第四十二話 作戦名【東京急行】
皇紀2603年5月6日
帝都:東京
帝都東京は、いつも以上に緊張した空気を漂わしていた、先日の敵爆撃編隊を撃退したことにより、一時はお祭り騒ぎであったが、艦政本部及び陸軍兵器行政本部での重要書類物紛失、これにより政府は戒厳令を布いた、警視庁による現場検証を経てようやく、戒厳令が解除されたのは翌日の5月6日の正午であった・・・
海軍軍令部(通称:赤レンガ) 第一会議室
翔平
「なんてこった・・・まさか帝都に侵入されるなんて」
弘明
「これは予測できたことです、しかしちゃんとした警備令を出さなかった私の責任です」
山本五十六
「いや、堀井君のせいではないよ、米軍がこんな大胆な作戦に出るとはね・・・それに
先日の爆撃では、手空きの者はすべて国民の避難誘導をしていたからね」
宇垣纏
「過ぎてしまったものは仕方がありません、現在横須賀から対潜哨戒機を飛ばしていますが、多分逃げられたかと・・・」
翔平
「ですが・・・幸いにも音号表は無事でした、ですが念には念を入れて暗号を変更する時期を早めることも思考に入れた方がいいかもしれません」
その時、会議室の扉がいきなり開いた
武
「お集まりのようで」
山本五十六
「やけに元気がいいね、林技術中将」
武
「いえいえ、今回の事は私の不手際のおかげで何とかなりましたから」
翔平・弘明
「「はぁ?」」
武
「今回奪取された、性能表は、私が図面を書き換える前の物でして、書き換えた後艦政本部に提出するのをすっかり忘れていたんですよ」
翔平
「それは・・・」
山本五十六
「クッ・・・・アハハハハハッ!!そいつは傑作だ!」
武
「いやぁ、2月に一回性能表を見せたでしょう、あの後に設計図を艦政本部に提出したのですが、性能表を提出するのをすっかり忘れていたわけです、それに奪取された性能表は戦艦大和級(改装前)と播磨級、金剛級と伊勢級、空母赤城級です、陸軍の被害は一式中戦車を始め一式対空戦車の資料を奪取されたようです、幸いにも航空機には手を触れなかったようです」
弘明
「播磨級の性能表を奪取されて、大丈夫なんですか」
翔平
「大丈夫だと思うが・・・対策のしようがないだろう」
武
「それはどうかな、播磨級は私の設計した艦船の中でも特に発展性を持たせて設計した」
翔平
「何か嫌な予感が・・・・」
武
「大丈夫だ、少なくとも戦争が終わるまでいじる気わない」
翔平
「はぁ・・・空母を取り上げた上に主力である戦艦まで取り上げられたらたまったものじゃない」
山本五十六
「まぁ、陸軍の方も被害が少なくて何よりだ・・・これからの対策を考えるとして、満州か」
翔平
「はい、1ヶ月以内に連合軍は次の行動を起こすとしたら、間違いなく満州国です」
弘明
「先日の会議ですでに、満州国への兵力の増強が決まっています、陸軍では支那から完全撤兵し満州国に回しています、こちらは現在輸送船の手配を行っていますが、物資が膨大な量で輸送機を使用した空輸も考えなければいけません」
武
「そいつは心配ない、すでに大型輸送機蒼空が実戦配備されている現在本土に配備されている蒼空80機を使用すればいい」
蒼空とは富嶽輸送機型に変わる新たな輸送機である。
大型輸送機 蒼空
全長
・58m
全幅
・72m
全高
・13.25m
発動機
・極11型ターボプロップエンジン 9.810馬力×6基
最大速度
・720km/h
航続距離
・17.800km
実用上昇限度
・10.000m
乗員
・5名
最大積載量
・70t
弘明
「では、次の会議でそれを話しましょう」
翔平
「そろそろ、播磨に戻ります、いつまでも留守にできませんから」
山本五十六
「では、我々も扶桑に戻るぞ、宇垣君」
宇垣纏
「了解です、長官」
翔平は軍令部の外で待機させてあった電空に搭乗し佐世保へ、山本長官は横須賀まで車を使用し、横須賀海軍工廠を視察する予定だ
皇紀2603年5月7日
佐世保海軍工廠
佐世保海軍工廠は、日本国内で呉海軍工廠、大神海軍工廠に続いて第三位の規模を誇る
此処に第二連合艦隊は満州への対応のために停泊していた
第二連合艦隊
旗艦 イージス戦艦 播磨 長官執務室
翔平
「あぁ~暇だ」
とぼやく翔平がいるが彼の目の前には山のように書類が溜まっている
播磨
「なにが、あぁ~暇だ・・よ!そんなことを言うならこの報告書を片付けてからにしなさい!」
翔平
「なぜだぁぁッ!!何故こんなに書類が溜まっているんだ!新手のいじめか?!」
播磨
「何故そんなことになるのよ!さぁ早く報告書に目を通して片づける」
翔平
「クッ・・・」
翔平は渋々、報告書に目を通し、判子を押す
播磨
「・・・・」
播磨はそれを見て静かに、執務室を退出し長官公室に出る
十六夜
「播磨司令、どうですか、長官は」
播磨
「大丈夫よ、ちゃんと仕事を始めたわ」
十六夜
「そうですか、では、脱走しないように警戒を続けましょう」
播磨
「十六夜・・・あなた、楽しんでるでしょう」
十六夜
「何のことでしょうか?・・フフフッ」
翔平が書類仕事で苦しんでいる頃、軍令部ではある作戦が立案計画されていた・・・
作戦名【東京急行】
米本土に対する空襲作戦及び艦隊襲撃による艦砲射撃を目的とした作戦であった・・・
参加部隊
海上部隊
第一連合艦隊
・第十一戦隊、第十二戦隊、第三駆逐隊、第五駆逐隊、第九航空戦隊
第二連合艦隊
・巡洋戦艦天羽、十六夜
・駆逐艦 烈月 慧月 霊月 麟月
第一機動艦隊
・第二十三戦隊、第八駆逐隊、第十駆逐隊、第十三駆逐隊
第一海上護衛艦隊
・護衛航空戦艦、富士、朝日
第二海上護衛艦隊
・巡洋戦艦 白神 秩父
・護衛空母 梅鷹 彩鷹
高速補給艦
・摩周 阿寒
特設巡洋艦
・千里
以上が、海上部隊の戦力である、日本本土で現在作戦待機中の戦隊を寄せ集めて創設した艦隊であり、艦隊司令は水雷屋の南雲忠一海軍中将、南雲中将は重巡洋艦鳥海に中将旗を掲げることとなった、この艦隊は第九艦隊と命名し皇紀2603年5月25日に横須賀軍港に集結した第九艦隊は横須賀軍港を出港し真珠湾に向かった・・・
さらに、陽動部隊として、戦略爆撃機、富嶽220機、深山250機が準備されていた、その中には最新型の富嶽22型40機とその改造機である富嶽23型30機が含まれていた。
重爆撃機 富嶽23型
全長
・55m
全幅
・78m
全高
・11.25m
発動機
・焔15型ターボファンエンジン 6基
・アフターバーナー使用時110kN/非使用時88kN
最大速度
・マッハ1.2
航続距離
・21.200km
実用上昇限度
・18.500m
乗員
・15名
固定武装
・39口径155mm単装榴弾砲 2基
・電探連動自動照準式、二式二十粍回転式6銃身機銃 5基
(機首前面1基 尾部1基 上部1基 下部2基)
・40mm単装機関砲 2基
富嶽22型の爆弾槽に機動九八式155mm榴弾砲で採用された39口径155mm榴弾砲を直列に装備した、富嶽特有の巨大な爆弾槽を利用しているため砲身は格納可能となっている、砲身は左右に15°の旋回が出来、俯角は-45°を取ることが出来る。砲弾は1門につき徹甲弾10発、徹甲榴弾15発、榴弾10発を積む、また射撃管制電探を装備するため実用上昇限度18.500mの高高度でも理想的な状況で95%、戦場の場合は70%前後と言う理想的な精密射撃が可能。
戦略爆撃隊、富嶽・深山は第九艦隊に先行し、オアフ島に集結する
富嶽隊は海軍設営隊が機械力に物を言わせて拡張したヒッカム飛行場に着陸し
深山隊はカオネヘ飛行場に着陸した・・・
富嶽隊に遅れること5日後、サイパン・トラックから大量の戦略爆撃隊用の物資燃料を積んだ輸送船団が真珠湾に到着、揚陸作業に移った・・・
更にその7日後、輸送船団と入れ替わるようにして第九艦隊がオアフ島真珠湾に入港した
天嶽
「どうも、とりあえず入試が終わりひと段落しましたので、投稿させていただきました」
播磨
「まだ夏休みの宿題が大量に残ってるけどね」
天嶽
「・・・(現実逃避中)」
十六夜
「さぁやりましょうか、作者さん」
天嶽
「・・・はい」
播磨
「ご意見ご感想お待ちしております」