第四十一話 帝都防空戦 後編
皇紀2603年5月4日
午後3時 横須賀航空隊
橘花壱号機:ルーデル大佐機
ルーデル
「いかん!もうすぐ!トウキョウだ!」
ガーデルマン
「大佐!機銃弾がァ!」
ルーデル
「ッチ、弾切れか・・・」
笹井
『こちらも誘導弾、機銃弾共に撃ち尽くした・・・畜生米軍め!なんて数なんだ!』
横須賀航空隊を始めとした、帝都防空の任を帯びた部隊は奮闘し連合軍、第21連合爆撃航空団の爆撃機を400機近く撃墜したが、残り約300機は速度針路共に変更せず真っ直ぐ帝都を目指していた
無線
『こちら、陸軍第十五航空師団!遅れてすまない、敵機はまだ残っているか!』
笹井
『陸軍さんか!ありがたい、此方横須賀航空隊!まだ敵機は300機近く残っている!』
無線
『了解した!行くぞ!』
陸軍の第十五航空師団の飛燕50機が戦闘に参加する、すでに参加戦闘機の数は累計800機を超えていたがすでにほとんどの機体は弾切れを起こし、離脱していた機体もあったため、現在日の丸をつけた機体は空に90機程度しかいなかった・・・
連合軍:第21聯合爆撃航空団
米陸軍パイロット1
「もう少しでTOKYOだ、みんな頑張るんだ!」
第21連合爆撃航空団にはすでにハーケンクロイツをつけた航空機は見当たらず、ラウンデルをつけた航空機・・・ランカスター32機とモスキート8機が米陸軍に辛うじてついていく
英空軍パイロット1
『下方からインターセプター!また着やがった!』
英空軍パイロット2
『撃てッ―!落ち着いて弾幕を・・・・』
ズッドォォォオオン!!
ランカスター1機が飛燕に爆弾槽を打ち抜かれて搭載爆弾が誘爆し爆散した
米陸軍パイロット1
「また、やられたか・・・」
米陸軍パイロット2
『ジャップのインターセプターは百機もいないと言ったのは、どこのどいつだ』
米陸軍パイロット1
「・・・・うちのボスだよ」
米陸軍パイロット2
『・・・・』
第21連合爆撃航空団司令官は、史実で日本の都市の無差別戦略爆撃を立案したカーチス・ルメイが就任した、しかもこの歴史では史実より早く、米軍は焼夷弾M69を実用化していた・・・
午後3時10分 帝都:東京
本土防空司令部
陸軍士官1
「敵第一波残り機数、およそ250機!」
水兵1
「舞鶴航空隊より入電!【本土進入中の敵第二波を迎撃!敵編隊は数機を残して遁走せり、我に損害なし】京都の防衛に成功しました」
東條英機
「流石、精鋭を誇る海軍舞鶴航空隊、我が航空師団と連携すれば畏れるものはないな」
永野修身
「堀井中将の具申で舞鶴に九州の航空隊を掻き集めたが・・・それが功を奏したようだな」
舞鶴には九州の防空を受け持つ鹿屋海軍航空隊を始めとした航空隊から戦闘機部隊を引き抜き、その戦闘機隊を日本海側の防空拠点、舞鶴と佐渡島に充てていた、現在九州の防空任務は福岡第一飛行場の陸軍航空師団と博多海軍航空隊に任されている。
陸兵2
「敵第一波!帝都防空圏内に侵入!第五高射砲塔、対空戦闘開始しました!」
電探を見ていた陸兵が叫ぶ
武
「とうとう、帝都の防空圏内に入られましたね、そろそろ秘匿兵器を使用したいのですが」
井上成美
「うむ・・・林技術中将、仕方があるまい、秘匿兵器・・・三式地対空誘導弾2型の使用を許可する」
武
「了解しました」
東條英機
「三式地対空誘導弾の2型はまだ発射実験をしていなかったのではなかったのかな」
武
「問題ありません、すでに各高射砲塔には連絡済、此処からの指令で発射を待っている3式地対空誘導弾2型は各高射砲塔に50発がすでに整備を終えて待機しております」
東條英機
「・・・各高射砲塔に通達、神風・・・だ」
陸軍士官1
「了解!各高射砲塔に通達します!」
午後3時15分
第二高射砲塔
翔平
「来たぞ!数およそ・・・・250機、高度約5000!距離8000!・・・まだ撃たないのか!」
翔平が怒鳴るのも無理はない、第二高射砲塔の主砲と言うべき存在、超高高度を進入する敵機を撃墜するために開発された三式155mm高射砲はとっくに射程圏内に敵編隊は入っているというのに沈黙をしていたからだ。
弘明
「本土防空司令部から通達が来ました!神風の発動です」
宇垣纒
「ッ!いよいよか」
宇垣中将は一瞬驚いたそぶりを見せるが、すぐに第二高射砲塔の敷地内を見下ろす位置に移動する
陸軍士官2
「三式地対空誘導弾、発射用意!」
陸兵3
「発射用意・・・電探と連動」
陸兵4
「上空の友軍機退避完了!」
陸軍士官3
「発射口、開放!」
陸兵3
「発射口開放!」
此処で説明しよう、三式地対空誘導弾2型とはMIM-3 ナイキ・エイジャックスを基に開発された、本土防空、長距離爆撃機迎撃用の地対空ミサイルである、本土防空用に建設された、高射砲等の敷地内にランチャーごと地中に埋まっている、これは地下にミサイル弾倉を持ち、各高射砲塔は5基のランチャーが配備されている、発射された三式地対空誘導弾2型は自動装填装置により5秒で次弾が装填される、誘導は各高射砲塔の電波で付近まで誘導され最終的には搭載された追尾電探により目標に向かう・・・
陸軍士官3
「発射用員退避!」
発射を告げる警報が響き渡り、発射要員は発射炎から身を守るため退避区画に移動する
陸兵3
「各高射砲塔との連動状態おおむね完了」
陸軍士官2
「1番から5番連続発射準備!」
陸軍士官がマイクを取って地下の断固と連絡を取る
陸兵5
『・・・連続発射いつでもどうぞ』
陸軍士官2
「よし・・・奴らに、大日本帝国の技術力を見せつけるぞ!1番から5番連続発射用意!・・・発射始めェェッ!」
ズッシャァァァ――――!!
第二高射砲塔から5本の矢が敵編隊を目指して放たれる、最高速度マッハ2.1まで加速された矢は高度8.000で飛行する敵編隊に襲いかかる
連合軍:第21連合爆撃航空団
米陸軍パイロット1
「見えた!TOKYOだ!各機爆弾槽を開け!」
米陸軍搭乗員1
「機長、敵迎撃機が退避しました」
米陸軍パイロット1
「なんだと・・・・これは」
米陸軍パイロット2
『下方から何かが・・・こっちへ来る!ウワァァ!!』
ズッドオォンッ!
米陸軍パイロット3
『あれは・・・ハワイで見たロケット・・・みんな逃げろ!あれに目をつけられたら・・・』
ズッウンンッ!!
一人の爆撃機機長が声に出して叫んだ・・・3000機以上の爆撃編隊を撃破した、日本軍のロケット・・・考えなくても、それが首都防空用に配備されていてもおかしくない・・・
米陸軍パイロット1
「全機散開!敵ロケットを回避せよ!」
連合軍第21連合爆撃航空団は各機が散開し、回避運動に入る、だが・・・
米陸軍パイロット4
『前方より、敵インターセプター!・・・ソニックだ!』
これは、補給を終えた第二連合艦隊の制空隊であった、世界最強戦闘機を自負する音神が敵編隊に襲いかかる
連合軍第21連合爆撃航空団は瞬く間に機数を減らした
米陸軍パイロット1
「退避―ッ!退避だ!!逃げろ―ッ!!もうTOKYOなどどうでもいい!ウラジオストックに戻るんだ!」
この機長の叫びが引き金となり、残存機は一斉に旋回し退避行動に移った、だが退避行動に移っても、三式地対空誘導弾2型による容赦のない攻撃が続き、残存機数はとうとう10機前後になった
音神制空隊
昇
「こちら、鳳翔制空隊、敵編隊退避、敵編隊は10機を残し遁走しました、之より追尾に入る・・・防空作戦は成功せり!」
本土防空司令部
『こちら、鳳翔制空隊、敵編隊退避、敵編隊は10機を残し遁走した、之より追尾に入る・・・防空作戦は成功せり!』
司令部に取り付けられたスピーカから、報告が入り、本土防空司令部は歓喜に沸く
永野修身
「やりましたな」
東條英機
「これも陸海軍の協力の結果です」
武
「ですが、課題も残っています、之から連合軍は戦略爆撃に力を入れるでしょう、此方はそれに対して完璧な防空網を敷かなければなりません、さらに、今回の爆撃に対しての報復も必要でしょう敵は明らかに非戦闘員の無差別爆撃を目的した行動であったことは間違いないでしょう」
東條英機
「うむ・・・考えておく必要があるかも知れぬ」
その1時間後、警報は解除され国民は家路についた、日本側の被害は家屋損壊が十数戸、これは敵機の墜落による被害だった、だが民間人の人的被害は皆無、ほぼ完璧な勝利と言えた・・・・だが、この混乱に乗じて、米国はある作戦を実行していた
米軍はガトー級潜水艦で日本近海まで接近、そこで、日本人に扮した日系人を多数上陸させた、彼らの目的は日本軍の兵器情報および暗号表・・・
空襲の混乱を付き、艦政本部の造船部より大和以下多数の主力艦の性能表が奪取された
同じころ陸軍兵器行政本部からも多数の性能表が奪取された・・・・
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