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新生連合艦隊  作者: 天嶽
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第三十九話 戦略会議

皇紀2603年年5月4日

海軍軍令部(通称:赤レンガ) 第一会議室


海軍軍令部の第一会議室には、帝国海軍の重鎮 海軍大臣、永野修身海軍大将、軍令部総長、井上成美海軍大将、第一連合艦隊司令長官、山本五十六海軍大将、第二連合艦隊司令長官、林翔平海軍大将、さらに陸軍大臣、東條英機陸軍大将、参謀総長、阿南惟幾陸軍大将、が陸海軍に分かれて着席していた、そこに第二連合艦隊の参謀の一人堀井弘明海軍中将が談を取る


ちなみに、現在大日本帝国を政治的に率いているのは、鈴木貫太郎第43代内閣総理大臣であった、今年の3月に前総理であった東條英機陸軍大将は戦局の複雑化を理由に総理を辞職し、現在、陸軍大臣の職務に専念している。


弘明

「今回の宙作戦は成功の裡に完了しましたが、大陸では戦局が大きく変わってきています、まず、満州国境付近、3ヶ月前までは見られなかった、大規模な戦車部隊を始め、大規模な燃料弾薬集積基地更にウラジオストック付近の航空基地にはB-17を始めとした重爆撃機1000機前後が確認されています」


翔平

「B-17フライングフォートレス。B-24リべレーター、B-25 ミッチェル、B-26マローダー、アブロランカスター、爆撃機のオンパレードだな」


山本五十六

「ウラジオストックからだと十分すぎる航続距離だな」


阿南惟幾

「だが、陸軍と海軍が共同で引いた防空管制網は完璧だ、すでに防空戦闘機が多数配備されている」


弘明

「私の私的意見としても、本土の防空網は完璧でしょう、では、次の議題として、満州国境付近では連合軍が着実に軍備を整え、満州国への侵攻を開始しようとしています、大和田の暗号解読班が傍受した暗号を解読した結果、8月中旬には、大規模な侵攻に出ることは明らかです」


阿南惟幾

「うむ、そこで陸軍は、支那からの撤兵を今月中に完了し、満州国の国境付近に駐留中を予定している」


弘明

「大陸の陸軍部隊には今年に正式配備された三式主力戦車を中心として機械化装甲部隊として再編成されています、海軍も新型長距離戦略爆撃機富嶽の運用を開始、さらに新型艦戦烈風を始めとした、新兵器投入により作戦戦闘能力は飛躍的に増大しましたですが、これら新兵器は非常に高額であり国庫が逼迫してきたのも事実です、お手元の資料は今年度採用された新型兵器の大まかな仕様とこれらを定数そろえた軍事費の支出計算結果です、さらに一枚めくっていただくと、今月発注された、武器弾薬類の支出計算結果です、さらに3ページ目は今年に予想される弾薬の使用量及び兵器の消耗率をシュミレートした結果です、ですがこれらの数値はあくまで計算ですので参考までにと」


翔平

「む・・・」


翔平が難しい顔をする


山本五十六

「ハッハッハ!林君は相変わらずだね、政治経済関係は苦手な方かね」


翔平

「自分は海軍軍人ですから、政経関係は全く駄目です」


弘明

「そろそろ宜しいですか」


東條英機

「うむ、続けてくれ」


弘明

「では、このような状況を打開するには、国債の発行か、武器輸出を大々的に行うしかないと思っております」


井上成美

「ふむ、新型艦戦烈風の制式採用によって、空母から零式艦戦を下ろすことになりました、この零式艦戦を売却したらどうでしょうか」


山本五十六

「ですが、総長、航空機の進歩は速い、宙作戦ではP-51やP-47等の高性能機が就役しております、連合軍がこういった新型戦闘機を大量に生産し前線に送り出さないとは考えられません、私は現在輸出を行っている零式艦戦の他に、陣風そして紫電改の輸出を進言します」


翔平

「現在の戦況から輸出国家は最前線のインド共和国、満州国がいいでしょう、それに戦闘機だけでは防衛線では力不足でしょう来月、翔鶴型と大鳳から降ろす予定の銀河改と流星、彗星を共に売却するのはいかがでしょうか、必要とあれば艦船の売却も考えていいでしょう」


東條英機

「ちょっと待ってくれ、全部海軍が主役ではないか、我ら陸軍からも三式戦闘機飛燕と一式中戦車、いや必要とあれば三式主力戦車の売却も考えよう」


永野修身

「ただ売りつけるだけでは宗主国と同じになってしまうだろう、やはりライセンス生産による売却方式が良いだろう、万が一補給路を断たれた場合も考えられる」


阿南惟幾

「それには反対だ!我が軍の機密が漏れる可能性も否定できない!」


弘明

「確かに、スパイ等の暗躍の可能性もゼロとは限りませんし、それにライセンス生産は非常に高額になりますしインド共和国、満州国は幾分工業化が図られていますし両国とも軍事技術者を派遣してきましたですが、まだ航空機製造の水準に足しているとは思えませんただ、両国とも大東亜共栄圏の主要国です将来的にはライセンス生産、技術提供をするなどをして、両国との関係を築くのが得策かと」


東條英機

「うむ、たしかにそうだ」


永野修身

「では、完成品を売りつつ将来的には、ライセンス生産等の対策をするなどとして、海軍は手を打とう」


東條英機

「うむ、では陸軍もその手で行く」


弘明

「では、しばらくは完成品を大東亜共栄圏の各国に輸出の方向でよろしいでしょうか」


全員

『異議なし』


弘明

「では、続いて・・・お入りください」


弘明は扉に向かって声をかけた


すると扉から女性が二人第一会議室に入ってきた


翔平

「堀井参謀、この女性は?」


弘明

「はい、このお二方はロマノフ朝、皇帝ニコライ2世とアレクサンドラ皇后の第3皇女、マリア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ大公女様、同じく、アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ大公女様です」


東條英機

「なっ!なんだと!?」


阿南惟幾

「帝政ロシアのロマノフ朝の生き残りだと!?」


山本五十六

「堀井君」


山本は冷静に言った


弘明

「はい、山本長官」


山本五十六

「本人だろうね?」


弘明

「はい、現時点で確認できる、全ての鑑定を使用しました、筆跡鑑定、DNA型鑑定等を用いた結果、100%本人と証明されました」


翔平

「で、なぜこの時期なんだ」


弘明

「この時期だからこそです、照明を落としてください」


弘明の一言で第一会議室の照明が落ちる


天井に取り付けられたプロジェクターが起動し地図を映す


弘明

「ではご説明します、現在ロシアは大きく三つの区域に分かれております、欧州側の西ロシア、中央部の中央ロシア、極東の東ロシア、欧州側のロシアはロシア臨時政府が治めますが、中央ロシア、東ロシアは連合軍によって分割統治されています、ですがこの分割統治は現地住民に支持されているとは言えません、私はそこに我々の入るすきがあると思います、つまり、ロシア人のための国家建国です、そのためにはふさわしい国家元首が必要でした、そこで探し出したのがロマノフ王朝の皇女マリア様とアナスタシア様です、この件はすでに鈴木総理以下政府首脳人、陛下にも伝えて諒承を取っています。」


東條英機

「なるほど、ロシア人のための解放戦争か」


弘明

「はい、国民にそのように宣伝します」


阿南惟幾

「我が大日本帝国は長年悩まされた、ロシア南下の脅威から抜け出せるわけだな」


翔平

「堀井参謀、どこまでを範囲とした建国だ?」


弘明

「あ、はい、そ・・・「マリア:ホリイ中将、そこからは私たちがお話します」了解しました」


マリアは堀井の言葉を遮り流暢な日本語で話し始めた


マリア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ

「皆様初めまして、ホリイ中将のご説明通り、私はロマノフ王朝第三皇女のマリア・ニコラエヴナ・ロマノヴァです、今回は我が国の再興に手を差し伸べてくださいまして、本当に感謝しています、私たちで話し合いました結論は、北樺太の割譲、シベリアでの資源採掘の権利を3割譲渡です、よりまして今回建国範囲はバイカル湖より東側の範囲を私たちは希望しております」


弘明

「こちらから提供できるのは、技術提供、インフラストラクチャー・・・所謂、インフラの整備等をお手伝いすることになっています」


東條英機

「では、我々陸軍は建国のお手伝いをいたしましょう」


永野修身

「我々海軍もできる限りの手伝いいたしましょう」


アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ

「有難うございます、日本に亡命してから26年ようやく故郷へ戻れます」


弘明

「ではここからは、我々の仕事ですので」


マリア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ

「はい、分かりました、ホリイ中将、行きましょう、アナスタシア」


アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ

「はい、お姉さま、宜しくお願いします」


そう言って二人は退室した


東條英機

「・・・では、まずシベリア方面に向ける兵力を参謀本部で会議し決めたいと思うのだが」


井上成美

「では、こちらは、輸送船団の編成を行うので、兵力が決まり次第連絡を輸送船の関係もあるので」


阿南惟畿

「うむ、分かったではこれから会議があるので」


陸軍大臣東條英機と、参謀総長阿南惟畿が退室しようとしたとき


帝都に空襲警報が鳴り響いた


翔平

「空襲!?」


弘明

「・・・予測より早い」


第一会議室に士官が一人扉を勢いよくあけて入る


海軍士官1

「会議中失礼します!総長!敵機の来襲です!」


井上成美

「敵機の進入路は?!」


海軍士官1

「ハッ!敵機はウラジオストックを発進し真っ直ぐ帝都に向かっております!」


東條英機

「国民の避難誘導を開始しろ、国道を走っている車両はすぐに退避だ!私もすぐに防空指揮所に向かう」


東條は海軍士官と一緒に入ってきた、陸軍士官に命じた


陸軍士官1

「了解!」


翔平は何を思い立ったのか、席を立ち第一会議室を飛び出した


その後を慌てて弘明と山本五十六は追う


弘明

「長官一体どこへ!?」


翔平

「帝都で一倍高いところだ、どこだ!弘明!」


弘明

「えっ、え~、先日建設された第二高射砲塔が帝都一の高さを誇っております」


第二高射砲塔とは高さ50m地上6階地下3階、7階屋上には、三式155mm高射砲1門と一式76mm高射砲4門、三式127mm高射砲4門、九六式40mm単装機関砲20基、一式5号1型対空警戒電探、一式7号3型対空捜索電探、を配備しているさらに、市民避難用防空壕も兼ねている。


翔平

「そいつはどこにあるんだ!」


弘明

「ハッ!案内いたします!」


翔平

「山本長官はどうしますか」


山本五十六

「林君は行くんだろう?私も行くよ」


弘明

「では、玄関まで駆け足!」


一寸待ってぇ!参謀飾緒中将の後に大将二人が軍令部の廊下を駆け足で進むか普通!


宇垣纏

「山本長官!待ってください!」


山本五十六

「おぉ、宇垣君も行くぞ!」


宇垣纏

「はい!?」


弘明

「宇垣中将殿実は・・・・と言うわけです」


宇垣纏

「そうか・・・お互い苦労しているようだな」


弘明

「はい・・・」


そんな話をしながらも、四人は軍令部の正面玄関を抜け止まっていた、九七式高機動車を捕まえる


弘明

「第二高射砲塔まで、急いでほしい!」


水兵1

「困ります、中将殿!本車は・・・」


山本五十六

「急いでくれないか?」


水兵1

「や、山本長官!了解しました!」


水兵は慌ててドアを開ける、そこに山本五十六、宇垣纏、翔平が後部座席に滑り込む、高機動車は車幅が広いため三人が直列に座ってもかなりの余裕がある


弘明は助手席のドアを開けてそこに乗り込んだ


九七式高機動車はアスファルトで舗装されたばかりの国道を抜けて第二高射砲塔に向かった・・・



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