻里沙
「砲身に異常はないか」
装填手
「異常なし、次弾装填中!」
麻里沙
「攻撃は火力だぜ、手をやすめるな」
後続の機体が射撃を開始する、砲弾はほぼ正確にロスアラモス国立研究所に命中し始める、それと同時にサーチライトが闇を割き、高射砲が火を噴くだが高射砲は見当違いの方向だった
麻里沙
「どこ狙ってんだ、私達はここだぜ!」
照準手
「第二射!撃ッ!!」
ドドォンッ!!
富嶽23型30機は1機当たり徹甲弾15発、徹甲榴弾25発を撃ち尽くし離脱針路へ入る
止めとばかりに、富嶽30機がこの作戦のために製作されたバンカーバスター所謂、地中貫通爆弾を投下する、正式名称は二式2号5型徹甲爆弾、全重量20,525kg、弾頭9,585kg高度15,000mから投下すれば深さ85m直径72mのクレータが出来、また9,85mのコンクリートを貫通することが出来る。
だがさすがの富嶽と言えどこの巨大な二式2号5型徹甲爆弾は安全を考慮して1発しか搭載されていない。
だが破壊力は抜群ですでに砲撃により半壊し機能を失いかけていたロスアラモス国立研究所に止めを加えた形となった、
着弾した二式2号5型徹甲爆弾はカタログ表通りの性能を発揮し研究所を完膚なきまで破壊することに成功した。
麻里沙
「よし!作戦は成功だ!全機帰還!あとは第九艦隊に任せようぜ」
こうして、アメリカ合衆国、ロスアラモス国立研究所は破壊されアメリカの原子力研究は頓挫した、だが研究者の大部分は空襲の30分前に避難しており、研究は再開可能であったが、研究データを失ってしまったため、一からの研究のやり直しになってしまった・・・
だが、アメリカ合衆国の災厄は終わらない、現在第九艦隊がアメリカ本土に艦砲射撃を加えるため猛進していた・・・
幻想島
天嶽
「どうだ会場の設営は」
武
「予定通りだ、それより、どうなんだ参加陣営は」
天嶽
「ばっちりだ」
武
「それはいい、会場を作ったが、展示品が何もないと話にならないからな」
社員1
「社長!第二連合艦隊到着しました!」
武
「そうか、港湾基地は現在混んでいるからな、事故防止を徹底してくれ」
翔平
「主人公のはずなのに最近出番がない」
天嶽
「気にするな!」
播磨
「私も出番がないわね、主力戦艦なのに」
十六夜
「まぁ、播磨司令には本土防衛と言う大任がありますから」
播磨
「やけに作者のかたを持つわね、十六夜」
十六夜
「気のせいですよ」
天嶽
「さてこれから次の話に取り掛からないと」
播磨
「納得いかないけれど・・・」
十六夜
「ご意見、ご感想お待ちしております」